みなさん、こんにちは。
先日、Azure Standard SSD の一般提供が開始されましたね。
今回は、Standard SSD について簡単にご紹介し、Standard HDD との比較をしていきたいと思います。
Standard SSD をこれから利用する際に、ご参考にしていただければ幸いです。
Standard SSD はすべての仮想マシンで利用することができます。
以前は、SSD を利用するには、Premium ディスクに対応した特定の仮想マシンを利用する必要がありましたが、Standard SSD の一般提供により、安価な仮想マシンでも HDD よりも高速な SSD を選択できるようになりました。
また、Standard SSD の利用料金は、利用したストレージ容量に応じて課金されますので、ちょっとした検証等の用途にも利用可能となっています。
その他、機能的には、マネージドディスクの Standard HDD とほとんど変わりません。
最新の情報は以下を参照いただければと思います。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/disks-standard-ssd
各ストレージの性能と価格を下記にまとめて、比較してみました。
左右にスクロールしてご覧ください。
項目 | Standard SSD | Standard HDD ※1 |
---|---|---|
IOPS | 最大 500IOPS | 最大 500IOPS |
スループット | 最大 60MiB/秒 | 最大 60MiB/秒 |
ブロックサイズ | 256KiB | 256KiB |
価格(月額)※ 2 | E10 128GiB 1,075.20円 |
S10 128GiB 659.46円 |
SSD と HDD で性能の差はないように見えますが、上記はあくまで理論上の最大値となります。
それでは実際はどの程度性能に差が出るのでしょうか。試してみたいと思います。
Standard SSD の詳細については下記 URL を参照ください。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/disks-standard-ssd
Standard HDD の詳細については下記 URL を参照ください。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/standard-storage
Standard SSD と HDD のスループットについて、実際どの程度差が出るのかを比較します。
同じ1台の仮想マシンに、SSD と HDD のディスクをマウントし、ベンチマークツールでスループットを測定します。
性能テストは下記の構成で実施します。
ベンチマークについては下記の3ケースを実施します。
左右にスクロールしてご覧ください。
ブロックサイズ | Standard HDD | Standard SSD | 性能差 ※ | ||
---|---|---|---|---|---|
IOPS | スループット | IOPS | スループット | ||
4KiB | 203 | 0.8MiB | 404 | 1.6MiB | 2.0 |
8KiB | 194 | 1.5MiB | 411 | 3.2MiB | 2.1 |
16KiB | 196 | 3.1MiB | 391 | 6.1MiB | 2.0 |
32KiB | 198 | 6.2MiB | 373 | 11.7MiB | 1.9 |
64KiB | 168 | 10.5MiB | 321 | 20.1MiB | 1.9 |
256KiB | 135 | 33.6MiB | 185 | 46.2MiB | 1.4 |
左右にスクロールしてご覧ください。
ブロックサイズ | Standard HDD | Standard SSD | 性能差 ※ | ||
---|---|---|---|---|---|
IOPS | スループット | IOPS | スループット | ||
4KiB | 194 | 0.8MiB | 349 | 1.4MiB | 1.8 |
8KiB | 167 | 1.3MiB | 327 | 2.6MiB | 2.0 |
16KiB | 167 | 2.6MiB | 317 | 5.0MiB | 1.9 |
32KiB | 148 | 4.6MiB | 314 | 9.8MiB | 2.1 |
64KiB | 148 | 9.3MiB | 283 | 17.7MiB | 1.9 |
256KiB | 98 | 24.4MiB | 182 | 45.6MiB | 1.9 |
Read と Write の比率を半々にしたところ、SSD と HDD ではスループットに大きな差が出ました。
Read のみのケースと比較すると、SSD の場合ではスループットの低下はほぼ見られませんでしたが、HDD の場合では若干のスループットの低下がみられました。
左右にスクロールしてご覧ください。
ブロックサイズ | Standard HDD | Standard SSD | 性能差 ※ | ||
---|---|---|---|---|---|
IOPS | スループット | IOPS | スループット | ||
4KiB | 183 | 0.7MiB | 333 | 1.3MiB | 1.8 |
8KiB | 183 | 1.4MiB | 335 | 2.6MiB | 1.8 |
16KiB | 184 | 2.9MiB | 319 | 5.0MiB | 1.7 |
32KiB | 174 | 5.5MiB | 312 | 9.7MiB | 1.8 |
64KiB | 163 | 10.2MiB | 292 | 18.2MiB | 1.8 |
256KiB | 90 | 22.5MiB | 183 | 45.6MiB | 2.0 |
Write のみにしたところ、SSD と HDD のスループットにさらに差が出ました。
スループットについては約2倍ほど差が出ています。
全ケースにおいて、スループットは SSD の方が高いことがわかりました。
また、SSD については、全ケースにおいてスループットがほとんど低下していませんが、HDD について Write 比率が上がるにつれて、スループットが徐々に低下していくのがわかります。
一般的なアプリケーションであれば Read/Write のアクセスがランダムに発生しますので、スループットが安定することにより、システム全体の性能向上にも繋がってくると思います。
また、価格面において、SSD は HDD の約1.6倍の料金設定となっていますが、性能面では約2倍の結果が出ていることを考えると、SSD の方が性能当たりの費用が安くお得だと言えそうです。
やはり HDD と比較し、SSD の方がパフォーマンスに優れています。
Premium SSD を利用せずとも、Standard SSD 利用すれば、より安価に安定したスループットが期待できます。
ですので、本番環境は Premium SSD を、開発環境は Standard SSD を利用する等、使い分けをしていくとコストを下げつつ、安定したパフォーマンスを得ることができそうです。
ぜひ利用してみてください。