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SBTのスベテ

LINE を用いた家畜の遠隔診療サービス『アニマルック』関係者インタビュー

椎名 美保

SBテクノロジーは2024年4月1日に家畜の遠隔診療サービス「アニマルック」をリリースしました。
アニマルックは、獣医師が遠隔診療を行う際に必要なビデオ通話や、診療の予約・管理ができるサービスです。国内最大規模である NOSAI(※)北海道様など、77診療所への導入が決定しており、NOSAI 獣医師の約半数以上が順次利用を開始しています。
その「アニマルック」のサービス開発に携わった営業担当者とシステム開発担当者に、サービス立ち上げの背景やサービスの特長、今後の展望などを聞きました。

※NOSAI(農業共済組合)とは、農業保険法に基づく農業保険制度を取り扱う農業団体であり、その管轄する区域内の農家が組合員となって運営する法人のことです。NOSAI には家畜診療を行う獣医師が所属しています。

(写真左より)公共営業部 セールスエキスパート 佐藤 佑樹、公共営業部 上原 雅史、
公共事業部 第2開発部 シニアプロジェクトマネージャー 木村 祐介

アニマルックは獣医師の移動時間を削減し、業務効率化を可能にする遠隔診療サービス

椎名:アニマルックの開発の背景とサービスの特長を教えてください。

佐藤:農林水産省の調べによりますと、家畜診療を行う獣医師は基本的に訪問診療になるため、業務時間の3割を移動に費やしています。また、慢性的な人材不足による業務負荷などの課題も抱えていました。
当社は、農林水産省の DX 支援や、先端技術を活用した農業向けサービスの開発などに長年取り組んでいます。これまでに蓄積した知見を活かせば、農業者と獣医師間の課題を解決できるのではないかと思い、アニマルックを開発しました。開発には、以前より遠隔診療ができるツールの開発についてお問い合わせをくださっていた NOSAI 北海道様などにご協力いただいています。
遠隔診療サービスに焦点を当てたのは、2023年4月1日から遠隔診療が家畜共済の保険対象となり、遠隔診療の普及のきっかけになるのではと考えたことと、IT 技術を活用することで獣医師の働き方の効率化に貢献できるのではと考えたことが理由です。
アニマルックは、遠隔診療により獣医師の移動時間を削減して業務効率化を可能にします。また、農場への外部関係者の立ち入りを最小限にすることができ、家畜への感染リスクの最小化に寄与します。
アニマルックの最大の特長は、コミュニケーションアプリの LINE を用いているところです。そのため IT が苦手な方でも直感的に操作をすることができるので、獣医師と農家さんの新たなコミュニケーション手段として有効なツールになると考えています。

上原:他にもアニマルックは獣医師の業務を効率化する機能を備えています。
例えば GPS(位置情報)付き画像による家畜の死亡確認です。獣医師が行う診療の1つに、死亡廃用共済への適用を判断するための死亡確認業務があるのですが、アニマルックでは獣医師は現地に赴くことなく、農家さんから送っていただく GPS 付き画像をもとに死亡確認を行うことができます。
さらに、診療予約の自動化も可能にしました。獣医師があらかじめ診療可能時間をカレンダーに登録しておくことで、LINE や Web 経由の診療予約を自動で受付します。
獣医師の業務は紙ベースで行われるものが多いのですが、アニマルックはそれらの業務を IT によって効率化することが可能です。

椎名:サービスに LINE を用いた理由は何でしょうか?

佐藤:NOSAI 北海道様との会話にて LINE を使った遠隔診療の話を受けたことがきっかけです。LINE を使ったサービスであればより手軽で、多くの方に使っていただきやすいのではと考えました。
また、日本における LINE のユーザー数はおよそ9,500万人で、全年代での利用率も高く、コミュニケーションのインフラメディアとなっていることも LINE を用いた理由の1つになります。

参考:株式会社ガイアックス「2024年7月版!性別・年齢別 SNSユーザー数(X(Twitter)、Instagram、TikTokなど13媒体)」

負荷の高い既存業務をアニマルックでデジタル化。付加価値を高めたことで契約につながった

椎名:アニマルックの開発からサービス提供に至るまでに苦労されたことがありましたら教えてください。

佐藤:アニマルックを知っていただくために全国の NOSAI 様を訪問し、デモンストレーションを行ったのですが、なかなか契約にはつながらず、皆さんに“使ってみよう!”と思っていただくまでが大変でしたね。
そのため、“せっかく苦労して立ち上げたサービスなのに売れるだろうか?”と、営業としてはかなりのプレッシャーを感じていました。

椎名:その状況をどのようにして乗り越えられたのですか?

佐藤:先ほども少しお話しましたが、獣医師の業務の1つに「家畜の死亡確認」というものがあります。例えば家畜の牛が死んだら、獣医師が現地へ赴き、死亡廃用共済への適用を判断するための写真を撮影するという業務です。NOSAI 様より家畜の死亡確認業務の要望を多数いただいておりましたので、アニマルックの追加機能として実装することにしました。
負荷の高い既存業務をアニマルックでデジタル化したことで付加価値を高めることができ、利用したいという声が徐々に出てきまして、77件のご契約をいただくことができました。

椎名:獣医師にとって家畜の死亡確認は課題意識の高い業務ということなのでしょうか?

佐藤:かなり課題意識が高いと思われます。写真を撮影するために、冬の北海道でしたら雪の中を1時間以上かけて牧場へ行く必要があります。離島でしたら、船で片道4時間程かかってしまう場所もあります。アニマルックをご使用いただくと移動時間が丸々なくなるので、多くの方から移動時間を他のことに使えるため業務の効率が全然違うという喜びの声をいただきました。

木村:家畜の死亡確認を LINE でできるというところに皆さん非常に反応されており、遠隔診療以上に家畜の死亡確認に魅力を感じていらっしゃる方が多いという印象です。

上原:先日、NOSAI 様を訪問した際にも、最初は遠隔診療よりも家畜の死亡確認業務で使いたいという話が出ていたので、非常にニーズが高いのだなと感じています。

お客様の声を聞き、アニマルックをより良いサービスに育てていくことが今後の目標

椎名:アニマルックの今後の展望をお伺いできますでしょうか。

佐藤:現在は NOSAI 様がメインになっていますが、今後は家畜以外の領域にもアニマルックを広げていけるような取り組みをしていきたいと考えています。

上原:今後もお客様の声を拾い上げながら、サービス拡充に役立てていき、将来的にはもっと広い範囲で、さまざまなお客様に使っていただけるサービスに育てていきたいと思います。

木村:例えば、アニマルックは LINE を使用するという特性上、電波状況も考慮しなければなりません。地域ごとの特性や環境を理解しながら、“アニマルックでしてあげられることは何か”を考え、プロジェクトメンバーと一緒に品質の向上を目指していく所存です。

家畜の遠隔診療サービス「アニマルック」について、資料請求・ご質問などございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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