本文へ移動します

SBTのスベテ

本社オフィス全面リニューアルで臨むコミュニケーション戦略

椎名 美保

当社は2024年8月に新宿オフィス(本社)を全面リニューアルしました。
「多様なコミュニケーション」を重視し、リニューアル後のオフィスには人と人との偶発的な出会いを創出するための仕掛けが随所に施されています。
デザインを手がけたのは、株式会社ディー・サイン(以下、ディー・サイン)。当社は2014年2月に本社オフィスを飯田橋から現在の新宿に移転していますが、その際のオフィスデザインも担当していただきました。

本記事では新旧オフィスのデザインに携わった当社社長の阿多 親市(以下、阿多)とディー・サイン取締役 今村 剛氏(以下、今村氏)との対談を通じて、これまでのオフィスとの違いや、デザインにどのような思いが込められているのかについてご紹介します。

働き方の変化に伴いオフィスもアップデート。“人と人が交わる場”を意識したデザインに

椎名:今回のリニューアルの経緯と、デザインを検討される中で特に意識された点を教えてください。

阿多:私が SBテクノロジー(以下、SBT)の社長に就任した2012年当時、オフィスは飯田橋にありました。その時のオフィスは外観も内観も古く、最寄り駅からかなり離れていました。また、執務室が3フロアに分かれていたため交流が取りづらい環境でしたので、就任時に“社員の皆さんが働きやすいオフィスに絶対に引っ越すぞ”と心に決め、そして2014年2月に今の新宿オフィスに移転しました。
移転後の10年間で働き方が大きく変化し、さらにコロナ禍によってテレワーク主体で働く社員が増えたことでコミュニケーション不足という課題も出てきました。それらの課題を解決しつつ、現在の働き方に合った、より働きやすいオフィスにしたいと思い、全面リニューアルを実施しました。

今村氏:10年前、SBTさんは「One! SBT」というコーポレートスローガンを掲げていました。そのスローガンに対して、“グループ会社も含めて One チーム”であるということを、この大きなフロアでどう表現するかが一番の課題でした。解決策としてグリーンベルトで包み込むという手法を提案させていただいたのですが、それが阿多さんの思いとマッチして生まれたのが旧オフィスのデザインになります。
しかし10年という時の流れの中で、グリーンベルトの機能の中に足りない部分や課題などが出てきてしまいました。また、コロナ禍において強制的にテレワークせざるを得ない状況になってしまった数ヶ月の間に、リモートでできることと、リモートでは難しいことが如実に浮き出てきたことからもヒントを得て、“オフィスをどのような場にすべきか?”ということを意識しながら新しいオフィスのデザインを考えました。

緑色の部分がグリーンベルトと呼ばれる通路です。リニューアル前はワークスペースなどをグリーンベルトが囲む形になっていました。リニューアル後はグリーンベルトを拡張してワークスペースなどの中にも広げ、人と人が交わる場になることを意識したデザインになっています。

阿多:ディー・サインさんの提案を見た時に、グリーンベルトを残していただいたところにとても惹かれました。
以前はワークスペースを囲むようにグリーンベルトがありましたが、今回のリニューアルではグリーンベルトを交差させていて、それにより気軽にコミュニケーションを取れるようになったなと感じています。

今村氏:10年前はエンジニアの方々が集中できる環境ということで、すべて固定席にし、落ち着いて仕事ができるオフィスをデザインしました。
今回はオフィスが単なる作業場ではなく、人と人が交わる場になることも意識してデザインしています。皆さんが集まって FACE to FACE でディスカッションしたり、お互いにサポートしながら仕事をしたりするということを体現できる場と考えた時に、グリーンベルトの割合を増やす必要があると思いました。そのためグリーンベルトをワークスペースに伸張したり、ワークスペースにおいて導線を確立化しないようにしたりしています。
あと、歩いている人と座っている人との高低差をなくす空間も点在させて、よりコミュニケーションを取りやすい環境づくりを心がけました。

グリーンベルト
立っている人と
目線が同じになる座席
掘りごたつ

椎名:SBT はコロナ前からテレワークに取り組んでおり、コロナ禍は出社率が20%を切っていた時もありますが、あえてオフィス縮小や移転をせずに全面リニューアルをしたのはなぜなのでしょうか?

阿多:現在は約6~7割の社員がテレワーク主体の勤務体系になっていますので、社員が一時的に仕事をするためのスペース(タッチダウンする場所)があればよいのですが、それだと淋しいですし、帰属意識も薄れてしまいます。
やはり時にはオフィスに出社して、上司や同僚とコミュニケーションを取っていただきたいと私は思っています。ですので、よりコミュニケーションを取りやすいオフィスにするために、縮小や移転ではなく全面リニューアルを行いました。

自分の好きな場所で仕事ができるよう、新宿オフィスでは初となるフリーアドレスを導入

椎名:ハード面(設備など)においてこだわった部分はありますか?また、阿多社長からディー・サイン側にリクエストした点があれば教えてください。

阿多:イスには徹底的にこだわりました。
イスは長時間座るものなので、できる限り座り心地も機能も良いイスを選んでほしいとお願いしました。

今村氏:イスに関してはいろいろなご要望をいただいておりましたので、機能面を重視しつつ、リニューアル後のオフィスの雰囲気に合うイスを選びました。その結果、かなりバリエーションが豊かになったのではないかなと思います。

いろいろなタイプのイスがあり、フリーアドレスのため好きなイスに座ることができます

椎名:今回、新宿オフィスでは初めてフリーアドレスを導入しましたが、なぜフリーアドレスを導入しようと思われたのでしょうか?

