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今こそセールスとマーケティングの協業を!B2B 営業の生き残り戦略

こんにちは、SBテクノロジー (以下、SBT) セールスコンサルティングチームの久保です。


ご承知の通り、新型コロナウイルスの流行によりニューノーマルと呼ばれるビジネススタイルに変化しました。従来の訪問型コミュニケーションではなくオンラインコミュニケーションに大きく変化し、顧客の購買活動にも大きく変化が表れています。今後、変化についていけない企業は淘汰され、存続の危機に陥るかもしれません。この変化に対応していくために、今まで以上にマーケティング部門とセールス部門の連携が必要になってきています。しかし、ほとんどの企業が上手くシナジーを生み出せてはいないのではないでしょうか?マーケティング部門とセールス部門をデジタル組織へと変換する事が、DX 成功の鍵を握っています。この記事では、マーケティング部門とセールス部門間における協力体制の重要性についてご紹介します。

セールスとマーケティング活動のデジタルシフト

従来の訪問型コミュニケーションでは、顧客に訪問し提案活動をしていましたが、オンラインコミュニケーションに変わり、直接顧客に訪問する機会が減っていると思います。また、今まではオフラインの情報収集 (セールスによる訪問活動、展示会、セミナー) が主流でしたが、コロナ禍によりオンラインの情報収集 (Web サイト、業界サイト・専門サイト、 SNS 、ウェビナー) に変化しています。企業担当者は情報収集段階で、あらかじめ製品・サービスを特定している事が多くなっており、他社との“違い”をアピールする事が難しくなってきています。今後の企業活動では、オンライン上で顧客の興味関心を把握し、適切なタイミングで情報提供出来るかが他社との差別化に繋がっていきます。

マッキンゼーが2021年3月に発表した「Omnichannel in B2B sales: The new normal in a year that has been anything but」によると、B2B の情報収集がデジタルに変化しているのが分かります。

※ Omnichannel in B2B sales: The new normal in a year that has been anything but (McKinsey & Company): https://www.mckinsey.com/business-functions/marketing-and-sales/our-insights/omnichannel-in-b2b-sales-the-new-normal-in-a-year-that-has-been-anything-but

マーケティング部門とセールス部門の役割を確認しましょう。

マーケティング部門にとって重要な役割は、質の高い見込顧客をセールスに渡し、会社売上に貢献する事です。セールス部門にとって重要な役割は予算達成であり、マーケティング部門からきたリードに対し、提案活動を行い成約する事です。どちらの部門もゴールは売上貢献であるはずですが、なぜか上手く連携が出来ない企業が多いのではないでしょうか?その理由を紐解いていきましょう。

マーケティングリードの 50% はセールスに無視されている

マーケティング部門とセールス部門は、一蓮托生でより付加価値を顧客へ提供していく必要がありますが、なかなか簡単には行かない現状があります。それには部門の軋轢が影響しています。各部門のシナリオから見ていきましょう。

マーケティング部門は「量」を重視

マーケティング部門は、製品軸の発動が強く、市場に対していかに製品に触れてもらうかという意味で、リードの量産が主です。施策に対し、どの業種でどれくらい足を運んでもらっているか履歴を採取して、獲得した個人情報をセールスにハンズオフし、セールスのアクションをフォローします。

セールス部門は「質」を重視

セールス部門は言わずもがな、売上・受注・利益予算の達成です。よって、リードに対して「量」より「質」を重視します。リード育成より目の前の予算達成に向けた短期アクションが求められるシーンも出てくるのです。

なぜ、マーケティングリードはセールスに無視されてしまうのか?

部門のシナリオ差異から部門間協業の壁が生じている企業が多く、アメリカの Demandbase 社の調べでは「マーケティングが提供するリードの 50% はセールスに無視される」「マーケティングが提供するリードの 79% は販売につながらない」との数字が出ています。つまり、マーケティングが認識するリードはセールスの認識するリードではないということです。

ギャップ図版

このようにセールスにとって今リードを追いかけるべきか否か判断する情報もなく引き継がれるため、半数近いリードを無視することになるのです。

個別最適になっていませんか?セールスイネーブルメントの必要性

各部門で最適なシステムを導入しても、効果がないことは明白です。顧客との接点に合わせた営業組織に改善する脱属人化の仕組みづくり(セールスイネーブルメント)から着手していくことを提案します。

