ITキーワード

インシデント管理とは?実施するための5ステップ、メリットや課題解決の方法まで解説

インシデント管理とは、何らかの理由でシステムに不具合が起こった際に、正常に利用できるように復旧するための体制のことです。この記事では、インシデントとは何か、インシデント管理とは何を行うのか、インシデント管理実施のステップ、インシデント管理のメリット・課題などについて解説します。インシデント管理を行う際の参考にしてください。

そもそもインシデントとは

インシデント(Incident)とは、日本語に訳すと「事件」や「好ましくないできごと」「異変」などになります。「重大な事件になる可能性があった、ちょっとした事件」という意味が含まれていることも特徴です。簡単にいえば、迅速に対応しなければ重大な事件に発展する可能性がある事態を、インシデントと呼びます。

ヒヤリハットとの違い

インシデントと同じ意味で使われる言葉に「ヒヤリハット」があります。ヒヤリハットは、作業中にヒヤリとしたり、ハッとしたりなどの感情を示す言葉です。インシデントの中には、ヒヤリハットすることで、すぐに気づくこともありますが、まったく気づけないこともあります。ヒヤリハットがないインシデントは見過ごされる可能性があるため注意が必要です。

アクシデントとの違い

アクシデントには、「不慮の事故」や「災難」などの意味があり、大きな事故が起こってしまった時に使われる言葉です。インシデントは、事件はあったが重大な事故にはつながっていない、アクシデントが起こる前の状態を指します。

インシデント管理とは

インシデント管理とは、システムに不具合が起こった時に、不具合の原因を取り除き、システムを復旧させるための体制をいいます。復旧に係る応急処置もインシデント管理に含まれます。情報システムサービスなどにおいて、ユーザーサポートがトラブル解決のために行なわれることが多いです。

問題管理との違い

問題管理とは、インシデントが発生した原因を追求し、同じインシデントが起こらないようにするまでの過程をいいます。インシデントは、素早く対応することで、大きな事故につながらなくすることが目的です。問題管理では、同じインシデントが再発することを防ぐために、原因究明と対策をしっかりと検討することがより重要となります。

インシデント管理の5ステップ

インシデント管理について5段階に分けて解説します。

インシデント発生を確認する

インシデントが発生したことを確認することからインシデント管理が始まります。ユーザーからの問い合わせやアラートなどによって、インシデントを検出します。インシデントの発生を確認した後は、インシデント内容を記録します。後々の分析のため、ユーザーからの問い合わせ内容や、インシデントの状況などの記録を残すことは非常に重要です。

状況を把握・分類する

実際に起きているインシデントについて、状況の把握・分類を行います。過去の事例を基に、インシデントの緊急度、対応の優先度・難易度などを把握します。インシデントの分類と優先度が決定したら、適切な担当者に対応を依頼します。

解決策を検討する

実際の解決策を検討し選択します。過去の事例を参考にインシデントの解決策を決定します。マニュアル化された簡単なインシデントの場合は、手順とおりの処理を行います。担当者だけで解決できないインシデントについては、上位の担当者や責任者に対応を任せることもあります。

解決策を実行する

解決策を実行し障害を取り除くことで、システムの復旧につとめます。すぐに復旧することが難しい場合には、代替品の提供を行うなど、ユーザーの業務に滞りがないように対処します。ユーザーが普段通りの業務を行えるように、迅速な対応を行う必要があります。

システムが復旧する

インシデントを解消し復旧確認が済んだ後すぐに、関係者やユーザーに復旧の報告を行ないます。顧客のフォローが必要な場合には適切なフォローを必ず行ないましょう。システム復旧への対応が完了した後は、復旧までの経緯をすべて記録しておきましょう。

インシデント管理のメリット

インシデント管理を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。それぞれの立場ごとのメリットを紹介します。

責任者・マネージャーのメリット

インシデント管理を行うことで、日常的に起こりうるレベルのインシデントについては、担当者自身で解決できるようになります。責任者やマネージャーの負担が軽減し、負担が減った分、重要なインシデント対応や問題管理に集中できるようになります。インシデントが発生しないシステムの構築など、品質向上が期待できます。

担当者のメリット

インシデント管理によって、過去に起こったインシデントの記録が行われます。ナレッジが蓄積されていくため、インシデント対応の属人化が防げます。素早い対応が可能になることで、顧客満足度の向上も見込めます。

ユーザーのメリット

トラブルが発生しても、スピーディーで正確なサポートが受けられます。業務が中断されるリスクが減少することで、システムに対する満足度が高まります。過去のインシデントの記録に基づいて対応してもらえることで、信頼感や安心感も得られます。

インシデント管理の課題

インシデント管理の課題について解説します。

同じインシデントが繰り返される

同じインシデントが繰り返されることは、インシデント管理を行う上で大きな課題となります。繰り返し起こるインシデントについては、問題の解決を行い、システムに反映される必要があります。インシデントの情報を記録・分類する体制を構築し、問題管理が行えるように、情報共有できる体制を構築しましょう。

進捗状況やナレッジの共有がされない

情報共有がスムーズに行えていない場合、誰がどのようなインシデント対応を行っているのか、進捗状況などが把握できません。情報が共有されないと、対応が属人化し、特定の担当者しか対応できない、対応レベルに差が出るなどにより、顧客の不満にもつながります。

万が一に備えよう|インシデント対応の課題解決には「MSS」が有効

MSS(マネージドセキュリティサービス)は、クラウド環境などのセキュリティ監視サービスで、インシデントが発生した際の対応の課題解決に有効です。アラートを検知した際の初動対応や、初期対応の必要性をユーザーに報告することなどが行なえます。

MSS とは

MSS とは、クラウド環境のセキュリティ監視を行うサービスで、サイバー攻撃の複雑化・巧妙化などを背景に、近年需要が拡大しています。MSS には、24時間365日システムの監視を行える最先端のセキュリティ監視センターを備えているサービスもあります。

MSS のメリット

不正アクセス・データ改ざん・情報漏えいやウイルス感染などが発生した場合には、できるだけ被害を最小限にし、事業継続を最優先させることが重要です。MSS を導入することで、インシデント対応の優先順位付け(トリアージ)・各種調査・復旧支援を行うためのインシデントレスポンスチームの協力が得られます。

まとめ

インシデント管理とは、システムに不具合が起こった場合に、正常に利用できるように復旧するための体制をいいます。インシデント管理を適切に行うことで、インシデントに対するスムーズな対応・復旧が可能になるため、顧客満足度が向上します。しかし、常にシステムを運用監視し、インシデント対応にあたることは簡単ではありません。

クラウドサービスの導入で重要なセキュリティ対策において、SBテクノロジーのマネージドセキュリティサービス(MSS)には、さまざまな強みがあります。24時間365日お客様システムの運用・監視を行う最先端のセキュリティ監視センター(SOC)を完備し、システム運用を行うため、お客様の負担の大幅削減が可能です。MSS の導入をお考えなら、ぜひ一度お問い合わせください。

セキュリティソリューションに関する資料請求・お問い合わせ

開催中のウェビナー

最新トレンドや業務に役立つ知識が得られる SBテクノロジーのセミナー 参加無料 オンデマンド配信あり