阿多:本当はもっと早くフリーアドレスにしたいと思っていたのですが、どこに誰がいるのかがわからなくなるなどの懸念点があり、なかなか踏み切れずにいました。ですが、コロナ禍を経て現在は6~7割の社員がテレワーク主体の勤務体系になっています。それならば席を固定にせず、自由に好きな場所で仕事ができるようにしたほうがモチベーションも効率も上がるのではないかと思い、今回のリニューアルを機にフリーアドレスにしました。

今村氏:長年使っていると自分の席や自分のものに対する思いが、どうしても強くなってしまいます。フリーアドレスではそれらがなくなるため不安になるわけです。その不安感をどうカバーするか、何でカバーするかというところが最も重要だと私は思っています。 不安感は時間の経過と共に慣れることで解決する場合が多いのですが、解決できない場合もあります。そのため、最初から完全フリーアドレスにするのではなく、部門ごとのエリアをふんわりと決めて、さらにその部門の人が集まりやすい拠り所を作りました。拠り所があることで、部門の結束力を高めることができると思っています。

白いパーティション(ホワイトボードになっています)で囲まれた部分が、複数人がまとまって座れる“拠り所”です

椎名:デザインを設計する中で、苦労された点について教えてください。

今村氏:以前のオフィスからの変化が非常に激しいため、デザインした側からの目線でどう説明させていただくかということに苦労しました。どのような意図があるのかを理解していただくことが非常に大事なプロセスだと思っていましたので。1つ1つのデザインに対して、“このような意図があり、だからこの提案をしています”ということをきちんと説明するのが大変でした。

阿多:私は変わったデザインのほうが面白くて好きですので、リニューアル後のオフィスを見てとても良いなと感じました。掘りごたつを取り入れてくださったりして、段差を上手く使われているところに感銘を受けました。

今村氏:段差はかなり意識しました。段差を登ることによってスイッチを切り替えるという意味合いもありましたので。
私たちがオフィスをデザインするときに常に意識していることは、「環境が変わると行動が変わる。行動が変わると意識も変わる」ということです。今回のリニューアルで環境を変えたことによって、オフィスで働く皆さんの行動も圧倒的に変わってきていると思います。
先日リニューアル後のオフィスを見て回ったのですが、以前のオフィスは静かな印象でしたが、あちこちから話し声が聞こえてきたのです。イスに座っている人と立っている人が打ち合わせをしていたり、カフェで休憩中におしゃべりをしていたり、いろいろなところで会話が生まれていましたので、今回のデザインにして良かったなと改めて思いました。

イノベーションエリア
ウェルネスエリア
カフェエリア

多様なコミュニケーションを実現しながら、みんなでより良いオフィスにしていきたい

椎名:今回「イノベーション」、「ウェルネス」、「カフェ」エリアを設けました。それぞれのエリアについて、取り入れた背景や狙い、こだわったポイントを伺えますか?

今村氏:今回のリニューアルでは行動に特化したエリアを作るということが意図としてありました。そうして作ったのがイノベーション、ウェルネス、カフェの3つのエリアになります。
イノベーションは段差によって目線を変えたり、レイアウトを変えたりすることで気持ちを切り替え、クリエイティブな発想を促します。
ウェルネスはデスクワークの合間に体を動かしてリフレッシュしたり、植物を見てリラックスしたりすることが可能です。
カフェは朝礼や社内イベントなどオープンなコミュニケーションの場として幅広い用途に活用いただけます。

阿多:カフェは今のところ普通に仕事や休憩、ミーティングなどで使っていますが、今後は仕事の合間に息抜きができて、かつ楽しく交流することができる場所にしていけたらと思っています。

椎名:全体を通して、新しいオフィスを社員の皆さんにどのように使ってほしいと思われますか?

今村氏:先ほどイノベーション、ウェルネス、カフェは機能に特化して作りましたとお話しましたが、そのような意図で作ってはいるものの、別に“こういう使い方をしてください”と強要をするつもりはありません。本当に自由に、好きなように使っていただけたらと思いながらデザインしました。
オフィスは完成しましたけれども、完成がゴールではなくてスタートであるべきだと思っています。私の中ではオフィスデザイン=塗り絵の下絵を描き終えたという感覚で、その下絵を彩っていくのはオフィスを使用する皆さんなのです。いろいろな色に塗っていただければ、それがすべてだと思っています。私の想像を超える使い方もどんどんしてほしいですし、皆さんなりの使い方をどんどん編み出していってほしいなと思います。

阿多:SBT はオフィスワークとテレワークを併用するハイブリッド型の勤務体系を導入していますが、Microsoft Teams などのツールを使うことで、ある程度のコミュニケーションは取れていると思います。しかしオンラインだけではなく、やはり時には対面でのコミュニケーションも取ってほしいと思い、ディー・サインさんにリクエストして多様なコミュニケーションが可能なオフィスをデザインしていただきました。
コミュニケーションは、共に仕事をする仲間との信頼関係を構築してチームワークを高めるだけではなく、生産性の向上などにもつながる重要なツールです。また、会話をすることでいろいろな情報を得ることができ、個人の知見アップやスキルアップにもつながります。
先ほど今村さんがおっしゃった通り、リニューアルの完成がゴールではなくスタートです。これから社員の皆さんと一緒に、より良いオフィスにしていきたいと思います。

お問い合わせ

製品・サービスに関するお問い合わせはお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

開催中のセミナー

最新トレンドや業務に役立つ知識が得られる SBテクノロジーのセミナー 参加無料 オンデマンド配信あり

ピックアップ

セミナー情報
クラウドエンジニアブログ
NOZ
メールマガジン登録