SBT シニアコーポレートアーティストの岸です。
前回の記事 では文字だけのスライドを例に、どのように体裁を整えれば見やすくなるかを考えました。通常の業務でも「絵的に美しいスライドを作りたい」という要望以上に、「要旨が分かりにくいので何とかしたい」という要望が多く寄せられます。
様々な資料の編集をしながらどうすれば分かりやすいかを考えているうち、内容の違いこそあれスライドの構図のほとんどは何種類かのパターンに分類できるのではないかと思うようになりました。資料作成の時、スライド1枚ごとに構図を考えるのは大変ですが、「これはどのパターンの構図が適切か」で割り振れば、考える時間はずっと少なくなるのではないでしょうか。
そこで今回は、一般的なビジネス資料でよくみられる構図のパターンと、それらをどのような場合に使うと効果的なのかを考えてみたいと思います。
製品の機能紹介など、優先順位や時系列的に同等の要素を並べる構図です。
もし各要素を1スライドで詳細に説明する場合でも、この構図のスライドを冒頭に置くことで、機能の種類や相互関係などを俯瞰的にとらえることができます。
ただし並列といえども、「比較的メインの要素を大きめに左側に置く」や、「最新の要素もしくはこれから加わる予定の要素を右側に置く」など、伝えるべき意図は念頭に置いておくとよいでしょう。
また、PDCA サイクルのように動きを説明する要素が付加されたものもあります。これは時系列に並んではいますが繰り返し循環することを前提としているため「ビフォーアフター」形式とは性質の異なる表現です。
(※用例スライドはクリックで拡大します)
「前提と主題」形式が「なぜこうなったか」を説明しているのに対し、この「主題と結論」形式は、「だからどうなるのか」を説明する構図です。
例えば製品の紹介であれば、「機能のすばらしさ」を示す以上に、「その機能によって、どのようなよい将来がもたらされるか」をアピールするような場合に用いるとよいでしょう。
また、グラフなどの図解を示した上で、「だからどうなのか」という説明を付けるのも、このグループに入るでしょう。データの提示だけでは見る人によって受ける印象がバラバラになる場合があるので、「これはこういう意図で見せていますよ」という明確なアピールが重要です。
(※用例スライドはクリックで拡大します)
考え方は各人様々だと思いますが、今回は経験則的にこのように分類してみました。
また、これらの構図が入れ子式に複数重なっていることもあるかもしれません。ただ、使用頻度に関わらず本来一番意識しておくべきなのは最後の「主題と結論」形式ではないかと思います。なぜかというと、そもそもプレゼンテーション自体が、「だからどうなのか」を相手に伝えるためのものだからです。
スライド1枚1枚にも小さな結論があり、そしてそれらがプレゼンテーション全体のメッセージに収束されていく。分かりやすい資料と伝わりやすい資料はほぼ同義のように思います。