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メールのアーカイブ機能とは?基本や活用するメリット、使い方を解説

メールのアーカイブ機能とは、どのような機能なのでしょうか。ここでは、企業の情報システムの管理・運営に携わる人に向け、メールアーカイブの基本から利用するメリットまで幅広く解説します。Gmail でのアーカイブ手順も解説するので参考にしてください。

メールのアーカイブ機能とは?

単語としてのアーカイブの意味をふまえ、メールのアーカイブ機能について解説します。

広い意味でのアーカイブ

アーカイブは英単語の「archive」から派生しました。archive のもともとの意味は、書庫や保存記録というように、整理整頓の上保存するという意味です。必要なときに適時取り出せる状態であることが、archive のポイントです。

メールについてのアーカイブ

メールで「アーカイブ」という場合は、受信トレイにメールを表示させないことを指します。アーカイブするメールはユーザー自身が選択可能です。いったんは見なくても構わない、というメールのみを選びアーカイブしましょう。

なお、アーカイブされたメールは保管場所が変わったのみでデータは残されています。そのため、データを消す不安なく、受信トレイを整理できます。

アーカイブ機能があるメールソフト

メールソフトによっては、アーカイブ機能を有しないものもあります。アーカイブ機能を使えるメールソフトを紹介します。

Gmail

知名度が高く、企業での利用事例が多い無料のメールソフトです。パソコンとスマホの両方から閲覧でき、精度の高い迷惑メールフィルターが備わっています。添付ファイルの受信、複数のフォルダによる管理、メール転送など基本的な機能が使えます。

eM Client

有料のメールソフトです。無料体験期間があるため、企業にあったサービスであるか確認してから採用しましょう。eM Client はメールアカウントを複数作れ、操作が重くなりにくいという特長があります。また、メールのタイトルやキーワードだけではなく、添付ファイルでも検索可能です。

Thunderbird

無料のメールソフトであり、ユーザーが多いです。Firefox と操作性が似通った部分が多く、愛好者にとっては馴染みやすいメールソフトといえます。また拡張機能をダウンロードできるため、デザインや機能性を好みに応じてアレンジ可能です。

Outlook

マイクロソフト社が運営する有料のメールソフトです。パソコンとスマホの両方から閲覧でき、複数アカウントを所持可能です。また、あらゆるビジネスツールと互換性があるため、企業での利用事例が数多くみられます。

アーカイブしたメールの保存先は?

メールソフトによりアーカイブしたメールの保存先は異なるため、個別に確認しましょう。例えば、Gmail では「すべてのメール」、Outlook では「アーカイブフォルダ」に保管されます。

アーカイブしても容量は減らない

アーカイブしても、メールデータの容量は変わりません。データが消滅するわけではなく、アーカイブ先のフォルダにはデータが残っているためです。容量を減らしたい場合はゴミ箱にメールを入れ、削除まで遂行してください。

アーカイブとミュート・バックアップの違い

アーカイブと混同されがちなメール機能に、ミュートとバックアップがあります。アーカイブとの相違点を解説します。

ミュート

ミュートは、該当メールおよび、メールに対する返信を非表示にできる機能です。アーカイブ済みのメールであれば、返信が来ると受信トレイに自動的に戻されます。一方、ミュートはたとえ返信がなされたとしても非表示のままです。

取引先とのメールをミュートにしてしまうと、相手からの連絡に気付けない恐れがあるため注意しましょう。

バックアップ

バックアップは「特定の時点におけるデータ」を保存することを指し、企業によっては定期的にバックアップを取るルールが敷かれている場合もあります。なお、取得したデータは、トラブル時などのシステム復旧に使用可能です。

一方、アーカイブには「現時点までの一定期間のデータ」が蓄積されます。また、時期ごとに複数のデータがあるバックアップとは異なり、アーカイブデータは一つのみです。

メールをアーカイブする方法

メールソフトにより手順は異なるため、個別に確認しましょう。以下では、Gmail を例に挙げ、メールアーカイブ方法を紹介します。

Gmail をアーカイブする方法

パソコンからは以下の手順でアーカイブを行います。

  1. 該当するメールにチェック
  2. 画面上部に矢印のついたアーカイブアイコンが表示されるのでクリック

スマホからもアーカイブ可能です。該当メールを左右いずれかにスワイプすると、左端にアーカイブと表示されるため、クリックしてください。また、該当メールを長押しするとポップアップが開き、「メッセージをアーカイブ」と表示されるため、クリックしてください。

アーカイブしたメールを確認する方法

アーカイブしたメールは、必要なときにすぐ確認できます。Gmail を例に挙げ、アーカイブしたメールの確認方法を紹介します。

アーカイブした Gmail を確認する方法

アーカイブした Gmail を確認する方法はスマホ・パソコンともに同じで、特別な演算子を利用します。検索窓に「-in:spam -in:trash -is:sent -in:drafts -in:inbox」と入力すると、アーカイブされたメール一覧が表示されます。

