Office 365 とはさまざまな機能を集約したグループウェアの一種です。この記事では、Office 365 の導入を考えている企業の情報システム部門の人に向けて、Office 365 の特長を解説します。また、実際に導入した企業の変化から Office 365 の効果やメリットを紹介します。Office 365 の効果を具体的にイメージすることができるようになりますので、導入を検討する際の参考にしてください。
Office 365 の特長
Office 365 では、クラウド上のオンラインミーティングやチャット機能、共有ファイルの管理や個人用ストレージ、スケジューラーや ToDo などのアプリや機能をまとめて利用できます。業務に必要となるツールを一カ所に集約したもので、デジタルワークプレイス機能を持つグループウェアが Office 365 です。
デジタルワークプレイスとは業務環境をデジタル化し、いつどこからでも業務や情報共有が行えるシステムを構築することを指します。グループウェアとは、組織内でスムーズに情報共有やコミュニケーションが図れるようにするためのソフトウェアの総称です。
働き方改革を進める効果
Office 365 はクラウド型のサービスです。また、マルチデバイス対応となっているため、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどからも利用ができ、時間や場所を選ばずにセキュリティレベルの高い環境で業務が行えます。このような特長から、時間や場所にとらわれずに自由に仕事をするという考え方である「働き方改革」との相性も良いのです。
Office 365 のメリット
Office 365 では Word や Excel、PowerPoint などの利用が可能です。また、これらのファイルはパソコンのみならずタブレットやスマートフォンからでも編集できるため、外出先からでもスムーズに編集できます。また、複数人で1つのファイルを同時編集が可能で、チーム内でやり取りしながらスムーズに編集できることもメリットです。
スケジューラーやメーラー、チャットやミーティング、社内ポータル閲覧といったコミュニケーションが円滑にできる機能も盛り込まれています。それだけでなく、メールや OneDrive、SharePoint などファイル共有管理ツールも豊富で、利用シーンに応じて各ツールを使い分けられる点もメリットです。さまざまな機能が揃っているため、Office 365 にアクセスするだけですべての業務が行えます。
Office 365 導入の実例から見る効果
Office 365 導入でどのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、実際に導入した実例の導入前・導入後の変化から、Office 365 の効果を紹介します。
Office 365 導入による業務の効率化
ここでは、業務効率化した事例を2つ紹介します。
一つ目の事例として、ある企業では Office 365 導入前、休暇中の社員が急きょ社内ミーティングに参加しなければいけなくなり、そのためだけに1時間かけて出社、ミーティング終了後にまた時間をかけて帰宅するといった非効率的な状況が続いていました。
しかし Office 365 導入後には、Teams のビデオチャットを活用し、わざわざ出社することなく自宅からでもミーティングに参加できるようになりました。Teams では資料の共有なども可能なため、あらかじめ必要な資料や情報が共有でき、スムーズなミーティングが可能です。
二つ目の事例では、オフィスとは離れた場所で仕事をしている社員への指示出しが課題でした。複雑な内容を伝えることが難しく業務が滞ったり手戻りが発生、情報や指示がうまく伝わらないことでチーム内の人間関係が悪くなったりイライラしたりとコミュニケーション面もうまくいかなくなるケースが多かったようです。
そこで、Office 365 を導入し Teams のビデオチャットの利用を始めました。複雑な内容を伝える際には資料や画面共有をすることで、お互いの認識を摺り合わせられるようになり、業務が滞ることもなくコミュニケーション面での問題も解消されるようになりました。
Office 365 導入による社内コミュニケーションの改善
ある企業では、電話やメールなどをメインとして社内コミュニケーションを行っていました。しかし、さまざまな要件をメールにして、情報共有のために宛先や CC に多くのメールアドレスを入れてしまうことで、本当に必要な要件が埋もれてしまって伝わりにくいという問題がありました。
Office 365 導入後には、Teams で社内グループ専用のチャネルやチームを作成し、コミュニケーションをとる方法に移行しています。これにより、コミュニケーションが気軽に積極的にとれるようになり、やり取りの活性化が実現しています。
