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DX station

【RPA】他社 RPA ツールから Power Automate Desktop への移行を成功させるためには

RPA チーム

こんにちは。 DX ソリューション技術1部 第2グループの RPA チームです。

近年、業務効率化のために導入した有償 RPA ツールのライセンスコスト削減を目的として、無償利用が可能な RPA ツールであるマイクロソフト社の Power Automate Desktop (以降、 PAD )に移行を検討する企業様からのお問合せが増えております。
また、その移行作業を自分たちで進められるように内製化したいというご要望も多く耳にします。

そのような背景の中、弊社の業務部門から他社 RPA ツールで運用中のロボットを PAD に移行させたいという相談を受けました。そこで今回は社内で実際に行われた PAD への移行プロジェクトについて、どのように移行を成功させたのかをお伝えします。



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はじめに

社内業務効率化のために導入した有償 RPA ツールのライセンスコスト削減を目的として、無償利用が可能な PAD への移行を実施しました。
RPA の専門知識がない市民開発者が中心となって作業を実施し、 RPA チームは作業をサポートする形でプロジェクトに参画しました。

作業の中心となった4名の市民開発者は、業務の合間に作業を実施していく前提のもと1人当たり3ヶ月間で、当時1人月程度の開発工数で作成された2つの既存ロボットを移行させなければなりませんでした。
3ヶ月間という短い期間の中で、既存ロボットの有識者不足や PAD の技術者不足という課題に対して、どのようなアクションで移行を成功させたのかをご紹介します。



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移行における3つの課題と対応策

①既存ロボットの仕様を知らない

課題

本プロジェクトには既存ロボットの仕様を把握しているメンバーが少なかったため、業務担当者から対象ロボットの仕様をヒアリングする必要がありました。ただ、短期間で複数のロボットを移行させなければならないという関係上、以下のようなポイントを押さえたうえで時間を掛け過ぎずに漏れのないヒアリングを実施しなければなりませんでした。

  • 隙間時間で業務処理をヒアリングできるようにする
  • 既存ロボットの重要な処理概要を把握できるようにする

対応策

弊社では RPA の新規開発において効率的に業務仕様を把握するために、ヒアリングシートを利用しております。今回のような RPA の移行においても、本ヒアリングシートを活用することで上記のようなポイントを押さえられると考え、本ヒアリングシートを利用するようにしました。

ヒアリングシートベースで業務担当者に記載いただいた情報をもとにヒアリングを実施できるようになり、関連するメンバーの拘束時間の短縮に繋がるため、業務担当者から協力頂ける体制にも繋がりました。

◇本プロジェクトで活用したヒアリングシートの抜粋

② PAD での開発スキルがない

課題

移行作業を担当する市民開発者には PAD での開発経験を持つメンバーがいなかったため、スムーズな移行を実現させるためには作業の難易度を低下させる必要がありました。一方で、既存ロボットの品質は維持させたうえで PAD でのガバナンスを取り入れられるようにする必要もあったため、以下のようなポイントを考慮しながら移行作業を進めなければなりませんでした。

  • 開発の単純化
  • 既存ロボットの品質の担保
  • PAD でのガバナンスの確保

対応策

弊社では、他社 RPA ツールのコマンドと PAD のコマンドのマッピング表(以降、 RPA コマンドマッピング表)をナレッジとして蓄積しております。今回は RPA コマンドマッピング表を活用することで、既存 RPA ツールで使用しているコマンドを PAD のコマンドに置き換えるだけの方針にして作業を単純化できると考え、 RPA コマンドマッピング表を取り入れるようにしました。

RPA コマンドマッピング表により作業の単純化だけではなく、既存ロボットの処理をそのまま PAD に落とし込むことができるようになり、既存ロボットの品質担保にも繋がりました。

◇弊社でナレッジとして蓄積している RPA コマンドマッピング表のサンプル

また、弊社では PAD テンプレート(ロボットの機能として最低限必要になるログ出力、結果通知、エラーハンドリングなどの共通機能群や、それらを事前に組み込んだスケルトンを PAD で実装しておいたもの)をご用意しております。今回のようにガバナンスを確保したい場合は、開発者による品質のぶれ軽減や統一感を持たせた作りによる標準化が必要なため、 PAD テンプレートを活用するようにしました。

PAD テンプレートの利用により最低限のガバナンスを確立できるようになり、野良ロボットの発生防止やエラー時の効率的な対応も可能になりました。

◇弊社でご用意している PAD テンプレートの概要

③ PAD での運用ノウハウがない

課題

本プロジェクトでは既存の運用方法や業務の流れを大きく変えることなく、各ロボットを PAD に移行させる必要がありました。ただ、移行作業を担当する市民開発者には PAD の製品知識がなく、どのようなライセンスを選択すべきなのか、どのような環境設定を行うべきなのかなど、 PAD でのロボット運用に向けて多くの疑問が生じました。

  • 適切なライセンスの選択
  • 運用端末での環境設定
  • ロボットのバージョン管理などの PAD の製品仕様の把握

対応策

弊社では、上記のようなポイントを PAD の導入~開発、運用で得られたノウハウとして整理し、 FAQ 一覧に取りまとめております。今回のようにスムーズな移行のためには疑問の早期解決が不可欠になるため、 FAQ 一覧を活用するようにしました。

FAQ 一覧を利用したことで適切なライセンス購入や環境設定ができるようになり、現行の運用設計や業務フローを変えることなく、短期間での移行を実現できました。

◇本プロジェクトで利用した FAQ 一覧の抜粋


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おわりに

今回の記事では、社内で実際に行われた PAD への移行プロジェクトを通して、 RPA の専門知識がない市民開発者がどのように移行を成功させたのかをお伝えしました。
ヒアリングシートの活用による効果的なヒアリング、コマンドのナレッジと PAD テンプレートの活用による作業単純化とガバナンス確保、 FAQ の活用による疑問の早期解決などが、短期間での移行の実現に繋がっていったことがお分かりいただけたかと思います。

上記で活用した内容は PAD への移行における様々なお悩みを解決する弊社のサービスメニュー「 PAD リプレイス支援サービス」としてご用意しております。
また弊社では、移行だけではなく導入~アフターフォローなど、 PAD における様々なお悩みを解決するサービスメニューを数多く取り揃えております。
お客様のご要望や解決したい課題に応じて、各サービスを組み合わせながら幅広く対応することも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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