さらなる詳細検索も可能です。「-in:inbox」に続けて「from:○○」「subject:○○」などと組みあわせると、差出人や件名に応じ絞り込めます。

アーカイブしたメールを元に戻す方法

Gmail を例に挙げ、アーカイブしたメールを受信トレイに戻す方法を紹介します。

アーカイブした Gmail を元に戻す方法

パソコンからは、以下の手順でアーカイブされたメールを元に戻します。

  1. アーカイブされたメール一覧を開く
  2. 戻したいメールにチェック
  3. 画面上部に「受信トレイに移動」アイコンが表示されるのでクリック

スマホからは、以下の手順でアーカイブされたメールを元に戻します。

  1. 「すべてのメール」を開く
  2. 画面上部の編集をクリック
  3. 戻したいメールにチェック
  4. 画面下部の「移動」をクリック
  5. 「受信」を選択

メールアーカイブサービスとは?

メールの整理・保管法について興味があれば、メールアーカイブサービスも検討しましょう。メールアーカイブサービスを導入すると、アーカイブ作業を従業員個人に任せずに企業内メールを自動で一括管理できます。さらに、受信メールと添付データを自動的に保管可能です。

メールアーカイブサービスの一例

メールアーカイブサービスには、おもに2つのタイプがあります。ゲートウェイ型とクラウド型について解説します。

1.ゲートウェイ型

ゲートウェイ型とは、企業のメールサーバーと外部ネットワークの間に、アーカイブ用サーバーを設置する方法です。外部からのメールをすべてチェックし取りこぼさない点が、ゲートウェイ型のメリットです。一方、アーカイブ用サーバーに問題が発生すると、企業のメールシステム全体が停止する可能性があります。

2.クラウド型

クラウド型は、アーカイブ用サーバーがクラウド上に保管されています。すでにクラウド上でメールを管理している企業であれば、比較的簡単に導入でき、導入コストを抑えられる可能性が高いです。なお、セキュリティ面はサービスを提供する企業に大きく依存するため、セキュリティ対策やアップグレードの頻度を事前に確認しましょう。

メールアーカイブサービスを使うメリットは?

企業がメールアーカイブサービスを導入すると、6つのメリットが見込めます。以下で、メリットの詳細について解説します。

メリット1.セキュリティ対策

契約するメールアーカイブサービスにより差はありますが、メールをアーカイブする過程そのものがセキュリティ対策になります。例えばメールに添付されたファイルは漏れなくチェックされるため、怪しい添付ファイルを削除可能です。ほかにも添付ファイルの暗号化や、HTML メールの画像を読み込ませない機能などが搭載されています。

アーカイブデータへのアクセス権など、セキュリティ関連の設定もできます。企業の環境やビジネスの状況に応じて設定しましょう。

メリット2.誤送信対策

契約するサービスにもよりますが、誤送信対策機能が備わっているサービスもあります。メールを誤送信すると、企業の秘密情報が漏えいするなど深刻なトラブルに発展しかねません。

誤送信対策の一例を、以下に示します。

  • 送信拒否:送信宛先にすべてチェックが必要など、送信に対して条件がつく機能
  • 時間差配信:送信から任意の時間内ならば、送信を取り消せる機能
  • 送信メールの一時保留:送信メールを自動的に一時保管する機能
  • 上長承認:上司の承認を得られたのちに送信する機能

メリット3.コンプライアンス対策

企業に届いたメールを一元管理して必要な場合に見返せるため、トラブル時の調査に役立ちます。また、従業員のメール使用状況も監視可能です。メールを見られているという意識を芽生えさせることで、従業員の不用意な行動を抑制できます。

メリット4.情報の活用

必要なときに企業内データを見返せて、検索も可能です。また、メール受信者がすでに退職していたとしても、アーカイブにはデータが残っています。人ではなく企業にノウハウが蓄積されるのも、アーカイブの特長といえます。

メリット5.メール保存義務への対応

関税法改正により、輸出入にかかわるメールは、一定期間保管しなければなりません。また、当局に求められた場合は、速やかに該当するメールを提出する必要があります。

なお、バックアップでは保存義務に対応できない可能性が高いです。バックアップには検索機能が付いておらず、タイミングによっては保存漏れも発生します。アーカイブならば、過去のすべてのデータを保管できるため安心です。

メリット6.操作性向上

サーバーにメールがたまると、パソコンのパフォーマンスが低下しがちです。パソコンを使った資料作成・データ解析などにしわ寄せがいくため、業務遅延が懸念されます。また、メールを検索する際も、受信トレイのメール量が多いほど時間がかかります。

アーカイブすると、データを削除することなく操作性を向上できます。業務効率のためにもアーカイブを使いましょう。

まとめ

メールアーカイブとは、データを削除することなく受信トレイを整理でき、必要なときには見返せるツールです。また、メールアーカイブサービスを導入すると、セキュリティ対策など企業にとっていくつものメリットがあります。

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