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SBTのスベテ

SBテクノロジーの原点である“仲間と一緒に挑戦する楽しさ”を壁画で表現

椎名 美保

執務エリア入口の壁画の前で。
赤澤氏(写真右端)、山本氏(写真中央)、金澤(写真左端)

~インタビュー参加者の紹介~
赤澤岳人氏:株式会社OVER ALLs 代表取締役社長
山本勇気氏:株式会社OVER ALLs 取締役副社長 兼 画家
金澤謙悟:SBテクノロジー株式会社 執行役員 サービス統括 セキュリティ&テクノロジー本部長 兼 CDO 兼 CISO

前回の記事では、SBテクノロジー(以下、SBT)の新宿オフィス(本社)の全面リニューアルを記念して行った阿多親市社長とオフィスのデザインを手がけたディー・サイン 今村氏の対談をお届けしましたが、今回はオフィスリニューアル関連ブログ第2弾として執務エリア入口の壁画をクローズアップし、壁画制作に深く関わった当社執行役員 サービス統括 セキュリティ&テクノロジー本部 本部長 兼 CDO 兼 CISO の金澤謙悟(以下、金澤)と、壁画を作成された OVER ALLs の赤澤岳人氏(以下、赤澤氏)・山本勇気氏(以下、山本氏)のインタビューをお送りします。

自分たちの原点を振り返るためのキーワード“挑戦”をコンセプトに壁画を制作

椎名:OVER ALLs と、お2人の自己紹介をお願いします。

赤澤氏:OVER ALLs は、企業理念やパーパス(企業の社会的な存在価値)、会社の歴史といった「会社のコンセプト」を形にするために壁画を制作している会社です。
私はコンセプトを考えるコンセプターとして活動しています。

山本氏:私はアート作成を担当しています。赤澤と共にお客様のお話を聞きながらコンセプトを引き出し、それを OVER ALLs という会社を通じてアウトプットすることが私の役割です。アーティストメンバーを引き連れて全国各地で日々絵を描いています。

※参考:OVER ALLs 社「OVER ALLs | TOP of TOP」

椎名:「挑戦」が今回の壁画のコンセプトとなっていますが、どのような議論を経て決まったのですか?

金澤:“我々の原点に立ち返ることができるような壁画を作ってもらえませんか?”と OVER ALLs さんにオーダーし、“原点を表現する絵とは何か?”という議論をしてきました。
先ほど赤澤さんが企業理念やパーパスとおっしゃっていましたが、最近は自社の存在意義を明確にし、どのように社会に貢献するのかを定め、それを経営の軸として事業を行う「パーパス経営」を重視する企業が増えてきています。パーパス経営が注目されているのは、企業の成り立ちや存在意義に賛同して社員が集まるからです。SBT は「情報革命で人々を幸せに ~技術の力で、未来をつくる~」をミッション(存在価値)に掲げており、それが SBT の原点です。それを壁画でどう表現するか OVER ALLs さんと議論を重ねました。
また、SBT はソフトバンクのグループ企業の中で唯一「テクノロジー」という言葉が社名に入っています。そのため「技術」をテーマにしつつ、未来をつくる上でメッセージ性のあるものを考えました。そのようなことをもとに、自分たちの原点を振り返ったときに出てきた言葉が「挑戦」だったのです。

椎名:初回のオーダーが出てきたとき、赤澤さんと山本さんはどのようなイメージを持たれましたか?

赤澤氏:議論を重ねていく中で、私のほうからは「荒野に苗があるイメージ」と提案させていただきました。他にも「雨だれ」、「施策」、「自分たちで作るんだ」というようなキーワードが出てきまして、それらのキーワードからイメージしたものを絵にして、ラフスケッチとしてお見せしました。

椎名:イメージを絵にして見せることで、どのようなものを希望しているのかを引き出していったのですか?

赤澤氏:そうですね。SBT の皆さんもご提案時などにデモンストレーションをされることがあるかと思います。見せた瞬間にお客様が本気モードになり、「もっとこうできない?」とか「このボタンはいる?」というようなことを言われたことがあるのではないでしょうか。それと同じで私たちがラフスケッチをお持ちすると、皆さんの中でよりリアリティを持っていただくことができます。言葉だけで議論をしていると、響きの良い言葉を並べて話が終わってしまうのですが、ラフスケッチを見せると本音が見えてくると言いますか。ラフスケッチを見ながらだと議論が進むのです。
ただ、SBT の皆さんに初めてラフスケッチ見せたときの反応は“全部イメージと違う”でした(笑)。

山本氏:“絵としてはすごく迫力があるけれども、これが壁画になると違うかな”と言われましたよね。

<議論で出てきたキーワードの数々>
<OVER ALLs 様のラフスケッチ1(©OVER ALLs)>

椎名:金澤さんは OVER ALLs さんの最初のラフスケッチをどのように受け止めたのですか?

