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入社2年目による MA ツール「Eloqua」を使った DX 推進(7)~顧客リストの用意~

T澤

はじめに

こんにちは、デジタルマーケティング担当の T 澤です。
暑さが去りやらぬ昨今ですが、皆さまはどうお過ごしでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で対面での営業活動が難しくなっており、オンライン商談の機会が増えております。Teams などの Web 会議システムの導入と併せて、商談の成果を底上げする MA ツールを検討してみてはいかがでしょうか。
さて、前回は MA(マーケティング・オートメーション)施策を実施するにあたっての「7つの基本ステップ」のステップ4【コミュニケーションフローの策定】をお届けいたしました。


7つの基本ステップ

新入社員による MA ツール「Eloqua」を使った DX 推進(2)」でご紹介した MA ツール導入をより効率よく、効果的に施策を実施するための7つの基本ステップは次のとおりです

前回の【コミュニケーションフローの策定】では、BtoB 企業における顧客の購買行動の変化に伴い、カスタマージャーニーマップから企業が顧客に対して最適なコミュニケーションが何かを整理する必要があることをお伝えしてきました。
次のフェーズは実際にどのお客様に対して施策を打っていくかを検討するために必要な準備となります。企業には営業活動や展示会などで手に入れた膨大な顧客データが存在するかと思います。しかし、その膨大なデータを実際に MA 施策に利用できる状態になっているかが問題です。それが今回、お話しをするステップ5【顧客リストの用意】となります。

顧客リストの用意 目次

ステップ5:顧客リストの用意

ステップ5-1:リードジェネレーション

ここまでの記事をご覧になられた方はすでにご存知かと思いますが、ここで改めて MA に関連する用語の「リード」、「リードジェネレーション」について説明させていただきます。

■リード

端的に言えば、自社の製品に対して契約・購入する前の段階の顧客すなわち見込み顧客です。とはいえ、企業によって様々な定義があるため一概には言えませんが、例を挙げるとするならば「企業のサイトに訪問し、セミナー参加などのフォームに登録した見込み顧客」や「営業活動や展示会等で手に入れた名刺などの個人情報を手に入れた見込み顧客」などがあてはまります。
リードは購入前の段階を網羅的に表現する言葉のため、マーケティング部門ではより細分化して共通言語化しているのが一般的だと言われています。これは以前の記事で説明した MQL(Marketing Qualified Lead)と SQL(Sales Qualified Lead)が該当します。 カスタマ―ジャーニーマップに基づいて実際に顧客のリスト化する際に必要なものなので、共通言語化しておくと良いでしょう。

■リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、リードを獲得するための活動のことを指します。この活動によって見込みがあると判断できるリードを獲得できれば、調査や管理の時間を削減し、効率的な営業活動をすることが可能となります。
実際のリードジェネレーションの方法は以下のようなものがあります。

  1. コンテンツマーケティング
  2. WEB 広告
  3. セミナーの開催、展示会への出展
  4. ダイレクトマーケティング(電話、DM 送付など)
■リードジェネレーションとリードナーチャリングの違い

リードジェネレーションとあわせて利用される言葉にリードナーチャリングというものがあります。これらの言葉の大きな違いとして挙げられるのがリードジェネレーションで獲得するのはあくまでリードという点です。特に BtoB 企業の営業の場合は BtoC 企業と比較して顧客の購入検討期間が長く、商品やサービスに対する興味関心が購入に直結しにくい場合も多いと思います。そのため、リードの情報を集めた上で、適切なコミュニケーションフローによる活動が求められるのです。
このように真のニーズが表面化しにくいリードに対して顧客に合わせて「最適なコンテンツ」を「最適なタイミング」、「最適なチャネル」で提供し、成約に結びつける活動をリードナーチャリングと言います。
顧客リストのボリュームや情報の鮮度に不安がある方はまずはリードの情報を集めるリードジェネレーションから始めてみる方が良いでしょう。そのためにはまず自社の顧客データについて理解しましょう。

ステップ5-2:自社の顧客データを把握する

リードジェネレーションの重要性を理解してもらった上で、次は実際に自社の顧客データの現状について改めて確認していきましょう。
顧客データの管理といえば CRM ツールを利用している企業が一般的だと思います。しかし、導入していない企業やあまり活用できていない企業はどうでしょう。データの一元管理ができており、正しく最新の状態と言えるでしょうか。実際に MA ツールを使用して施策を回そうとした際、信頼できる顧客のデータはどこで入手し、管理すべきか確認できていないのであれば大きな課題と言えます。そもそも CRM ツールとはどのような特徴があり、なぜ MA に必要とされると言われているのでしょうか。

