こんにちは、SBテクノロジー (以下、SBT) セールスコンサルティングチームです。
今やどの企業もホームページをはじめとする Web サイトをお持ちかと思いますが、その中でも「会員サイト」と呼ばれる、登録したユーザーに向けた情報発信型のサイトを運営している企業も多いかと思います。
今回ご紹介するケーススタディは、データサイエンスの技術を用いてサイト分析や改善提案を行い、顧客課題の解決に導いたプロジェクトです。
会員サイト運営に悩む方に今最も読んでいただきたい、ポイントをまとめたケーススタディをご紹介します。
製品名は、2022年1月時点の情報です。
今回のケーススタディのお客様(以下、A 社)をご紹介します。
A 社は、業界内でも歴史ある国内大手の人材サービス会社で、国内有数の登録者数を誇る会員サイトを運営しています。
そんな A 社は、どのような課題を抱え、どのような目標を持ち、何を解決するために当社の「機械学習導入支援サービス」の利用を決めたのでしょうか。
A 社は、運営する会員サイトの「エビデンス・仮説を用いた改善のサイクルを完成させる」というゴールを掲げています。そのゴールに向け、自社で運営する会員サイトのアクセス数や問い合わせ数の増加を目的に、Google が提供する無料アクセス解析ツール Google Analytics のメタデータを用いた会員行動のクラスター分析によるサイト改善を行うことを決めました。
このプロジェクト全体に3カ年を費やす計画を立て、会員サイトのユーザー属性推定 AI の PoC(概念実証)および AI のアウトプットを利用したユーザー属性の解明をすることを目指しました。
A 社の上層部の思想として、サイトのコンバージョン(以下、CV)改善にとどまらず、A 社ビジネス全体に大きなインパクトを与えるような KPI を以てサイト改善を行うことが掲げられてしました。
しかし、サイトの改善活動が現場の勘や経験に基づく属人的な状態になっており、改善のために必要なデータを揃えて PDCA を回すというノウハウを持っていなかったことが、A 社にとってかねてからの大きな課題でした。
この課題解決とともに、A 社内の Web マーケティング部門担当者が分析データをもとに、施策の検討と実行を自主的に回していく文化を根付かせることも目指すところでした。
ではなぜ A 社は当社の「機械学習導入支援サービス」を利用するに至ったのでしょうか。
当社はもともと A 社の会員サイト解析用に、Adobe Analytics、Adobe Target、Google Analytics の利用に関するコンサルティングを行っている背景がありました。
これらツールでできるのは Web アクセスの解析が主ですが、さらにもっと深く綿密な情報を調べてビジネス活用したいというご要望があがり、SBT の別部隊である「機械学習導入支援サービス」専門部隊が関わることになったのです。
実は当社にご依頼いただく前に、A 社では他社に分析を委託したり、A 社内で独自に実施したりして、サイト解析を試みようとしたそうですが、なかなか思う成果に結びつかず悩まれていたとのことでした。
先に述べたように、このプロフェクトには3カ年をかけることになっており、ある程度時間を要するプロジェクトでした。そのため当社からは大きく3つのフェーズに分けた段階的なご提案をしました。
ご提案した3つのフェーズとは、具体的に次のようなものでした。
ご提案後、2020年1月~3月にフェーズ1として簡易的な Web 行動分析を実施し、運用するサイト内の行動を用いた CV 分析が有用であることが分かってきました。
その後、その結果に関してのディスカッションを両社で行ったうえで、詳細な予測モデル構築の前に、初回 Web 行動の全体像を把握してサイト改善に利用できる知見を得たいとの要望を当社にいただきました。
ここでは、フェーズ1の流れを汲んでフェーズ2で行った当社の挑戦をご紹介します。
フェーズ1で会員サイト内のあらゆるエビデンスデータの分析を経て、フェーズ2に踏み込みましたが、ここで当社が具体的に行ったことは、主に Google Analytics のメタデータを用いたユーザー行動のクラスター分析です。 クラスター分析は、多くの異なるデータを似たもの同士に分類するための分析方法ですが、当社が今回のプロジェクトで最も苦労したのはこの部分でした。
先に述べたように、A 社の会員サイトには登録者数が莫大にいます。したがって Google Analytics のメタデータは一日で数ギガも溜まる非常に膨大なユーザーの Web 行動データです。今回はそのデータを1年分解析することとなり、データの受け渡し方法や前処理等ビッグデータの取り扱いについて様々な工夫を行いました。
データ受領と前処理が終わったら、そのデータを機械学習の手法を用いて分類します。様々な指標も確認しつつ、今回は結果として8パターンのクラスターに分類しました。その後、属性情報等のデータもふまえて様々な方法でデータを可視化し、8つの顧客層をプロファイリングしました。その結果について A 社と何度も議論を重ね、時間をかけて顧客理解の糸口を見出しました。
クラスター分析では機械学習で出した結果に対して人手で解釈を行う必要があります。A 社の業務知識と当社のデータサイエンティストの深い分析知見を合わせることで、分析結果をどう解釈しビジネスに活用するのかについて深い考察を行うことができました。
8パターンに分類した各クラスターに、A 社内で貯めている属性情報を付加し、ユーザー像を解明・パターン化しました。そして A 社では、そのクラスターに向け Web サイトの視覚的要素を一部変更した AB テストを行い、導線改善を実施しました。 その結果、以下2点を達成することができました。
効果としては、CV への導線改善による CV 率向上が期待されるとともに、副次効果として、課題のあるページを特定することができました。
そしてさらに、現在 A 社では分析の結果改善の余地があると明らかになった検索機能に関して抜本的な改善を行うための下準備を進めています。SBT では今後も「エビデンス・仮説を用いた改善のサイクルを完成させる」という A 社の目標に向け支援を続ける予定です。
MA ツールや BI ツールなどでデータの表層的な分析・可視化は以前より手軽に、また誰にでもできるようになってきていますが、もう一段階深い示唆やセグメンテーションを行おうとすると、やはり分析のプロフェッショナルであるデータサイエンティストの力が必要になってきます。
なかなかそこまで深掘りできる企業が少ないなか、SBT では、細かくビジネス議論しながら分析を深化させていくためのプロフェッショナルな視点や経験値をもとに、今後もお客様をご支援します。
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