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クラウドエンジニアブログ

Azure Migrate でオンプレ VMware 仮想マシンを評価してみた

椎熊 裕一

椎熊 裕一

1.はじめに

みなさん、こんにちは。クラウドアーキテクトの椎熊です。
ついに Windows Server 2008 EOS まで半年を切りましたが、対策はお済でしょうか?

EOS 対策のひとつとして、Azure への移行があります。
Azure へ移行するメリットとして、3 年間セキュリティ更新プログラムのサポートが無償で受けられます。

ただ、Azure へ移行するためにはオンプレミス環境の仮想マシンが Azure で稼動できるか確認する必要があり、どこから手を付けてよいか戸惑うこともあるかと思います。

そういった場合は、Azure への移行に特化した Azure Migrate というサービスを使ってみてはいかがでしょうか。

本ブログでは Azure Migrate についての概要とオンプレミス環境の仮想マシンの評価方法をご紹介したいと思います。


2.Azure Migrate とは

Azure Migrate は、Azure への移行評価から移行までを提供するサービスです。
Azure Migrate では、サーバーだけでなく、データベースやデータなどを移行する機能も備わっていますが、今回はサーバー移行における機能に絞ってご紹介します。

Azure Migrate のサーバー移行については、以下の 2 つの機能があり、Server Assessment で評価をし、Server Migration で移行するといった流れになります。


  • Server Assessment
    • Microsoft 社が提供する移行評価ツールです。
    • オンプレミス環境の Hyper-V および VMware 上の仮想マシンが Azure に移行可能かどうかを評価してくれます
    • 評価の中には、移行可否、移行後の Azure 仮想マシンの推奨サイズ、コストなどが含まれます
    • 依存関係の視覚化を使用すると、サーバー間のネットワーク依存関係や一緒に Azure へ移行した方がよいサーバーを特定してくれます。
    • オンプレミス環境にアプライアンスが必要となります。
    • 料金は基本無料ですが、依存関係の視覚化は 180 日が経過すると、Log Analytics の料金が追加で発生します。

  • Server Migration
    • Microsoft 社が提供する移行ツールです。
    • オンプレミス環境の Hyper-V および VMware 上の仮想マシンを Azure に移行させることができます。
    • オンプレミス環境にアプライアンスが必要となります。
    • エージェントベースの移行と、エージェントレスベースでの移行が選択できます。
    • レプリケーションは基本インターネット経由となります。レプリケーションを閉域網で通信される場合は、ExpressRoute が必要となります。
    • 料金は、各仮想マシンにつき、最初の 180 日間は無料です。180 日が経過すると各仮想マシンにつき、料金が発生します。

料金の詳細は、下記 URL を参照ください。
「Azure Migrate の価格」
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/azure-migrate/


3.Azure Migrate Server Assessment 使ってみた

Server Assessment でオンプレミス環境の VMware 環境の仮想マシンを評価してみました。

構成は以下のとおりです。

Server Assessment

手順は以下の順で実施していきます。

  1. Azure Migrate プロジェクトを作成する
  2. アプライアンス VM を構成する
  3. 評価を設定する
  4. 評価を確認する

1.Azure Migrate プロジェクトを作成する

まず、サブスクリプションの「共同作成者」または「所有者」のアクセス許可を持っているユーザーで Azure Portal にログインします。

[すべてのサービス] – [Azure Migrate] を選択します。

1プロジェクトを作成する。

[サーバーの評価と移行] を選択します。

2プロジェクトを作成する。

[ツールの追加] を選択します。

3プロジェクトを作成する。

必要な情報を入力し、[次へ] を選択します。

4プロジェクトを作成する。

[Azure Migrate Server Assessment] を選択し、[次へ] を選択します。

5プロジェクトを作成する。

今回、移行は実施しませんので、[今は移行ツールの追加をスキップします] にチェックして、[次へ] を選択します。

6プロジェクトを作成する。

[ツールの追加] を選択します。

7プロジェクトを作成する。


2.アプライアンス VM を構成する

[Azure Migrate] の画面より、[サーバー] – [検出] – [ダウンロード] と選択します。
すると、アプライアンスの OVA ファイルのダウンロードが開始します。

