マーケティングオートメーションを活用すれば、よりスムーズに顧客へアプローチできるようになります。この記事では、マーケティングオートメーションの導入を考えている企業の担当者に向けて、マーケティングオートメーションの概要や機能などを解説します。メリットについても解説するため、導入の参考として役立ててください。
マーケティングオートメーションとは?
マーケティングオートメーションとは、見込み顧客を獲得してから営業担当へ引き継ぐまでのマーケティング業務の流れを自動化することです。顧客のニーズは多様化し、複雑化しています。見込み顧客に対して効果的なアプローチを実現するには、それぞれのニーズにあわせたきめ細やかな対応が必要不可欠です。
マーケティングオートメーションを導入すれば顧客にとって適切なコンテンツを提供でき、最適なタイミングで働きかけができるようになります。マーケティングや営業を最適化するため、マーケティングオートメーションを活用する企業が増えました。
マーケティングオートメーションが必要とされる理由
インターネットの普及により、企業と顧客の接点が増えています。また、顧客は自ら多様な情報を入手できるようになり、ニーズの幅も広がりました。そのような背景を受けて、2014年頃からマーケティングオートメーションが一般的に知られるようになっています。実際に導入する企業も増え、マーケティングや営業のスタイルも変化しました。
テクノロジーの発展や社会の変化により、MA ツールによるマーケティング活動の重要性が高まっています。
マーケティングオートメーションで自動化できること
顧客情報の一元管理
マーケティングオートメーションを導入すると、顧客情報をまとめて管理できます。情報の入手方法、顧客の確度、やり取りの履歴などを自動的に一元管理することが可能です。情報の重複を防げるため、マーケティングや営業を効率的に進めやすくなります。顧客の確度をもとにしてスコアリングしたり、行動によって分類したりする機能もあります。
見込み顧客との継続的なコミュニケーション
マーケティングオートメーションでは、顧客情報と Web サイトのアクセス履歴の紐付けも可能です。どの顧客が何にどの程度の興味を示しているか数値で判断できます。そのため、顧客が求めているタイミングで必要な情報を提供でき、購入意欲をかき立てることが可能です。One to One コミュニケーションを実現できます。
確度の高いリードの抽出
すでに解説したとおり、マーケティングオートメーションを活用すると Web サイトのアクセス履歴の分析が可能です。サービスや商品の導入について顧客がどのように検討しているか可視化できます。そのため、確度の高い見込み顧客を抽出して効率的にアプローチできます。
マーケティングオートメーションツールの機能
見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
マーケティングオートメーションツールには、見込み顧客を獲得するリードジェネレーションの機能があります。将来的に顧客として自社の商品やサービスを購入する可能性があるリードを大量に獲得するための機能です。潜在的なニーズをもつ見込み顧客の興味をひきつけられます。
具体的には、ランディングページや登録フォームを作るページを制作する機能があります。また、広告の出稿による見込み客の反応をチェックする機能や、広告の出稿の条件を管理する機能も便利です。
見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
マーケティングオートメーションツールには、見込み顧客を育成するためのリードナーチャリングの機能もあります。購入を決定するうえで必要な情報を見込み顧客へ提供し、購買意欲を高めることが可能です。MA ツールを活用すると、必要な情報を適切なタイミングで自動的に提供できます。自社の商品やサービスへの関心をさらに高めてもらえるでしょう。
具体的には、見込み顧客の情報をわかりやすく管理するリード管理の機能や、マーケティングオートメーションによって自動化する活動のルールを定めるシナリオ作成(キャンペーン管理)の機能などがあります。
見込み顧客の絞り込み(リードスコアリング/リードクオリフィケーション)
マーケティングオートメーションツールには、見込み顧客を属性や関心度で分類し、確度の高い人を絞り込んで営業へ引き継ぐためのリードスコアリングやリードクオリフィケーションなどの機能もあります。
MA ツールにはスコアリングの機能があるため、見込み顧客の情報をもとにして成約にいたる可能性を割り出せます。それぞれの見込み顧客の属性や行動履歴などをもとにし、優先的にアプローチをかけるべき相手を明確にすることが可能です。
マーケティングオートメーション導入のメリット
顧客とよりよい関係を構築できる
マーケティングオートメーションを導入すると、顧客と良好な関係構築に役立ちます。過度な営業活動をしても、見込み顧客を遠ざける原因になるため注意が必要です。しかし、MA ツールを活用すれば、One to One コミュニケーションを実現できます。
適切なタイミングで必要な情報を提供でき、見込み顧客のニーズにあわせてアプローチでき、エンゲージメントの向上にもつなげることが可能です。
顧客の購買プロセスに合わせたアプローチができる
マーケティングオートメーションの活用により、見込み顧客の関心度や検討の進捗状況を考慮してコンテンツを作成できるようになります。それぞれの段階にあうコンテンツの作成が可能です。タイムリーに情報を提供できるため、見込み顧客の購買プロセスをスムーズに進められます。
マーケティングや営業活動を効率化できる
マーケティングオートメーションでは、購買意欲の低い顧客にも適切なアプローチができます。インターネットやメールなどを使用し、自動的にコミュニケーションを行います。
確度の高い見込み顧客に絞って重点的な営業活動を進められるため、アプローチの効率や生産性を向上させることが可能です。
マーケティングオートメーションを導入する手順
1.課題の洗い出しとゴール設定
マーケティングオートメーションを導入する際は現状の課題を明らかにし、解決に役立つ製品を見極める必要があります。課題によってはマーケティングオートメーションが不要である可能性もあるため、よく検討しましょう。