セールスイネーブルメント図版

部門をまたいだリードに対する共通定義 (必要な情報) と評価指標 (以下サンプル) を定義することが重要です。

評価指標 狙い
1 リード育成プロセス (ステータス) 定義 コンバージョン条件 (役割) の明確化
2 案件化率 (セールスコンバージョン率) マーケティング・セールス間の連携状況の可視化
3 案件活動数 (成約までの) 施策ターゲットとプロセスの妥当性
4 成約率 施策ターゲットとプロセスの妥当性
5 追加サービス誘導成功率 施策ターゲットとプロセスの妥当性

次に、顧客接点がオンラインに移行している今こそ、リード育成を担う「インサイドセールス」を配置して、フィールドセールスの業務分担を目指します。「インサイドセールス」はアポイントを獲得するまでではなく、案件化までのプロセスを担当することが重要です。セールスは育成プロセスで得た情報をもとに、案件フォローだけに専念するスキームができるのです。

インサイドセールス図版

体制の見直し、役割を跨いだ共通評価指標が整備されれば、システムも組織共通の基盤として見直しが必要です。「顧客とのオンライン接点で、爪痕を残し、競合他社に勝つ。」このような支援ができる仕組みがいいですね。

セールスとマーケティングは最強のタッグチーム

マーケティング、インサードセールス、フィールドセールスに分業体制を構築し、各機能がシームレスに連携すれば、会社全体に大きな成果をもたらすでしょう。ここでは、セールとマーケティングが最強のタッグを組むための秘策を紹介します。

日本国内では上場企業でもマーケティング部門の設置率は低く、独立した組織を持たない企業が大半といわれていますが、あえてこのような分業化をすることにより各部門の課題が明確に炙り出されてきます。それは各役割によって得られる情報が異なる点が挙げられます。

部門 情報内容 情報の質
マーケティング部門 顧客情報・顧客タッチポイント履歴・関心事項 顕在化した情報、ニーズ
インサイドセールス部門 顧客の状況・顧客の検討していること キーマン情報、競合情報
予算・執行時期、
ニーズの状況・背景
フィールドセールス部門 ニーズの源泉・組織文化の把握 ニーズの本質・課題

主にマーケティング部門の情報はターゲットの「興味関心度」を知ることが目的です。セールス部門が求める情報はターゲットの「見込み確度」であるため、目的が異なります。営業職、特にフィールドセールスの本来のミッションは「顧客への継続的な価値の創造」になりますが、短期的には「売上目標に対して予算を達成すること」となるかと思います。

昭和の営業スタイルでは「KKD」(勘・経験・度胸)なのでしょうが、時代や環境が変わり令和の営業は受注に向けた活動の生産性を求めるので有益な事前情報を必要とします。最低限必要なものは BANT 情報になります。こういった情報は顧客の購買プロセスからつかむことができます。そのためには、マーケティングが持っているデータと営業の持っているデータを組み合わせることで顧客ニーズをより正確につかみ、より最適なマーケティング・営業活動ができるようになるのです。

Budget (予算) 予算化されているのか?その予算規模はいくらであるか?
Authority (権限) だれが決定者でどのくらいの権限を持っているのか?
Needs (ニーズ) ニーズ・課題は何か?
Time Frame (時期) 検討・導入予定時期は決定しているか?

右図にあるように、顧客の購買プロセスの動きを一つの顧客データとして集約して仮説を立てることにより自社の営業プロセスを検証しながら有益情報を収集できるのです!

ポイントは、兎にも角にも情報の全体最適化、情報の質、鮮度を高め部門間の情報連携をシンプルにすることです。これにより「セールスとマーケティングの最強タッグチーム」ができるわけです。営業プロセスの各部門がそれぞれどういった情報を必要としているかを意識し顧客情報・ニーズ収集の武器として、IT ツールを活用していただきたいです。

購買プロセス図版

IT ツールを利用することで、それぞれの部門が自部門の立場で顧客の情報・ニーズを検証することができます。

ITツール図版

IT 活用以外に部門連携の運用面も非常に大切で、マーケティング部門は「営業に渡したから安心」ではなくその後のフォローまで決めておくことなど、下記のようなルール化をすることをおすすめします。

  • 誰に引き継ぐか、誰に引き継がれているか
  • どのような状態・条件となったら引き継ぐのか
  • 引き継ぎ時の顧客状況や次のアクションは何か
  • 引き継いだ後の顛末はどうするか

最後に、「セールスとマーケティングは最強のタッグチーム」はお互い共通の目的があるからこそ実現します。その目的を共有することはとても大切です。且つ、一過性のものでなく PDCA を回し試行錯誤しながらの随時運用を回していくことが良い成果を生みます。

セールスとマーケティングは最強のタッグチーム図版

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