1アプライアンス

ダウンロードが完了しましたら、vCenter サーバーより [ファイル] – [OVF テンプレートのデプロイ] を選択します。

2アプライアンス

ダウンロードした OVA ファイルを指定し、[次へ] を選択します。

3アプライアンス

アプライアンスの名前、配置先ホスト、配置先データストア、ディスクのフォーマット、ネットワークを選択し、[終了] を選択します。

4アプライアンス

デプロイが完了すると、以下のような画面が出ます。

5アプライアンス

アプライアンスのコンソール画面を開き、仮想マシンをパワーオンします。

6アプライアンス

7アプライアンス

[Accept] を選択します。

8アプライアンス

パスワードを設定し、[Finish] を選択します。
この際、英字キーボードとなっているため、注意してください。

9アプライアンス

アプライアンスにログインし、ネットワークの設定 (IP アドレス、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー) を行います。

アプライアンスを設定していく上で、Virtual Disk Development Kit (VDDK) 6.7 が必要となりますので、事前にモジュールをダウンロードし、配置しておきます。

ブラウザより、[http://code.vmware.com/web/sdk/6.7/vddk] にアクセスし、[ダウンロード] を選択します。
※ ダウンロードには MyVMware のアカウントが必要となります。無料で作成することが可能ですので、お持ちでない方は作成してください。

10アプライアンス

[Download Now] を選択します。

11アプライアンス

[Accept] を選択します。

12アプライアンス

ダウンロードが完了しましたら、所定のフォルダ [C:\Program Files\VMware\VMware Virtual Disk Development Kit] に配置します。

13アプライアンス

デスクトップ上の以下のアイコンをダブルクリックもしくは任意のブラウザで [https://アプライアンス名または IP アドレス:44368] にアクセスする。

以下の画面が表示されたら、[ライセンス条項に同意する] にチェックを入れます。

14アプライアンス

[確認してインストール] を選択します。

15アプライアンス

[続行] を選択します。

16アプライアンス

[ログイン] を選択し、Azure Portal へログインします。

17アプライアンス

適切なサブスクリプション、移行プロジェクトを選択し、任意のアプライアンス名を入力したら、[登録] を選択します。

18アプライアンス

[続行] を選択します。

19アプライアンス

接続する vCenter サーバーの FQDN もしくは IP アドレス、ユーザー名およびパスワードを入力したら、[接続の検証] を選択します。

20アプライアンス

[保存して検出を開始] を選択します。

21アプライアンス

[アプライアンス構成が完了しました。] と表示されたら、アプライアンスの構成は完了です。

22アプライアンス


3.評価を設定する

[Azure Migrate] の画面より、[サーバー] – [アクセス] と選択します。

1評価を設定

任意の評価名を入力します。
既定のままですと、リージョンが西日本、3 年のリザーブドインスタンスで Azure 利用料が計算されてしまいますので、[評価のプロパティ] の [すべて表示] を選択して変更します。

2評価を設定

以下のとおり、条件を変更します。

ターゲットの場所:東日本
予約済みインスタンス:予約インスタンスはありません。
VM シリーズ:すべて選択
通貨:日本円 (\)
Windows Server ライセンスを既にお持ちの場合:いいえ

3評価を設定

任意のグループ名および評価する仮想マシンを選択します。
今回は、すべての仮想マシンを選択しました。
[評価の作成] を選択します。

4評価を設定


4.評価を確認する

[Azure Migrate] の画面より、[サーバー] – [評価] と選択します。

1評価を確認

作成したばかりですと、パフォーマンスデータがあまりないため、信頼度の評価が低いです。信頼度は、評価による仮想マシンの推奨サイズの信頼性を判断する目安となります。
従って、信頼度が高いと、Azure Migrate の評価によって推奨された仮想マシンのサイズの信頼度が高くなります。
評価の詳細を表示するには、作成した評価を選択します。

2評価を確認

Azure への対応性や月間の Azure 利用料が確認できます。

3評価を確認


4.さいごに

いかがでしたでしょうか?
Azure Migrate がなくても、vCenter サーバーから情報を取得して Excel などで加工すればできなくはありませんが、とても手間ですよね。
Azure Migrate であれば、アプライアンスの構成に少し手間がかかるものの、アプライアンスを一度構成してしまえば、常に最新の情報で評価を確認できます。
次回は、この評価をもとに移行を実施してみたいと思います。
今回実施した内容は無料で試すことができますので、ぜひ試してみてください。

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