2.マーケティング戦略の立案
自社の強み、市場の状況、競合他社の現状などをしっかり分析し、マーケティング戦略を立案しましょう。しっかり分析を行わないと、施策の選択を誤るリスクがあります。フレームワークを活用すると過不足のない分析を実現できます。たとえば、3C 分析、SWOT 分析、4P 分析を活用し、効果的な戦略を立てやすいです。
3.ペルソナとカスタマージャーニーの作成
ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する顧客像のことです。属性に基づく漠然としたイメージではなく、具体的な人物を特定できるレベルまで掘り下げます。
ペルソナを想定したら、ペルソナの行動をカスタマージャーニーにまとめましょう。カスタマージャーニーを作成すると顧客との接点を明らかにでき、各タイミングにおける見込み顧客の心理を可視化できます。
4.コンテンツの制作
想定したペルソナにあわせ、興味をもってもらえそうなコンテンツを制作します。コンテンツを通し、自社の優位性や商品・サービスの価値などを見込み顧客に理解してもらうことが大切です。
5.各部門との連携
MA ツールを導入する際は、各部門同士の連携も重要です。マーケティング部門単体で考えるのではなく、営業部門、コールセンター、サポート部門などとの連携を念頭に置いておきましょう。事前に誰がいつまでに何を行うか明確にしておくと、混乱を防いで導入を進められます。
マーケティングオートメーションツールの選び方
自社に必要な機能を兼ね備えているか
自社の商品が BtoB 向けと BtoC 向けのどちらに該当するか考慮し、MA ツールを選ぶことが大切です。管理できるリード数は、BtoB 向けの MA ツールなら1万件程度、BtoC 向けの MA ツールなら10万件程度となっています。自社が扱う情報をしっかり管理できる MA ツールを選びましょう。
使いたいシステムと連携できるか
MA ツールは活用の幅が広いため、本格的に運用すると連携すべきシステムも増えます。特に、大規模な Web サイトでは、専用の顧客管理システムを導入しているケースもあるでしょう。システム同士をしっかり連携させられれば、利便性がさらに向上します。
サポート体制がしっかりしているか
MA ツールを初めて導入する場合は、サポート体制の充実度が重要です。サポートの範囲や方法は、MA ツールを提供している企業によって異なります。自社が安心して活用できるよう、サポート体制がしっかりしている MA ツールを選びましょう。
マーケティングオートメーションの導入を成功させるポイント
Web マーケティングに詳しい人材を確保する
MA ツールは、あくまでもマーケティング業務を効率化するためのシステムです。そのため、マーケティングについて知識がない人が扱っても、うまく使いこなせない可能性があります。MA ツールを導入するなら経験者を雇用し、Web マーケティングに詳しい人材を確保しましょう。外部にコンサルティングを依頼するのもひとつの方法です。
運用のリソースを十分に確保する
MA ツールで成果を出すには一定の期間がかかるため、運用のリソースや人材をしっかり確保しましょう。体制を整えて PDCA を回せば、自社の商品やサービスにとって最適なマーケティングを確立できるようになります。
コンテンツ制作の体制を整える
MA の役割としては、Web サイトに訪問した見込み顧客が次に見るべき最適なコンテンツを提案することがあげられます。マーケティングオートメーションの効果を高めるには、ユーザーに届けるべきコンテンツを充実させたうえで運用を開始しなければなりません。コンテンツ制作は外部にアウトソースして対応することも可能です。
マーケティングオートメーションの事例
ここでは、MA ツールのうち Marketo Engage の導入事例について紹介します。
L社の事例
電子マネーのサービスを提供する L社は、中小規模の店舗での認知度を高めるとともに、店舗に対してタイムリーなサポートを提供する目的で Marketo Engage を導入しました。
ほかのシステムと連携させて MA ツールを活用した結果、申込数は前年同時期と比較して約40%も増加しています。営業部門とも連携し、見込み顧客の購買意欲をスムーズに高めることに成功しました。
K社の事例
文具やオフィス家具を扱う K社は、営業効率を改善する目的で Marketo Engage を導入しました。その結果、資料請求率、新規顧客数、案件化数のすべてにおいて成果が約10%向上しています。セミナーの集客数は約3倍になり、確度の高い見込み顧客をより多く獲得できるようになりました。MA ツールの活用により、セミナー後のフォローも自動化できています。
マーケティングオートメーション導入時の注意点
マーケティングオートメーションを導入しても、マーケティング活動のすべてを自動化できるわけではありません。また、導入にはまとまったリソースやコストがかかります。企業全体でマーケティングオートメーションの導入に力を入れれば、中長期的に高い成果を目指すことが可能です。
SBテクノロジーの Marketo 導入支援サービスの特徴
Marketo Engage は、SBテクノロジーの豊富なアクセス解析の経験をもとにした MA ツールです。マーケティングオートメーションのアクセス解析による KPI 100 選を活用し、施策の成果を高めるためのポイントを把握できるようになっています。
CRM 基盤として Dynamics 365 を扱っているため、CRM 連携や CRM 導入についても相談から運用まで対応しています。Adobe Experience Cloud ソリューションとも連携でき、より⾼度な分析やパーソナライゼーションも実現可能です。
まとめ
世の中の変化により、マーケティングオートメーションの重要性が増しています。MA ツールを活用すれば、マーケティングをより効果的に進めやすくなるでしょう。
SBテクノロジーにおいて Marketo Engage を導入すれば、マーケティングや営業活動を効率化できます。見込み顧客を育成し、優良な見込み顧客のみを営業部門へスムーズに引き継げます。マーケティングや営業の成果を上げるため、ぜひ活用してください。