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Azure Standard SSD と HDD の比較

椎熊 裕一

椎熊 裕一

1.はじめに

みなさん、こんにちは。
先日、Azure Standard SSD の一般提供が開始されましたね。
今回は、Standard SSD について簡単にご紹介し、Standard HDD との比較をしていきたいと思います。
Standard SSD をこれから利用する際に、ご参考にしていただければ幸いです。

2.Standard SSD の特徴

Standard SSD はすべての仮想マシンで利用することができます。
以前は、SSD を利用するには、Premium ディスクに対応した特定の仮想マシンを利用する必要がありましたが、Standard SSD の一般提供により、安価な仮想マシンでも HDD よりも高速な SSD を選択できるようになりました。
また、Standard SSD の利用料金は、利用したストレージ容量に応じて課金されますので、ちょっとした検証等の用途にも利用可能となっています。
その他、機能的には、マネージドディスクの Standard HDD とほとんど変わりません。

最新の情報は以下を参照いただければと思います。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/disks-standard-ssd

3.Standard SSD と HDD の比較

各ストレージの性能と価格を下記にまとめて、比較してみました。

左右にスクロールしてご覧ください。

項目 Standard SSD Standard HDD ※1
IOPS 最大 500IOPS 最大 500IOPS
スループット 最大 60MiB/秒 最大 60MiB/秒
ブロックサイズ 256KiB 256KiB
価格(月額)※ 2 E10 128GiB
1,075.20円
S10 128GiB
659.46円
※1:Standard HDD はマネージドディスクの場合
※2:別途ストレージに対するトランザクション数で課金されます

SSD と HDD で性能の差はないように見えますが、上記はあくまで理論上の最大値となります。
それでは実際はどの程度性能に差が出るのでしょうか。試してみたいと思います。
Standard SSD の詳細については下記 URL を参照ください。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/disks-standard-ssd
Standard HDD の詳細については下記 URL を参照ください。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/standard-storage

4.性能テスト

Standard SSD と HDD のスループットについて、実際どの程度差が出るのかを比較します。
同じ1台の仮想マシンに、SSD と HDD のディスクをマウントし、ベンチマークツールでスループットを測定します。

性能テストは下記の構成で実施します。

  • 仮想マシン:Standard DS1 v2(1vcpu 数、3.5GB メモリ)
  • OS Disk:Premium SSD
  • Data Disk1:Standard HDD(キャッシュ無効)
  • Data Disk2:Standard SSD(キャッシュ無効)
  • OS:Windows Server 2016 Datacenter Edition
  • ベンチマークツール:iometer(1インスタンス)


ベンチマークについては下記の3ケースを実施します。

  1. ストレージへ Read のみの負荷をかける(Read 100%/Write 0%)
  2. ストレージへ Read/Write 等しく負荷をかける(Read 50%/Write 50%)
  3. ストレージへ Write のみの負荷をかける(Read 0%/Write 100%)
1.ストレージへ Read のみの負荷をかける(Read 100%/Write 0%)
グラフ

左右にスクロールしてご覧ください。

           
ブロックサイズ Standard HDD Standard SSD 性能差 ※
IOPS スループット IOPS スループット
4KiB 203 0.8MiB 4041.6MiB 2.0
8KiB 194 1.5MiB 4113.2MiB 2.1
16KiB 196 3.1MiB 3916.1MiB 2.0
32KiB 198 6.2MiB 37311.7MiB 1.9
64KiB 168 10.5MiB 321 20.1MiB 1.9
256KiB 135 33.6MiB 185 46.2MiB 1.4
※ HDD のスループットを1としたときの、SSD のスループットの比率

Read 性能について、ブロックサイズが 64KiB 以下の場合は約2倍の差が出ました。

2.ストレージへ Read/Write 等しく負荷をかける(Read 50%/Write 50%)
グラフ

左右にスクロールしてご覧ください。

ブロックサイズ Standard HDD Standard SSD 性能差 ※
IOPS スループット IOPS スループット
4KiB 194 0.8MiB 349 1.4MiB 1.8
8KiB 167 1.3MiB 327 2.6MiB 2.0
16KiB 167 2.6MiB 317 5.0MiB 1.9
32KiB 148 4.6MiB 314 9.8MiB 2.1
64KiB 148 9.3MiB 283 17.7MiB 1.9
256KiB 98 24.4MiB 182 45.6MiB 1.9
※ HDD のスループットを1としたときの、SSD のスループットの比率

Read と Write の比率を半々にしたところ、SSD と HDD ではスループットに大きな差が出ました。
Read のみのケースと比較すると、SSD の場合ではスループットの低下はほぼ見られませんでしたが、HDD の場合では若干のスループットの低下がみられました。

3.ストレージへ Write のみの負荷をかける(Read 0%/Write 100%)
グラフ

左右にスクロールしてご覧ください。

ブロックサイズ Standard HDD Standard SSD 性能差 ※
IOPS スループット IOPS スループット
4KiB 183 0.7MiB 333 1.3MiB 1.8
8KiB 183 1.4MiB 335 2.6MiB 1.8
16KiB 184 2.9MiB 319 5.0MiB 1.7
32KiB 174 5.5MiB 312 9.7MiB 1.8
64KiB 163 10.2MiB 292 18.2MiB 1.8
256KiB 90 22.5MiB 183 45.6MiB 2.0
※ HDD のスループットを1としたときの、SSD のスループットの比率

Write のみにしたところ、SSD と HDD のスループットにさらに差が出ました。
スループットについては約2倍ほど差が出ています。

5.まとめ

全ケースにおいて、スループットは SSD の方が高いことがわかりました。
また、SSD については、全ケースにおいてスループットがほとんど低下していませんが、HDD について Write 比率が上がるにつれて、スループットが徐々に低下していくのがわかります。
一般的なアプリケーションであれば Read/Write のアクセスがランダムに発生しますので、スループットが安定することにより、システム全体の性能向上にも繋がってくると思います。

また、価格面において、SSD は HDD の約1.6倍の料金設定となっていますが、性能面では約2倍の結果が出ていることを考えると、SSD の方が性能当たりの費用が安くお得だと言えそうです。

6.さいごに

やはり HDD と比較し、SSD の方がパフォーマンスに優れています。
Premium SSD を利用せずとも、Standard SSD 利用すれば、より安価に安定したスループットが期待できます。
ですので、本番環境は Premium SSD を、開発環境は Standard SSD を利用する等、使い分けをしていくとコストを下げつつ、安定したパフォーマンスを得ることができそうです。
ぜひ利用してみてください。




次回予告
  • Azure Cloud Shell による仮想マシンへのアクセス



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