こんにちは、SBテクノロジー (以下、SBT) セールスコンサルティングチームです。
社内にある顧客データを活用した施策を打ちたい、と多くの企業の皆さんがお考えのことと思います。ところが、いざ活用しようとしたところ、部門ごとに分散してデータが存在していたり、活用しているツールの違いからデータを統合して活用することが困難だったりという話をよくお聞きします。
では、どのようにデータの統合を進めていけばいいのか、その課題と具体的なアプローチについてお伝えしていきます。
今回のケーススタディのお客様は某 EC サイト運営会社様(以下、S 社)です。
S 社の EC サイトでは、一斉配信メール、定期的なダイレクトメール発送、商品送付時の同梱チラシなどの施策により、顧客の獲得と商品の拡販、売上の拡大を図ってきました。しかし、メールやダイレクトメール、チラシの内容に関しては、担当者が今まで培ってきた経験をベースにした発想や判断によるものでした。気がつけば似た内容のメールやダイレクトメールが配信されていたり、同一顧客に毎回同内容のチラシを同梱していたりといった例が散見されるようになっていました。
顧客データは社内に豊富にあるはずと考えていましたが、いざ顧客データの活用をしようとしても、EC サイトからの購入履歴と電話受付からの購入履歴・顧客データが別々に存在していました。また部門ごとに施策を検討するために導入したツールも異なっていました。
豊富にあるはずの顧客データはサイロ化していたのです。
このままで競争が激しい EC サイトの中で生き残っていけるのだろうか、と考えた S 社では、価値あるマーケティング施策を検討するために、サイロ化した顧客データの一元化を図りたいと考え、取り組みを始めました。
しかし、現在導入しているマーケティングツールでは保持できるデータ量に限界があること、そして分析機能が不十分であることが判明したのです。そこで顧客データが統合でき、十分な分析機能を持つツールの導入の検討を始めました。
顧客データを統合し、顧客によりそうマーケティング施策を行いたい、そのためにはカスタマーセントリックな顧客データのカルテ化、つまり顧客の姿を浮彫りにできるツールを導入し、そこに至るためのデータ統合への取り組みが必要になります。そこには次の課題がありました。
部門ごとに異なるツールを導入しているため、データは存在していても、別々に存在していました。その顧客データを統合する必要がありました。
顧客データの統合ができたとしても、そのデータを保持するための環境が整っておらず、現在使用しているマーケティングツールでは、十分な分析ができないことが判明しました。
S 社からの打診を受け、SBT ではヒアリングを実施しました。
そこで明らかになったことは、今までにクラスタリングやスコアリングにはトライしてきたものの、なかなか社内で普及できずに定着しないままにきてしまったことです。
今回、顧客データを統合することで、今までにクラスタリングやスコアリングにはトライしてきたものの、なかなか社内で普及できずに定着しないままにきてしまったことを懸念されていることが明らかになりました。
また、データ分析が不足した状態での施策を行い続けていたために、ディスカウントに走っていました。どのような属性の顧客にどういった施策を打つべきか、ストーリーづけされた施策を明確化することが大切であると考えました。
今回のプロジェクトの背景として、S 社では「利益を数年で倍増させる」という展望を持っています。
そのためには、以下が必要です。
社内に存在しているさまざまな購買データや顧客属性データ、顧客行動データなどから顧客を理解し、新規顧客獲得や既存顧客のクロスセルなど、顧客ごとに最適なアプローチを実現するためには、社内のさまざまなデータソースを統合し、カスタマーデータ基盤(CDP)の構築が必要になります。
データの統合には、会員 ID などをキーにして顧客データを統合していきます。例えばWeb サイトでの注文データ、電話受付の注文データなどをかけ合わせて CDP に統合します。
今回、SBT では Treasure Data を活用したデータ統合と、デジタルマーケティングのコンサルティングを提案しました。
CDP 導入により、顧客リスト活用シーンに応じて、アプローチの方法を変更して施策の価値を向上させることができます。顧客の属性情報や訪問データなどで顧客のセグメントを細かく切って、施策を実施していくための分析、統計データが活用できるようになるのです。
CDP 導入という SBT の提案を受け、S 社は次の懸念を浮かべました。
それは「Too Much」ではないかという点です。
理由としては、S 社が保有する顧客データは、Web アクセスなどのデジタルデータで紐付けられる顧客行動の割合が低く、電話などのオフライン行動の割合が高いためです。
また、今までに実施してきた施策は、CDP が得意とするデジタル領域の施策の割合が低いことも理由のひとつでした。
S 社の懸念を受け、SBT では PoC 的に「顧客データ統合基盤構築」「データ活用モデルの精緻化」を提案しました。
CDP 導入は基本的には全社での取り組みが望ましいのですが、全社導入した CDP の導入効果、データ活用の成果が見えるには半年~1年ほどかかり、社内普及・定着も難しくなることが予想されます。
それならば部門を絞り、PoC 的に実施することで、データ統合による施策の実施と新規顧客獲得といった効果を実感してもらい、CDP 導入につなげていく方法を提案したのです。
PoC での実施内容は次の通りです。
CDP の導入効果、データ活用の成果を得るため「大きい(長期の)ストーリー」と「直近の施策」の両軸での展開を提案しました。
「直近の施策」を行う理由は、まずはスモールスタートで成果を出すことです。過去の取り組みですぐに成果が出ず社内に浸透しなかった、という S 社の社内事情を考慮してのものです。
直近の施策として、効果的な施策を検討するため、顧客データ統合・基盤構築・データ活用モデルの精緻化を、SBT のデジタルマーケティングコンサルティングでサポートを続けています。
各チャネルに分散していた顧客データを統合することで、顧客を可視化して購入見込み度をより正確に捉えるため、購買データだけでなく、行動データを含めた可視化を今後進めていく予定です。
当初ご提案した CDP の全社導入は次のステップになりましたが、PoC 的に顧客データの統合を行い、その分析による施策を手がけて結果を出すことをまずは優先して実施することをおすすめしました。
スモールスタートでの成功体験を重ねることで、データの統合により結果を出せることを S 社内に広めることを通じ、次のステップである全社導入を目指しています。
SBT では、ツールを導入して終わりではなく、社内普及・活用も含めたサポートを通じて、データ利活用の促進を支援しています。
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