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デザイナーの視点から考える AI によるデザイン生成の3つの課題と解決の可能性

CXユニット

CX ユニット

SBテクノロジー CX ユニットの児玉です。

画像生成 AI という言葉が見られるようになってもう3年近くたちました。多くの方が生成 AI という言葉を見たことがあるし、実際に画像生成 AI で作成された画像も見たことがあるという状態かと思います。

しかし、画像生成 AI で作成されたデザインというものを目にした方は少ないのではないでしょうか。実際に私自身、画像生成 AI の調査をした結果、web サイトのデザイン、特にレイアウトを作成するのは画像生成 AI には難しいという事がわかりました。

何故難しいのかという理由を3つに絞ってお伝えしたいと思います。

文字の描画が苦手

画像生成 AI は文字の描画が苦手です。こちらは目にした方も多いのではないかと思うのですが、文字っぽいけど何の文字かわからない生成 AI 特有の文字を描画することが多いです。生成 AI がどのように画像を完成させているのか理解はしていないのですが、絵はこんなに上手に描画できるのに何故!?というのが正直な感想です。
文字が描画できないというのは web サイトのデザインを作る上では致命傷になるかと思います。特にビジネス向けでは文字がない web サイトは皆無と言っても過言ではないためです。弊社のトップページのデザインを作ってと、会社の特徴などをインプットしてお願いしても残念ながら文字の描画ができないため思ったような結果にはなりません。

「日本語」という文字を描画してくださいというプロンプトで描画された画像例
Adobe Firefly で(「日本語」という文字を描画してください)というプロンプトで生成された画像例

ルールに沿った反復が苦手

これも web サイトのデザインを作成する上で必須の要素になります。デザインの四原則にもある反復です。例えばセクション間のマージンやタイトルの大きさ、タイトルとリード間マージンなど一定のルールに沿って web サイトのデザインを作成すべきですが現状の生成 AI はこれができないといっていいレベルで苦手です。

これは生成 AI の特徴ともいえると思うのですが例えば大規模言語モデルと呼ばれる AI に同じ質問をしても同じ答えを返すとは限りません。画像生成 AI も同じプロンプトと呼ばれる命令をしても同じ画像を生成するとは限らないのです。そのためタイトルとリード間のマージンを 40px にしてといっても毎回同じ結果を返すとは限らないのが現状で、どうしてもばらつきがある、デザインの原則を外れたデザインができてしまいます。

レイアウトを設計している画面イメージ

著作権の問題

生成 AI の性能と直接は関係ないのですが、こちらも生成 AI で作成したイラストなど公に使う際に気になる問題です。

画像生成系ではありませんが、アメリカの8つの地方紙が、自社の記事を生成 AI の学習用に許可なく使用され、著作権を侵害されたとして提訴したニュースは大きく取り上げられました。この例に代表されるように AI が学習に使用した素材に著作権を有したものが許可なく使われており、それが著作権の侵害に当たるといった訴訟が多いようです。

画像生成 AI に関しても訴訟のニュースは多く取り上げられており、この問題はしばらく議論が続きそうな様子です。

参考リンク
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240501/k10014437861000.html

裁判のイメージ

今後の可能性

以上3点が大きな要因で、もちろん他にも大小問題はあるかと思いますが、現状、生成 AI で web サイトのデザインをプロンプトから一発でデザイン完了までもっていくのは難しいという結論になります。

ただ、画像生成 AI は全く使えないというわけではなく、荒い案を複数出すなどコンセプトの部分ではもちろん、ちょっと使いこなせると完ぺきではないですがカラーバリエーションなどを出力して、雰囲気を実際に見て確認したりすることは可能です。

さらに、生成 AI は短期間で大きく性能が上がっており、文字の描画やルールに則した描画などは、ある日突然解決し文字も問題なく描画することができるようになる可能性は大いにあると思います。

著作権の問題もアドビ社のファイヤーフライはアドビ社が著作権を保有するストックフォトを学習しているためファイヤーフライが生成するものは著作権上クリーンであるという事で著作権問題にも取り組んだサービスが登場しています。さらに最近は自分の過去の作品や発表したものを学習させたクローズドな環境下で生成 AI を使用しているという話も聞きますので、著作権問題も徐々にクリアになっていく可能性が高いです。

そういった状況もありますので、これは使えない、と切り捨てるのではなく、今は無料で使用できますので実際に画像を作成してみる、ニュースにアンテナを張っておくなどはしておくのが良いのかな、と思います。

先進的なAIイメージ

さいごに

デザイン制作ができない大きな3つの理由と現状から見える今後の展望を記載しました。
こちらの記事で画像生成 AI に興味を持っていただけたら幸いです。

CX ユニットでは UI / UX / CX の改善や支援など行っています。ご相談がありましたら、是非お問い合わせください。

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