■CRM ツールの特徴

CRM ツールの主な特徴はとしては MA ツールの対象が、自社と取引を行う前段階のリードである点に対して、すでに何かしらの形で取引が行われている顧客を対象としてコミュニケーションを取るという点になります。例としては、顧客がどのような興味関心を持っているかを管理し、より顧客のニーズにマッチした商品やサービスを提供することを目的にして行動する等です。顧客それぞれのカスタマ―ジャーニーに沿ったコミュニケーションを取ることがマーケティングの理想なので、CRM ツールを使って属性情報や行動データをしっかりと管理しましょう。

■MA ツールと CRM ツールを連携するメリット

MA ツールと CRM ツールを連携することには以下のようなメリットがあります。

① 分断されたデータの統合

MA ツールではリードのオンラインでの行動を把握し、CRM ツールではイベントの参加情報や過去の商談情報などオフラインでの情報を管理します。それらを連携することで、リードの情報を一元管理することが可能となります。双方向で情報が同期されるため、マーケティング部門から営業部門リードを引き継ぐ際には、MA ツールを利用しなくても自分がよく使用しているツールで顧客の温度感などが確認できますし、それとは逆に営業部門が得た商談などのオフライン情報を施策の改善に役立てることもできます。
このように、部門の連携がツールを通して容易にできるようになるので、それぞれの業務に役立てることができます。

② 統合データによる正確な意識決定

MA ツールと CRM ツールを連携することで営業部門とマーケティング部門間で情報が分断されなくなるため、どの施策が売り上げに貢献しているか明確に判断できます。
施策から受注に至った場合、その金額から ROI を測定することによって施策のパフォーマンスを定量化することができます。これによって効果が薄い施策への投資を洗い出し、効果の高い施策に集中することが可能となり、コストカット及びパフォーマンスの向上につながります。

③ リアルタイムな情報の可視化

BtoB 企業のマーケティングにおいてはリードの最新の興味関心を把握することが重要になってきます。そのため、従来のように他部門からの情報共有を待つ必要がなくなり、リアルタイムで情報を可視化することで最新のデータに基づいた意思決定が可能となります。

■データ連携をしないことによる影響

MA ツールや CRM ツールなど複数のツールを導入している企業でツール間のリアルタイムな情報を相互に連携できていない場合、意図しない弊害が発生する可能性があります。例えば、MA ツールにはメールの差出人を営業担当者に置換できる機能があるものもあります。その機能を利用してメールを配信した場合、すでにやり取りをしている同名の担当営業からリードに対して今までのやり取りとは全く関係のない内容のメールが届くといったケースが発生する可能性があります。
あらかじめ、商談中といったステータスなどの情報が正しく連携されていないと、すでに商談中のリードに対して見当違いの施策を打ってしまい不信感を与えてしまうなど、顧客体験に悪影響を与えかねません。リード獲得に費やしたコストを無駄にしないためにもツール間の連携は相互に行いましょう。
上記の点を踏まえて自社の顧客データの運用はどうなっているのか改めて確認しましょう。 過去の記事でもお伝えしている通り MA ツールは導入するだけで売り上げが飛躍的に増加するような魔法のツールではありません。事前に自社の状況を見直し、新たに運用フローを構築して正しく使用することで効果を最大化するツールなのです。

ステップ5-3:顧客データを連携する

自社の顧客データ管理がどのように行われているか確認できましたら次は実際に営業部門やマーケティング部門など、部を跨いだ会社全体での運用フローを構築し MA ツールにデータを連携します。
MA ツールと CRM などの顧客管理ツールを相互連携する際に注意すべき点があります。これは CRM ツールなどを導入しておらず、Excel 等のファイルのみで管理している企業にも共通したものです。それは MA ツールに蓄積された顧客データと他に保存されている顧客データを統合する際に同じリードのデータが存在する場合に、どちらを優先して上書きするかルールを予め決めておかなければいけない点です。データのクレンジングの手順やルールを標準化しておかないと過去のデータが上書かれてしまう、間違ったデータで更新されてしまうなど問題が発生する可能性もあるので、連携する前に部門間で話し合い、連携のためのルールを確立しましょう。

最後に

今回は、「7つの基本ステップ」における【顧客リストの用意】についてご説明しました。
MA における【顧客リストの用意】とは、自社内で顧客データを管理している部門やツールを改めて確認し、部門を超えた新しい運用フローを構築することでデータを相互連携するということです。CRM などのツール導入や連携が難しい場合は顧客リストを Excel ファイル等にまとめて、MA ツールにインポートして運用する方法もあります。自社にあった運用フローを構築しましょう。
以前の記事で MA ツール導入をより効率よく、効果的に施策を実施するための7つの基本ステップの中でこの【顧客リストの用意】が最も難易度が高いと述べたのは、説明の通り会社全体を巻き込んだ運用フローの構築が必要だからです。今までの運用から MA ツールのためにこれだけの手順が必要ということはここまでの記事にお付き合い頂いた皆様はすでにご存知かと思いますが、何事もしっかりとした準備によって結果は伴うものです。

次回は、実際に MA ツールの設定をしていく【ツールの準備】です。

以上、T 澤からでした。


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