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Dynamics 365 × Power BI 連携による利用価値向上

佐藤

こんにちは。BI エンジニアの佐藤です。
営業プロセスと進捗を可視化して、効率良く営業活動を推進したい!という目的のもと、各種 SFA(Sales Force Automation)を導入されているお客様も多いのではと思います。
SFA にある程度データが蓄積されてきたら注力すべきはデータの活用・分析ですよね。
企業の目的を達成するため、情報を適切に分析することで目標の達成度や自社独自の成功パターンが見えてきて、適切なフォローができ、新たなインサイトが生まれる!!はずです。

弊社では AI(Artificial Intelligence:人工知能 )や BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)によるデータの利活用、分析支援について取り組んでいますが、今回は BI による SFA の利用価値向上について紹介しようと思います。




SFA を活用するために

SFA を導入したからといってすぐに効果がでるものではない事実は、ご利用の企業様では周知のことと思います。
システムを自社独自の仕様にカスタマイズしても、利用する側の準備が整わずに活用が進まないことが多いのではないでしょうか。

例えばシステムの使い方がわからない、同じ情報を複数個所に入力・報告する運用となってしまい手間がかかるなどの課題から、利活用が進まないという話もよく耳にします。
SFA 導入後は運用ルールの見直しや利用者の教育・意識改革を行いながら、以下のような運用フローが確立されることが必要と考えます。

業務フロー説明 定着化に向けた施策
①入力営業担当者が営業活動や案件進捗を入力 担当者が無理なく入力できるフォーマットや営業活動の報告は SFA への入力を必須とするなど運用ルール作成が重要
②確認 マネージャー等の上長がビューやダッシュボードを確認し、状況を把握 動きがない案件や入力漏れを見つけられる仕組みが必要
③フォロー注力案件や状況が良くない案件・担当者を適切にフォロー 「毎朝チェックしてフォロー」する運用とするなど、マネージャーが積極的に活用した運用ルールを作成することが必要

上図で重要なポイントとして、「上長が利用する」ことが SFA の活用の定着には欠かせない要素であると考えます。
上長が「これを使って状況を把握している」という運用ルールがあることで、自ずと担当者に SFA での報告が浸透してくるためです。
これらの運用が軌道に乗ると、顧客情報・営業活動や案件進捗状況が把握できるようになるでしょう。

弊社では多くの Microsoft 社製品を取り扱っており、SFA の一つである Dynamics 365 の導入・開発も支援しておりますが、実際に Dynamics 365 をご利用のお客様からは以下のような課題をお聞きすることが多くあります。

  • 受注・失注情報、確定売上金額などの実績情報は基幹システムで管理している
  • 別ファイルで作成した目標値、マスタファイルなどと併せて分析したい

これらを解決するために、基幹システムやマスタファイルなどの外部のデータを Dynamics 365 側に流し込むバッチを導入することも対策の一つですが、Dynamics 365 の情報を Power BI で読み込み、外部データと共に可視化するという方法もあります。




Dynamics 365 データを Power BI で可視化する

Power BI には Dynamics 365 のデータを取得するためのコネクタが用意されているので、簡単に連携ができます。
また、SharePoint に置かれたファイルや外部 DB のデータを取得することもできるので、これらを組み合わせて企業独自の分析を行うことができます。
組み合わせてどんな分析ができるのか、やってみたいけど具体的な仕様を考えるのが難しいという場合は是非お問合せください。

弊社では SFA の運用に最低限必要な機能を集約した Sales テンプレート for Dynamics 365 および、Dynamics 365 に蓄積された情報を可視化・分析するための Power BI ダッシュボードをご用意しております。

  • Win / Lost 傾向分析: 営業案件の成功・失敗モデルの経過月数、活動評価の傾向を可視化
  • 営業活動サーベイ:  営業活動の量(件数・時間)から質(案件関与・キーマン面会数)を可視化

>「Dynamics 365 導入支援サービス」詳細はこちら

また、Microsoft 社からも、Dynamics 365 Sales の販売分析やプロセス分析を行う Power BI テンプレートアプリが提供されており、こちらも参考になると思いますのでご参照ください。

