SBT で建設作業所向け認証サービス『Con-Bridge』を担当している光安 健太郎と申します。
今回は、労働人口不足の解決と働き方改革が急務の建設作業所にて拡大する建設テックについて取り上げます。
また今後も建設作業所における課題をお伝えさせていただければと思います。
建設現場での IT 利用の現状
建設現場では数多くのクラウドサービスが利用されるようになっています。
主に、戸建て、工務店特化型、工程管理、検査、図面、写真管理、チャットツールなどの活用が進んでおり、新しいサービスもどんどん参入してきている状況です。
「建設テック カオスマップ2021 -今後のトレンド予測-」でもカオスマップという形で数百もの多くのサービスが紹介されています。
こういったサービスが多く作られている背景としては、建設業の労働人口不足と働き方改革が影響しているといえるでしょう。
国土交通省「建設業法、入契法の改正について」にあるように、2020年10月に施行の「改正建設業法」において、適正な工期を設定することが求められました。
関連する規制として2024年から時間外労働の上限が設けられ、罰則付きでの運用が開始されます。
より、建設現場では協力会社とのコラボレーションの時間当たりの質を上げ、タイムシェアリングの考え方で、いつでもどこでも、複数の現場を切り替えて作業を行える環境が必要になってくるといえます。
建設テックの現状分析
上記「建設テック カオスマップ2021」を読み解きながら、作業所の IT 利用を分類してみたいと思います。
建物の ICT-スマートビルディングなど、建設の計画から竣工後の建物運用までを含んだ IT 活用
主に VR/AR/BIM+ が該当し、建物の計画段階では施主のイメージする最終形を仮想的に作成し、実際の建築物とのギャップを無くすために用いられる例や、着工してからは仮想化された完成イメージを BIM イメージとして現場作業員が PC やタブレットで確認することで間違いの防止や、作業イメージをつかみやすくするなどの活用例があります。
また竣工後の建物運用では、スマートビル等脱炭素に貢献するための建物エネルギーコントロール、人流制御などに注目されている分野です。
施行の ICT-ペーパーレスにつながるデジタルデータ活用
検査、図面管理、写真管理等従来アナログで行っていたものをデジタルへ置き換えていき業務の変革を促すものとしていわゆる「DX」を推進するツールが多く登場しています。
従来の紙による図面管理をデジタルに置き換え生産性を上げるツール、工事情報、図面と連携して写真情報を組み合わせ管理を容易にする写真管理ツール、作業所で使われている野帳をデジタル化し、メモを素早くデジタル残せるツールなどが存在しています。
デジタルへ置き換えることで紙の枚数、保管スペースなどを気にすることなく記録ができ、現状の作業を置き換えるツール、作業所への作業員の入退場を顔認証などで自動検知し、出勤状況をデジタル化するツールなども含まれてきます。
現場管理の ICT-データと人をつなぐデジタルデータ活用
上記のようにデジタル化が進んでくると、それらと利用する人を組み合わせて実際の工程作業を直接支援するツールが続々と生まれてきます。
写真とワークフローを組みわせた検査工程支援ツール、作業員の出勤状況を CCUS(建設キャリアアップシステム)就業実績として蓄積させる書類管理ツール、設備施工事業者と情報連携して工事を支援するプロジェクトマネジメントツールなどが挙げられます。
こういったツールは特に利用する人とデータを結び付けて連携速度を上げ、生産性を向上させる直接的な効果を発揮します。
建設テックが狙うデジタル化
上記のような用途でさまざまなサービスが作られていますが、それぞれサービスの生い立ちとして大きく2つに分類できます。
- 設計段階から建築後の運用までのライフサイクル(時系列)を想定し、BIM(建設情報モデル)データ中心の建設現場向けツール
- 各工程のデジタル化から関連工程と連携していくツール
こういった要求は、脱炭素を求める施主(例:大手ビルオーナー)などが付加価値をつけていくため、設計段階から要求事項に盛り込まれ、採用されていくケースと建築品質を高めるために建設会社内で使われるケースがあるようです。
各工程をペーパーレス化し、その前工程、後工程でかかわる承認作業を取り込みツール化していく流れで、建設現場の従事者から要望を取り込みながら前後工程も連携、建設テックベンダーとして開発しながら領域を広げてサービスを拡充していく考え方です。
いずれにせよ、適切にデジタル化したデータと人をつなぐという事が最終的に建設テックの価値を高めていく手段になるといえます。
さいごに
建設現場での ICT 導入について、ご質問などありましたらお気軽にお問い合わせください。
次回は、建設現場においてデータと人をつなぐ際にどのような課題があるのかお伝えしたいと思います。