また、社内で限られた社員のみで進められている非公開プロジェクトがあった場合にも、従来のコミュニケーションツールではストレスが多いことも問題です。関係者だけでコミュニケーションをとろうと思っても、うまくいかなかったり準備が大変だったりと、行動を起こすにもさまざまな苦労とストレスがかかっていました。
一方 Teams には強固なセキュリティが確保されている「プライベートグループ」があります。関係者をプライベートグループに招待して、Teams 内でチャットや資料の共有などを行うことにより、コミュニケーションがスムーズにとれストレスが大幅に軽減しました。
Office 365 導入による研修効果の倍増
導入前は社内での集合研修の際、該当者を集めて1~3日間という短期で研修を行っていました。しかし、短期間で詰め込みすぎて知識が定着せず実戦に活かせないことが課題でした。Office 365 導入後は研修期間を半年に延長、研修と課題をオンライン上で細かく分割し任意のタイミングで受講できるようすることで、定着率が向上し研修効果が倍増しています。
また、SharePoint Online 上に「グループコミュニティ」の設置も行いました。研修内容の実戦や課題の提出、より理解を深めるための追加情報提供などをグループコミュニティで行うことで、スムーズなコミュニケーションが可能です。オンライン研修をマルチデバイス化して、パソコン以外でも受講できるようにする、学習履歴の記録や研修達成時の認定証贈呈なども実施することで、より充実した研修が行えるようになっています。
Office 365 の活用ポイント
Office 365 には Teams や SharePoint Online などさまざまな機能があります。チーム管理が煩雑になりシステム部門の負担が増えるケースもあるでしょう。この負担を軽減して上手に活用するためのポイントを解説します。
Office 365 のメリットを従業員に理解してもらう
Office 365 のメリットを従業員にしっかりと伝えることから始めましょう。会社都合での導入だと、Office 365 を導入しても一部の機能がなかなか使ってもらえないなど浸透しにくいケースもあります。
何のために導入するのかわからないままだとデメリットにばかりに目が行ってしまい使用頻度が下がる可能性もあるため、実際に利用する現場にどのようなメリット・効果があるのかを理解してもらいましょう。なぜ導入するのか、活用するとどのようなメリットがあるのかをはっきりと説明できることが重要です。
現場の課題解決のための活用方法
トップダウンで Office 365 の導入を強行してしまった場合、ツールによっては恩恵が受けられないと感じられてしまうケースもあり、使われにくくなってしまいます。
そのため、現場で働く従業員が感じている課題や困っていること、改善したい業務などをしっかりとヒアリングしておきましょう。Office 365 はあくまでも現場の課題や問題を解決するために活用すべきツールです。課題などを把握し、どのように活用すれば問題を解決できるのか設計しておくことが求められます。
小規模でスタートさせる
業務フローを大きく変えてしまうような規模の施策を広範囲でスタートさせることは、非常にリスクが高いです。そのため、まずは部署単位やチーム単位などの小規模から導入させるとよいでしょう。トライアルのような形で導入して、活用実績が十分に上げられた場合は、他の部署や事業部などへと規模を拡大していきます。
また、Office 365 ではさまざまなツールが提供されています。しかし、実際にどのように使えばよいのか、どのような機能があるのかが理解しきれておらず、一部機能が使わないままになってしまうケースも少なくありません。機能が多すぎると使いにくい場合もあるため、初めのうちは機能を制限しておくことも良い方法です。使い方に慣れてきた段階で、機能制限を解除して利用を広げていくとよいでしょう。
各部署にリーダーを立てる
Office 365 を導入し上手に活用するには、利用を浸透させることとトラブルシューティングの手間を削減することが重要です。そのため、各部署でリーダーを決めましょう。リーダーを選出し Office 365 に関する研修やトレーニングなどを繰り返していけば、利用の浸透とトラブルシューティングが迅速に行えるようになります。
まとめ
Office 365 は、情報共有や資料の編集、社員間でのコミュニケーションなど、さまざまなツールが一カ所にまとまったグループウェアです。導入によって、業務効率化やコミュケーションの活性化、研修効果の倍増といった効果が期待できます。
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