みなさまこんにちは。クラウドアーキテクトの卵です。
この時期になると、私が新人だった頃を思い出します。
前職で入社1年目から超巨大プロジェクトに配属され、毎日遅くまで必死になって仕事に食らいついていたのですが、時期柄どうしても百貨店にある甘いものが食べたくなったため、数日前から業務調整をしていました。「この日は早く帰って甘いものを買って帰るぞ!」という思いを胸に。
が、そういう時に限って、トラブルは起こるものです。
定時後、そろそろ帰ろう!と思っていた矢先、他チームでトラブルになり、何故か私が駆り出されてしまいました。もちろん、その日も遅くなりました…。さらに悪いことに、こういう日に限ってコンビニに甘いものがなく、結局何も食べられなくてしょんぼりしながら家に帰ったのを覚えています。
うん!今日は早く帰って甘いものを食べる!
今回は案件で中国における Azure を導入するために必要なことを調査した際、ためになることが多かったので、私の備忘録も兼ねてまとめてみようと思います。
最近、私のチームで「中国で Azure を使いたい」というお客さまからの引き合いが多く見受けられました。よくあるのが「日本で構築したアプリケーションの中国版を作りたい」「中国にある複数拠点のデータを一元管理したい」という内容です。
おお!いいですね!
お客さまもクラウドの利点を理解し、グローバルに Azure を活用しようと思ってくれているのは素晴らしいことです。アーキテクト兼コンサルタント兼エバンジェリストとしてクラウド化を推進する活動を行っている我がチームとしては嬉しいです。
でも、ちょっと待ってください。
その実現したい要件は、中国の Azure で実現可能ですか?
結論から言いますと、中国の Azure(以降、中国 Azure と表記) と通常の Azure(以降、グローバル Azure と表記)は似て非なるものです。大げさに言えば、Java と JavaScript ぐらいの差があります。
今回取り上げるテーマは前編・後編に渡って契約系の話が多いので、技術を求めている方にとっては退屈かもしれません。しかし、インターネット上にも情報が少ない内容ですので、中国で Azure を使いたい方は参考にしていただけると幸いです。
なお、中国 Azure については、Microsoft の Docs にもまとめられています。今回は主に以下のサイトをベースにまとめました。
【参考: Azure China 21Vianet(英語)】
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/china/
まずは中国 Azure の概要についてまとめます。
中国についても他のリージョンと同じく、Microsoft Azure のホームページに情報があります。
【参考: Azure の地域】
https://azure.microsoft.com/ja-jp/global-infrastructure/geographies/
リージョン | 計4リージョン 中国北部(China North):北京 中国北部2(China North2):北京 中国東部(China East):上海 中国東部2(China East2):上海 |
---|---|
データの保存場所/主権 | 独立したプラン - 中国国内での独立した専用ネットワーク |
コンプライアンス | 中国特有 |
対象 | 中国にビジネスの拠点を持つ組織 |
中国 Azure とグローバル Azure の違いについて、以下の観点よりまとめてみました。
<中国 Azure とグローバル Azure の違い>
1. Azure の運営
グローバル Azure の運営は Microsoft が行っていますが、中国 Azure はグローバル Azure から独立して運営されています。中国リージョンの運営は、中国のインターネットサービスプロバイダーである 21Vianet 社が実施しています。
2. 契約方法
グローバル Azure は Microsoft と契約を行いますが、中国 Azure は 21Vianet と契約を行います。
3. 支払方法
グローバル Azure の支払は クレジットカード、デビットカード、請求書払い等、支払方法が数種類ありますが、中国 Azure の支払は基本的に Alipay か UnionPay となります。
支払のタイミングもグローバル Azure と中国 Azure で異なります。グローバル Azure は利用した分のみの請求(後払い)となりますが、中国 Azure はデポジット制のため、事前の支払(先払い)が必要となります。
中国 Azure では、事前の支払(先払い)方法として、以下2つの購入プログラムがあります。
オンラインサービススタンダード契約(OSSA) | セルフサービスのオンライン購入を希望する個人または企業のためのプログラム。 |
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オンラインサービスプレミアム契約(OSPA)種 | 3年間の契約期間と最低年間コミットメントで契約プロセスを通じて Azure を購入したい企業向けのプログラム。 |
4. Microsoft アカウント
中国専用の Microsoft アカウントが必要となります。グローバル Azure の Microsoft アカウントをそのまま使用することはできません。中国に現地法人を設置し、その立場で中国用のアカウントを取得する必要があります。
現地法人に対してはもちろんのこと、利用者個人に対しても審査(反テロ法対策を含む)が行われるので、取得に数カ月かかることも珍しくないようです。
ICP 登録(ICP 出願) | コンテンツを無料で提供する非営利の WEB サイトに義務付けられている登録制度。 WEB 公開から30日以内に、所在地の公安局に届ける。 |
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ICP ライセンス | EC など営利目的サイトを運営するための許可証。 WEB サービスのコンテンツによって、様々な営業許可証が必要となる場合がある。 |
中国 Azure は、「Azure」と名がついていながら、契約や支払い、接続といった観点で中国独自の要素がはいっているため、似て非なるものだということがお分かりいただけたかと思います。 次回、後編では、中国 Azure が使用可能になるまでをまとめます。 お楽しみに!
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