> Power BI テンプレート アプリ




Power BI レポートを公開する

Power BI レポートが完成したら、レポートの目的に合わせて公開範囲を決め、適切に共有設定を行います。
Dynamics 365 レポートの公開方法としては、以下の2種類が一般的です。


  1. Power BI Service に公開する
    Power BI Service とは、Power BI レポートを組織/部門内で共有できるクラウドベースのレポート閲覧サービスです。
    共有する範囲をユーザー/ワークスペース単位で指定できるので、レポートの目的に合わせて公開設定できます。
    データ取得のスケジュール設定により、常に新鮮なデータでレポートを確認できるので、経営層メンバーへの報告資料としてご利用いただく企業様も多いようです。
    Power BI Service をご利用の場合、参照するユーザー毎に Power BI Pro 以上のライセンスが必要ですが、Office 365 E5 ライセンスをお持ちの場合は Power BI Pro ライセンスを含みますので、是非活用したいところですね。
  2. Dynamics 365 のダッシュボードで表示する
    Power BI Service で公開されたレポートを Dynamics 365 のダッシュボードで読み込み、表示することができます。
    Dynamics 365 固有のグラフ・ダッシュボードよりも、美しく・豊かに情報を表現できるので利用者の気分も上がりますよね。
    Dynamics 365 内に保持しないデータも合わせて確認できるので、例えば外部で保持している売上や活動目標に対して、Dynamics 365 内で保持する売上見込み金額や活動実績と合わせて可視化することができます。
    進捗をリアルタイムで確認できると、営業担当者やフォローを行う上長の業務も適切に対処でき、効率的に進めることができるのではないでしょうか。
    Power BI Service のレポートを Dynamics 365 のダッシュボードで表示する場合、参照するユーザー毎に Power BI Pro 以上のライセンスおよび Dynamics 365 のライセンスが必要となります。
    普段から Dynamics 365 を利用するユーザーのためのレポートであれば良いですが、普段 Dynamics 365 を確認することのない経営層ユーザー向けのレポート等である場合は「1. Powe BI Service 上で公開する」の方法がおすすめです。

上記いずれの方法でも、Dynamics 365 内でグラフやダッシュボードを作成するよりも Power BI と組み合わせることで、より多くの情報をより美しく表現・分析できます。




まとめ

SFA の導入に際して、ユーザーの意識改革や運用ルールの見直しが必要となります。
さらに SFA のデータを活用するためには、社内システムのデータやマスタデータを組み合わせて可視化したいというご要望が多く見られます。

今回は例として、Dynamics 365 と Power BI を組み合わせることで以下のメリットがあることを紹介しました。
 ① Dynamics 365 のライセンスを持たないユーザーでもサマリー情報を確認できる。
 ② Dynamics 365 単体では難しいと感じる他システム連携を簡単に実現できる可能性がある。
 ③ より美しくグラフィカルな表現が可能であり、利用者の活用促進の一端となる。

要約すると、Power BI が Dynamics 365 の痒い所に手が届くような、機能補填をしてくれるという見方ができると思います。
このように BI ツールを用いることで、営業状況や目標の達成度の把握、課題と打開策の検討など、SFA 導入の本来の目的としていたことが「できる」状態に近づくのではないでしょうか。




さいごに

本記事では Dynamics 365 のデータを Power BI で可視化する効果について紹介しました。
Power BI ではもちろん SFA データだけでなく、様々な業界の様々なデータを可視化できます。
また、Power BI は簡単にレポートを作成・公開できるため、各部門のユーザーが業務に必要なレポート自ら作成し、報告・共有を効率化することができます。
しかし実際に必要な要素を組み込もうとすると Power Query の処理やメジャー、リレーションなど難しいと感じる要素も多々あることと思います。
当社では、内製化に向けた段階的なサポートや、レポート導入、保守サービスまで幅広くご支援できるメニューを取り揃えております。
データを活用したいけれども何からはじめればよいか悩んでいるといったお客様も、ぜひ一度お問い合わせください。



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