クラウドエンジニアブログ

データは理解してこそ価値を生む

human01

伊崎 敏生

皆さん、はじめまして!
以前のブログ『「Azure × IoTプラットフォーム」 事始め③』でデータ分析の花形として Power BI というワードが出ていました。
データは集めて分析した後に、その結果を『理解』することがなにより重要です。
そこで今回は、データを理解しやすくするためのツール「Power BI」について紹介したいと思います。

データを「理解」するためには

IoT に限らず Microsoft Azure(以下、Azure) では様々なデータを集めて分析ができます。
しかし、多くの場合分析結果データは数字や文字列(場合によってはバイナリデータ)のカタマリです。
人間が一瞥して理解できる、易しい情報とは言えません。
人間がこれらのデータを理解しやすくするためにはどのようにすればいいでしょうか。

  • 縦棒グラフの高さで大小を表現する
  • 折れ線グラフで増加・減少の流れを表現する
  • 地図と重ね合わせて、地域別の差を表現する

文字以外の表現にすると随分分かりやすくなりますね。よく『可視化』と言われます。ビジネスの世界では BI(Business Intelligence)と呼ばれ、多くの製品がリリースされています。
その中でマイクロソフトの関連製品で真っ先に思いつくのは Excel のピボットグラフでしょう。他に、SQL Server に付属する Reporting Services もあります。これらはローカル・オンプレミスの環境で利用する製品です。
そして、クラウド製品では Power BI が提供されています。クラウド対応ですから Azure との親和性もバッチリです。

Power BI とは

Microsoft Excel を利用している方には「Excel アドインの Power BI は使ったことあるよ。」という方もいらっしゃるかもしれません。
Excel アドインの Power BI で Azure などクラウド上のデータを可視化する場合、「CSV に出力して Excel にインポート」「ODBC で接続」など、データを取り込むのも一手間必要でした。データの更新にも時間がかかります。せっかくデータは Azure 上に集めたのに、これではクラウド対応を謳うことは難しいですね。
そこに、Power BI の名を冠するクラウドサービスが誕生しました。

ここで一旦立ち止まって…
「Power BI」と一言で言っても、実は多くの製品があります。

1. Power BI (Excelアドイン)

Excel アドインとして機能を拡張。

【ポイント】
  • Excel のアドイン(Excel が必要)
  • ローカル環境で Excel と共に利用
  • Power Query, Power Pivot, Power Map などのセットで表現力を大幅に強化

2. Power BI サービス

クラウドで SaaS 提供されているデータ可視化サービス。

【ポイント】
  • クラウドサービス(SaaS)
  • ブラウザで利用(Windows 以外でも利用可)
  • 無償版と有償版(Power BI Pro)がある
  • 他のユーザーとダッシュボード・レポートの共有が可能
  • Azure の各サービスを始め、多くのサービスをデータソースとして利用可能
  • レポートの作成
  • ダッシュボードの作成・共有
  • コンテンツパックの作成(有償版の Pro のみ)

3. Power BI Desktop

レポート作成の一連作業に特化したクライアントアプリケーション。

【ポイント】
  • Windows 用アプリケーション(Windows PC にインストールして使用)
  • 無償
  • レポートの作成
  • ソースデータの変換(ETL)
  • 作成したレポートを Power BI サービスに公開可能

4. Power BI Mobile App

Power BI サービスのダッシュボードとレポートが参照可能な、Windows Phone /iOS/Android 用アプリケーション。

【ポイント】
  • スマートフォンやタブレットのアプリケーション
  • Power BI サービスのレポートが参照可能
  • 閾値を超えた時のアラート機能

5. Power BI Personal Gateway

ローカル PC 及びオンプレミスで稼働するサーバのデータを Power BI サービスへ定期的に同期を取る Windows PC 用常駐アプリケーション。

【ポイント】
  • 定期的にローカル PC やオンプレミスのサーバのデータを Power BI サービスに反映することが可能(レポートの更新・再作成が不要)

2以降が Azure と共に新しく提供されたサービスやアプリケーションです。
そして、3,4,5は2.の Power BI サービスと繋がるアプリケーションです。

つまり次の図のような関係があります。

Power BI サービス

さて、ひとつ気になるポイントが有ります。
2.の Power BI サービスと3.の Power BI Desktop 双方に「レポートの作成」があります。
可視化のメインの作業はレポートの作成です。

それではレポートを作るだけなので、Power BI サービスだけ使えば大丈夫?
レポートとソースデータにより Power BI サービスのみで作成できることもあれば、できないこともあります。

解説:
Power BI サービス単体ではカウントなど簡易な集計はできますが、「関数式を使って演算した結果でグラフを作成する」のようなことは残念ながらできません。Power BI サービスに取り込む前に事前に Excel などを使ってデータを整形しておく必要があります。

可視化のメインの作業はレポートの作成です。
「やっぱり Excel など他のアプリが必要なの?」と思いきや、Power BI Desktop なら単体で全て可能です。

Power BI Desktop には DAX という Excel 関数に似た式があります(日付演算などは Excel よりも高性能です)。また、Excel アドインにあった Power Query と同様データを変換する機能もあります。
つまり、「データを取り込む」「データを整形する」「演算を加えながらグラフを作成する」という可視化に関する一連の工程が、Power BI Desktop 一つで完了します。

しかし、Power BI Desktop はローカル PC にインストールするクライアントアプリケーションです。出来上がったレポートファイルを受け渡すことで他のユーザーと共有することは可能ですが、「ファイルサーバにアクセスできる環境でないと参照できない」「ファイル作成時のデータでレポートが作成されるため最新データではない」など、クラウドの Azure との連携を考えるとちょっと問題が有ります。これらの問題を解決する方法は何か無いでしょうか。

前述した Power BI 製品のポイントとして「クラウドサービス」「他のユーザーとダッシュボード・レポートの共有が可能」を挙げた Power BI サービスならこれらの問題は解決できそうです。そして Power BI Desktop のレポートを Power BI サービスに保存するのはボタン一つで出来てしまいます。また、他のユーザーへの共有はメールアドレスを指定するだけ済んでしまいます。
つまり、Power BI Desktop でレポートを作成し、Power BI サービスで公開・共有するという組み合わせが、多くの方に適した使用の仕方だと思います。
※実は Power BI サービスの共有機能も複数あります。ここは次回のブログで紹介したいと思います。

可視化で悩む前にPower BIを使ってみよう

今までの BI ツールは高価な製品が主流を占めていましたが、Power BI Desktop、Power BI サービスともに無償で利用することが出来ます。
悩む前に Power BI の世界を体験してみませんか。Power BI の操作感は Excel や Power Point に似ているため、意外にハードルは低く感じると思います。
Power BI Desktop はこちらからダウンロード可能です。


次回予告


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