SB テクノロジー CX ユニットの児玉です。
UI のセミナーや記事などで「 Web サイトの使い勝手」という言い回しを聞いて、Web サイトって見るものじゃなくて使うものなの?と違和感を覚えたことはないでしょうか。「使う」という言い回しはインストールするアプリケーションやスマホアプリなどの方がしっくりくると思います。
しかし、スマホが普及しインターネットへの常時接続があたりまえになった今、クラウドサービスや、Web アプリ、Web サービス、ネイティブアプリなど多くの名称が生まれ混乱することも多いかと思います。
この記事がその混乱を解く一助になれば幸いです。
この3つに関してはこの機能をつかっていたら Web アプリ、とか特別なサーバーでリリースされていたら Web サービス、のような明確な線引きはありません。ですので、調べてみるとサイトによって定義は様々ですし、いわゆる IT 業界で働く方でもそれぞれの言葉が指す範囲はまちまちかと思います。しかし言葉から喚起するイメージには違いがありますのでそのイメージをつかんでおくと大きく話が食い違うこともないかと思います。
多くの場合、Web サイトは昔ながらのホームページのイメージです。URL を入力すると画像や文章を閲覧でき、ほしい情報が手に入る、そういったものです。
Web アプリと Web サービス。このふたつはさらに差が曖昧です。
まず Web サービスを考えると、サービスという一見 IT 用語ではない言葉が使われています。Web サービスはサーバーの役割を説明する際の技術的な呼び方の名残りといえるようです。サーバーは何もデータを入れるものだけではありません。コーヒーサーバーなどがわかり易いかと思います。コーヒーサーバーが提供するサービスはコーヒーになります。Web サーバーが提供するサービスが Web サービスというわけです。
ですので、Web サイトもひとつの Web サービスといえます。ですが Web サービスと聞くと例えば Google の検索ページや翻訳サイトや Web メールや SNS など、ややインタラクティブな「相互通信が発生するような Web サイト」のイメージを喚起させます。ただ、Web サイトもひとつの Web サービスと考えると Web サイトの使い勝手という言い回しが当てはまるのも理解できるかと思います。
Web アプリは他よりイメージがしやすいかと思います。最近ですとエクセル、パワーポイントなどがブラウザから使用できます。また、デザイン業界では知らない人はいない PhotoShop や illustrator もベータ版ですが Web アプリ化しています。今まで PC などにインストールしていたものが URL を入力すれば使用できてしまう、そういったものを Web アプリという言葉はイメージさせます。
このように、 Web サイト、Web アプリ、Web サービスは明確な線引きはないですが、イメージさせるものがちょっとずつ違います。
今まで違いに触れてきましたが共通点を探ると当然ながら使用するにはインターネット環境が必要というところが挙げられます。もうひとつの大きな共通点はブラウザで完結することです。これが共通の大きなメリットにもなります。
ブラウザで完結することで PC や場所にとらわれない利用が可能です。会社の PC、漫画喫茶の PC、家の Mac 、スマホでもインターネット環境さえあれば同じサービスが利用できる。利用者にとっては非常にありがたい時代になっています。
ではクラウドサービスは何を指すのか。Web アプリはクラウドサービスじゃないの?という疑問も浮かぶかと思います。言葉の定義で考えると Web アプリはクラウドサービスのひとつと言えると思います。では Web サイトは?Web サイトは少し複雑です。
クラウドサービスという言葉は2006年に Google の CEO であるエリック・シュミット氏が Ajax の流行を見て Web アプリが今後大流行すると考え提唱したとされています。2006年といえば荒川静香選手のイナバウワーが日本を席巻した年です。結構昔なので、エリック・シュミット氏の先見の明に感嘆です。
「クラウドサービス」も特定のモノを指す言葉ではなくユーザーがインターネットを通じてサービスを必要な時に必要な分だけ利用するという概念を指す言葉なので、それを実現しているものは全てクラウドサービスと言えます。
そう考えると Web サイトはいつでもインターネットから情報閲覧できますので、あまり言いませんがクラウドサービスと考えられます。しかし「 Web サイトをクラウド化する」という話を聞いたことがあるかもしれません。どういうことかというと、ここでいうクラウド化は Web サイトが格納されているサーバーをクラウド化するということで Web サイトの見た目は全く変わりません。
今度はスマホの話になります。「ネイティブアプリ」は App Store や Google Playからインストールするような、いわゆるスマホアプリのことです。なぜ、わざわざ「ネイティブアプリ」と呼ぶのかといいますと、前述の Web アプリと差別化するためという理由がひとつあります。もうひとつは最近スマホアプリなのに見た目が Web ページのような UI のアプリを見たことがないでしょうか。それは「ハイブリッドアプリ」と呼ばれるものかもしれません。「ハイブリッドアプリ」は Web サイト作成に必要な HTML や CSS で作られたもので Web サイト作成と同等の難易度で作成でき、しかもプッシュ通知を送信できるなど、アプリのような機能を持てるメリットがあります。
この記事で説明した用語をまとめますと下記の表のようになります。
用語 | 説明 |
---|---|
Web サイト | 昔ながらのホームページ |
Web サービス | 相互通信が発生するような Web サイト |
Web アプリ | PC などにインストールしていたアプリケーションが Web で使用できるもの |
クラウドサービス | インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用できるという概念 |
ネイティブアプリ | App Store や Google Play からインストールするスマホアプリ |
ハイブリッドアプリ | スマホアプリだが内容は Web サイトと同じもの |
このイメージを持っておけば今後大きく話が食い違うことは無くなると思います。是非ミーティングや読んでいる本、記事などにこれらの言葉が出てきた時に、大体こういったことを言っているんだな、とイメージしていただけたらと思います。
CX ユニットでは、Web サイトだけではなく、Web アプリやネイティブアプリの UI / UX の改善、支援なども行っています。ご相談がありましたら、是非お問い合わせください。
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