金澤:“これらの絵を通じて社員に何を伝えたいのか?”と問われたときに、上手く伝えられないなと感じました。
例えば「Venture」という苗を植える絵は、何もないところに新たな命を吹き込むという意味では個人的にすごく良いと思ったのですが、オフィスというファシリティにみんなで集まってしなくてもいいことであり、メッセージとして伝えることは難しいと思いましたね。
「雨垂れ石を穿(うが)つ※」もすごく奥が深いのですが、奥が深すぎて伝わらないだろうなと思いました。この絵が持つメッセージ性の強さは伝わると思いますが、直感的には伝わらないだろうなと思い、迷いが生じてしまったというのが正直なところです。

※雨垂れ石を穿つ:小さな努力を根気よく続けていくことで、やがて大きな成果につながることを意味する慣用句

椎名:「全部イメージと違う」と言われた後、どのようにして議論を進めていったのですか?

赤澤氏:「挑戦」というキーワードを客観視した絵が中心になっている中で、だんだん議論が「この挑戦の中身はどのような感じなのだろう?」となり、「やはり挑戦することは楽しいよね」という話になったのですね。その「挑戦は楽しい」という単語が印象的で、挑戦する心象風景の方向に話が進んでいきました。

山本氏:私は“挑戦している=何かに夢中になって取り組んでいること”だと思い、それであれば立ち向かうことの楽しさやワクワク・ドキドキ感、みんなでワイワイしている、グングン前に進んでいく感じなどを伝えられる絵にするのがいいのかなと思っていました。

赤澤氏:最近、私が感じていることなのですが、挑戦することが楽しくて夢中になっている人は、誰かに「情熱的だね」と言われたときに「情熱的なのかな?」という感じで自覚がないと思っています。また、自分で「それをやりきる覚悟です」と言うときは、たぶん追い込まれていたり、必死で楽しんでいる余裕がなかったりするときだと思っています。そのため「情熱」や「覚悟」という単語を口にする人は、やりきれない状況にある場合が多いのではないかなと感じていまして。だけど“挑戦することは楽しいことだ”と知っているからこそ、あきらめずに前に進めるわけです。そのような理由から「挑戦」というテーマは素敵だなと思いました。

金澤:大変だったプロジェクトほど後から笑い話になりますし、飲みの場で過去の話としてよく出てきますよね。しかも、みんなツラそうに話すわけではなく、とても楽しそうに話している印象です。

赤澤氏:どんなに大変でも、あきらめずに挑戦することは今の時代すごく大事なことだと思います。それで、そういう方向の絵にしましょうとなり、新たにラフスケッチを提案させていただきました。

<OVER ALLs 様のラフスケッチ2(©OVER ALLs)>
<スタートアップ2(©OVER ALLs)>

社員をモデルにすることで「リアリティ」と「躍動感」があふれる壁画に仕上がった

椎名:ラフスケッチ2の左下の絵だけ大人が描かれていますが、他は子どもの絵なのはなぜですか?

赤澤氏:絵の中で“無邪気さ”を表現するために子どもは必要不可欠な存在です。また、子どもの絵を出したうえで大人が出てくると違う意味を持ちます。“大人なのに裸足で駆けている”というのは、“してはいけないことをしている”という印象を与えることができるのです。
そのようにいろいろなバランスを考えながら提案しました。右上の「壁を楽しむ」は、みんなで楽しみながら、いろいろな道具を持ち寄って壁を越えていくということを表現しており、SBT さんの特徴を一番捉えているという意見が多かったですね。しかし、“心象風景的にはもっと動きがあったほうが良いのでは?”という議論になりました。

山本氏:右側の「壁を楽しむ」と「夢中」は人気がありましたね。子どもの絵を見ると和むという意見もありましたし。ですが、“社員全員に子どもがいるわけではないので子どもの絵はどうなのかな?”という意見もあり、最終的に大人が出てくる左下の絵が選ばれました。

椎名:最後の決め手は何だったのですか?

金澤:躍動感があるところが決め手になりました。新しいオフィスと掛け合わせたときに「今からみんなで駆け出していく」という躍動感を非常に感じる、という意見が多かったですね。
あと、全員で手を取り合いながら楽しんで駆け出していくという感じが、SBT の原点として説明がしっくりくるところですね。“SBT らしさ”が一番含まれていると思います。
SBT は社員の7割が技術者の会社ですけれども、1人でできることは限られますよね。いろいろな得意分野を持った技術者たちが、営業や管理部門の方々も含めて一体となり、手を取り合いながら、どんなに高い壁も力を合わせて乗り越えていくというところに SBT という会社の価値があると言えます。そのような要素が凝縮されていて良いなと思い、私はこの絵を推薦しました。

椎名:コンセプトが決まり、それを実際に絵にしていく上で苦労したことがありましたらお聞かせいただけますか?

