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トイレIoTふたたび(1/3)

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伊崎 敏生

はじめに

当ブログのアクセスランキング上位にトイレ IoT の投稿があります。こちらの記事は投稿直後のみならず、継続的に高いアクセス数を維持しています。

トイレとIoT(IoT 活用事例 1/3)
センサー選びとデータ収集(IoT 活用事例 2/3)
データの可視化(IoT 活用事例 3/3) 

今回は、前回のブログで実運用上の課題として残っていた下記の問題を解決すべく、別のセンサーを用いた事例を紹介したいと思います。

前回ブログ記事での課題

設置場所が限定される

センサーは下記の3つのコンポーネントから成り立っていました。

  • 赤外線を利用した測距センサー
  • Arudino ライクな NodeMCU
  • 駆動用の電池

プラスチックケースに収めワンセットにしましたが、下記のような理由もあり決してスマートとはいい難い状態でした。

  • 「カメラではありません」などの注意書きが必要
  • Arudino ライクな NodeMCU
  • 清掃で向きが変わると検知できなくなる

電池交換が必要

低消費電力型デバイスの組み合わせで作成しましたが、電池駆動であることに変わりはなく、定期的な電池交換が必要でした。
そこで、今回は下記条件をクリアするトイレ IoT を考えます。

  • 邪魔にならないサイズのセンサー
  • センサーは無電源(電池交換不要)で無線通信が可能なもの
  • ドアの開閉状況をリアルタイムで表示する Web サイト

センサーを選ぶ

アイテック株式会社製 アーミン・ あけしめセンサー
アイテック株式会社製 アーミン・ あけしめセンサー(ETB-OCS)

電源不要かつ無線通信が可能な技術に EnOcean があります。今回はドア開閉を検知し、EnOcean の技術で無線送信することができるこちらのセンサーを利用します。このセンサーは磁石を近づけると Close、離すと Open の信号を発信します。上面の黒い部分のソーラーパネル(※)が駆動に必要な電力を発電します。

  • (※)本来 EnOcean 技術を用いたセンサーは省電力のため、内蔵のソーラーパネルによる発電のみで無線通信が可能です。しかし、トイレ内の照度不足のため、内蔵のソーラーパネルのみでは通信に必要な電力が発電できない可能性がありました。そのため、今回は電池も搭載しているモデルを使用していますが、10年近く電池交換は不要です。
アイテック株式会社製 アーミン・ 人感センサー
アイテック株式会社製 アーミン・ 人感センサー(ETC-PIR)

空室でもドアが閉まっている多目的トイレは開閉センサーでは対応できないので、EnOcean 規格の人感センサーを利用します。

今回使用するセンサーには、直接インターネットに接続して HTTP(S)や MQTT、AMQP などのプロトコルを使った通信を行う機能はありません。センサーと Azure は直接繋がらないので、中継するゲートウェイを設置します。ゲートウェイには下記の機能が必要です。

  • センサーからの無線信号を受信する
  • センサーデータを処理し易いデータに変換する
  • インターネットを介して Azure に送信する

ゲートウェイをセンサーからの電波を受信可能で、電源およびネットワークを確保できる場所に設置することで、センサーと Azure を繋ぐことが可能です。

EnOcean GmbH製(Dolphin) USB 400J
EnOcean GmbH製(Dolphin) USB 400J

センサーから送信された信号の受信に USB 接続のこちらのデバイスを使用します。

この受信機は OS からはシリアルポートとして認識され、信号データをバイナリデータとして読み出すことが出来ます。ドア開閉センサー以外にも、EnOcean 規格のセンサー(温度計や気圧計、照度計などいろいろあります)の信号も受信できます。

トイレ側の構成は決まりました。次回は、Azure 側で使用するサービスの構成を検討します。


次回予告


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