SBテクノロジー CX ユニットの児玉です。
商品やサービスが溢れる昨今、ユーザーの期待を超えることは企業にとってますます重要な課題となっています。特に Web サイトやアプリのデザインにおいては、視覚的に美しく機能的であるだけでなく、感情的なつながりが求められています。その中で注目されているのがエモーショナルデザインです。本記事では、エモーショナルデザインの定義や重要性、具体的なポイントや実践に向けたステップについてお伝えしたいと思います。
エモーショナルデザインとは、ユーザーの感情に訴えかけるデザイン手法であり、単に機能的で使いやすいだけでなく、ユーザーの体験を豊かにし、感情的なつながりを生むことを目指します。従来はプロダクトデザインに主に適用されていましたが、近年では Web サービスやアプリなどのデジタルプロダクトへの適用が活発化しています。
学習アプリの中にはキャラクターを使用して、そのキャラクターがレッスン終了時などにメッセージをくれるというような機能があるものがあるかと思います。キャラクターに愛着を感じ、また学習しようという意欲を訴求する、これはわかりやすいエモーショナルデザインの例といえるかと思います。
また、キャラクターではなくとも、例えば iPhone の写真アプリや Google フォトなどで過去撮影した写真を使用してアルバムを自動作成しユーザーに懐かしいという感情を喚起させ、写真を撮る有用性を訴求する、音楽再生アプリにおいてはユーザー個人向けのお勧めの楽曲リストを作ってそのアプリに特別な感情を持つように促すなどもエモーショナルデザインの例となります。
直接アプリの有用性や、使いやすさには関係ない部分ではありますが、これらの類似機能はおそらく多くの人が体験したことがあり、その機能から感動を得た方も多いのではないでしょうか。
感情に訴えるデザインは、ユーザーの関心を引き、愛着を育むことでリピート利用や口コミを促進します。また競争が激しく供給が行き届いた現代では合理的な理由だけでなく、感情的なつながりを感じるブランドが選ばれやすくなる傾向があるようです。
エモーショナルデザインでユーザー体験を向上させ、感情的な満足感を提供することで、ブランドへの信頼感を高めることも可能です。
それではエモーショナルデザインを実現するためには、どのような方法があるでしょうか。いくつかのポイントをご紹介します。
1. ビジュアルデザイン
色彩、フォント、レイアウト等のビジュアル要素はユーザーの感情に大きな影響を与え、ブランドメッセージを効果的に伝える重要な手段となります。例えば、温かみのある色は安心感を、シンプルなデザインは信頼感を生み出します。
2. ストーリーテリング
ブランドの背景や価値観、商品の開発ストーリーを伝えることで、ユーザーの共感を呼び起こすことができます。例えば、ある企業が社会貢献活動を通じて得た経験を共有することで、ユーザーはそのブランドに対して感情的なつながりを感じるでしょう。
3. パーソナライズされた体験
ユーザーが自分に合った情報やサービスを受け取ることで、特別感を感じ、ブランドへのロイヤリティが高まります。E コマースサイトが過去の購入履歴に基づいておすすめ商品を提案することが例に挙げられます。
4. ユーザーのフィードバックを重視
ユーザーの意見や感想を取り入れることで、より良い体験を提供し、ユーザーとの信頼関係を築くことができます。定期的なアンケートやインタビューを通じて、ユーザーの声を反映させることが重要です。
5. アニメーションとマイクロインタラクション
適切なタイミングでのアニメーションやマイクロインタラクションは、ユーザーの注意を引き、操作のフィードバックを提供することができます。例えば、ボタンをクリックした際にアニメーションが表示されることで、ユーザーは操作が成功したことを実感できます。
6. 共感を呼ぶメッセージ
ブランドがユーザーの悩みやニーズを理解し、それに対する解決策を提供することで、ブランドに対する親近感を深めることができます。例えば、広告キャンペーンでユーザーの共感を得るキャッチコピーを展開することなども効果的です。
エモーショナルデザインを取り入れるポイントを紹介してきましたが、画一的な手法ではないためハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。エモーショナルデザインを実践するためには、ユーザーリサーチの実施、プロトタイピングとユーザーテスト、フィードバックの活用といったステップを踏むことが重要です。各企業やプロダクトに応じた独自のアプローチが求められるため、柔軟な思考と創造性が必要になります。
いかがでしたでしょうか。エモーショナルデザインを取り入れることで、ユーザーエンゲージメントやユーザー体験の向上、ブランドの差別化が期待できます。今後も感情に訴えかけるデザインの重要性はますます高まっていくと考えられます。ぜひ、実践に向けたステップを踏み出してみてください。
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