山本氏:選ばれた絵の一番大事なところは“仲間のリアリティ”だと思いましたので、ラフの段階では私が想像で描いた人物を描きましたが、リアルにするために社員の皆さんにモデルをお願いしたんです。そして有志の方に集まっていただき、まだ工事中のオフィスの中を走っていただきました。
その際に私からポーズを指定するのではなく、社員の皆さんに考えていただかないとリアリティが出ませんので、挑戦しているときの姿をイメージして駆け出し方やスピード感を考えていただきました。それをカメラで追いかけながら撮影したのですが、これがすごく良かったんですよ。撮影した動画をコマ送りで1コマ1コマ見て、一番雰囲気が出ている場面を描かせていただきました。演じていただいた皆さんの良さが壁画の良さにつながったと思いますね。
私は素直に描けば良いだけでしたので特に苦労はなく、すごく楽しく描かせていただくことができました。

壁画を通じて “仲間と一緒に挑戦するのは楽しい” ということを強く感じてほしい

椎名:壁画を制作される際に工夫されたことなどはありますか?

山本氏:壁画の設置場所が壁際などではなく、壁画の向こう側にも空間が広がっていますよね。これは今まであまりないケースでしたので、この空間にフォーカスを作って抜け感のある絵を描くことは非常に難しいなと思いました。存在感が出せないのではないかと感じましたので・・・。そうならないように構図の演出や筆致、ストロークのスピード感などを工夫することで絵に存在感を持たせようと考えました。
また、御社オフィスの特徴であるグリーンベルトと壁画をつなげたいという気持ちもあり、絵の中に緑を入れています。

椎名:SBT サイドで工夫したことや苦労したことがありましたら教えてください。

金澤:壁画の相談をしている段階では、親会社であるソフトバンク株式会社の完全子会社になることをまだ社員は知らない状況だったのです。そのような状況の中で、SBT の原点となるものを絵として残すことは非常に難しいと感じていました。まず“何のために?”という疑問がありましたので。
しかし、SBT のバリューを失わないようにするためには自分たちの原点、ポリシー、パーパスなどを社員の1人ひとりに持っていただき、どのような環境下でも挑戦することをやめないことが大切です。そのようなメッセージを社員にどのようにして伝えるかを考えることが非常に難しかったですね。

椎名:壁画を制作されるうえで大事にされたポイントを教えてください。

赤澤氏:“挑戦することの楽しさ”を感じてもらえる絵にするというところです。
日本は戦後の貧しかった時代がありましたので、昔の人たちは一生懸命に働いて豊かになりたい、少しでも良い生活をしたいと頑張ってきましたが、豊かになってくるにつれて“何のために働くのか?”という疑問が生まれました。そのような時代の中で御社のコンセプトは非常に重要だと思っています。
“挑戦することは良いことだ”という会社はいくらでもありますが、御社のコンセプト“挑戦することは楽しい”ということを前面に押し出している会社は実は多くありません。御社のビジョンやバリューにも「挑める環境」や「楽しむ」と書かれていますよね。そのように楽しむことを重要視されているところを、きちんと絵で表現することを大事にしました。

椎名:壁画を通じて、社員にどのような気持ちの変化や行動変容を期待しますか?

赤澤氏:私は最近、シラフで仕事をしてはいけないと思っています。シラフはお酒に酔っていない状態ということではなく、通常と変わらない状態という意味です。リモートワークはシラフのまま仕事をするイメージがあります。極端な話、画面をオフにさえしていれば、シャワーも浴びずに髪の毛もボサボサのままでも仕事をすることができますよね。
しかし、出社するときは皆さんお化粧をしたり、髪の毛をセットしたりして身なりを整えると思います。その点で私は出社=シラフではないと思っています。シラフではない状態で、入口の壁画のところで駆け出すときのワクワクする気持ちと言いますか、仕事モードに切り替えると言いますか、ピッチに入るサッカー選手と同じような気持ちになってもらえたら嬉しいですね。

山本氏:今回の壁画は、どこにでも自分を投影できる絵になればいいなと思いながら描きました。例えば“転んでいる人は自分に似ているな”とか、“自分は転んだ人に手を差し伸べられる人になりたい”というふうに。
最近、自分が経験したことなのですが、水の絵を集中して描いていたときに、水の痛いくらいの冷たさ、音、圧、キレイさなどの感覚が薄れてしまったんです。そこで原点に立ち返るために水に触れてみようと思い、長野県安曇野市に水に触れられる場所があるのですが、そこに週1回くらいで通っていました。
私が水に触れて原点に立ち返ったように、皆さんがリセットやリラックス、モチベーションアップするための要素として壁画を役立てていただけたら嬉しいです。皆さんが壁画を見て原点に立ち戻りながら、毎日楽しく仕事ができるものになっていけたらいいなと思います。

金澤:社員の皆さんは SBT という会社に所属しており、仲間と共にいろいろな仕事に挑んでいるということを、壁画を通じて強く感じてほしいです。仲間の大切さをリスペクトして考えることで仕事の幅は広がりますし、仕事のクオリティも格段に上がると思います。そのような考えを原点に持ち、“仲間と一緒に挑戦することは楽しい”と思っていただけたら嬉しいですね。

絵のモデルになった社員と一緒に記念撮影

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