EDR(Endpoint Detection and Response)とは、サイバーセキュリティの分野で、ネットワーク上の各エンドポイント(PC やサーバー、モバイル端末など)を監視し、悪意のある活動を検出して対応するための技術やツールのことを指します。
EDR を提供する代表的なメーカーの中で当社では、Microsoft、Cybereason、CrowdStrike、Trend Micro、この4社が提供する EDR 製品を取り扱っています。今回はこの4社が提供するそれぞれの EDR 製品の特長について簡単に説明します。
EDR の主要な役割
EDR は、組織のエンドポイントがサイバー攻撃のターゲットとなることが多いため、効果的にリスクを低減するために重要な役割を果たします。
具体的には、以下のような機能を提供します。
- 1. リアルタイム監視
- エンドポイント上での動作や通信を監視し、異常な挙動を検出します。
- 2. 脅威検出
- マルウェア、ランサムウェア、不正アクセスなど、悪意のある活動や攻撃を識別します。
- 3. 自動対応
- 検出された脅威に対して、自動的に隔離、遮断、削除などの対策を講じます。
- 4. インシデント調査
- 発生したセキュリティインシデントについて詳細な調査ができ、攻撃の経路や影響を特定するためのツールを提供します。
- 5. ログ管理とデータ収集
- 攻撃の痕跡を収集し、後で解析や証拠として使用できるようにします。
以下ではこれらの機能を有した主要な4社の製品について、それぞれ特長をご紹介します。
各社の EDR の特長
1. Microsoft 社(Microsoft Defender for Endpoint)
特長
Microsoft Defender for Endpoint は、特に Windows 環境に強みを持つ EDR 製品で、マイクロソフト製品との統合が非常に深いです。リモートからの脅威の検出、対応、管理を提供し、攻撃の発生を早期に発見し、迅速に修復を行います。クラウドベースで運用できるため、管理が一元化され、スケーラビリティも高いです。
主な強み
- Windows との統合:特に Windows OS に搭載されている機能を活用できるため、OS や Microsoft 365 などの Microsoft 製品と密接に連携
- 高度な脅威分析:機械学習と行動分析を使用して攻撃のパターンを検出し、早期に対処
- セキュリティ運用の自動化:インシデント対応の自動化やリモートからの修復機能
- Microsoft のインテリジェンス:高度な脅威インテリジェンスを活用した検出と対応
2. Cybereason 社(Cybereason EDR)
特長
Cybereason EDR は、AI 駆動型の脅威の検出およびその脅威に対応する EDR 製品で、特に高度な攻撃のチェーンを視覚的に追跡する機能が優れています。AI と機械学習を用いて、未知の脅威を特定し、リアルタイムで攻撃を防ぎます。攻撃の動きを追跡し、根本原因を突き止めて対応します。
主な強み
- AI および機械学習:高度な脅威を検出するために AI や機械学習を活用
- 攻撃チェーンの追跡:攻撃の初期段階から最終的な目的までを視覚的に追跡し、インシデントに迅速に対応
- 使いやすいインターフェース:攻撃の可視化やレポート作成がシンプルで直感的
- ユーザモードで動作するためブルーバックなどのクラッシュを引き起こさないなど、端末への負荷が最⼩限になるよう設計
3. CrowdStrike 社(CrowdStrike Falcon)
特長
CrowdStrike Falcon は、クラウドベースで提供される EDR プラットフォームで、ゼロデイ攻撃や APT(高度な持続的脅威)攻撃に特化した検出能力を提供します。軽量かつスケーラブルな設計で、非常に高いパフォーマンスを誇ります。リアルタイムでの脅威検出と、攻撃の進行状況の可視化が特長です。
主な強み
- 軽量でスケーラブル:クラウドベースで、リソースを効率的に使用し、企業規模に応じたスケーラビリティを提供
- ゼロデイ攻撃や APT 攻撃への対応:高度な脅威インテリジェンスを使用して、高度な攻撃に対応
- リアルタイム監視と分析:攻撃の発生をリアルタイムで監視し、即時に反応可能
- 脅威インテリジェンスの統合
脅威インテリジェンスを活用し、攻撃のパターンや手法に基づいて迅速に対策
4. Trend Micro 社(Trend Vision One – Endpoint Security)
特長
Trend Vision One – Endpoint Security(V1ES)は、企業向けの総合的なエンドポイントセキュリティソリューションを提供しており、EDR 機能については AI と機械学習を駆使して高度な脅威を検出・防御します。複数のレイヤーで脅威を検出する機能を提供し、エンドポイントにおける多様な攻撃に対応します。特にランサムウェアや不正アクセス、マルウェアの検出に強いです。
主な強み
- 多層的な脅威防御:シグネチャ、AI、行動分析、振る舞い分析など、複数の検出方法を組み合わせて多角的に防御
- ランサムウェア防止:ランサムウェアの振る舞いを検出して、攻撃を未然に防止
- クラウドとオンプレミス対応:クラウドとオンプレミスの混在環境でも一元的に管理できる
- リアルタイム脅威対応:高度な脅威分析と自動対応機能によって、リアルタイムでの攻撃を検出し、修復
各 EDR に適している企業とニーズ
ここまで各 EDR 製品の特長をご説明しましたが、自社に適した EDR 製品はどれなのかしっかり検討したうえで選択することが重要です。以下では、それぞれの EDR 製品はどんな企業に適しているのか、また各 EDR 製品の特徴的なニーズについてご紹介します。
1.Microsoft Defender for Endpoint
適している企業
- Microsoft Defender for Endpoint は、特に Windows OS に搭載されている機能を活用でき、追加のエージェント導入が不要なため、Windows 環境が中心の企業に最適です。Microsoft 製品(Windows、Microsoft 365、Azure)を多く使用している企業には非常に有効な選択肢となります。
- すでに Microsoft 製品を使っている場合、Defender ATP はその既存のインフラとシームレスに統合でき、運用効率が向上します。
特徴的なニーズ
- Microsoft 製品との密接な連携
- 既存の Microsoft 環境を強化
- セキュリティ運用を一元管理
2. Cybereason EDR
適している企業
- 高度な AI を活用した攻撃チェーンの追跡や、未知の脅威に対する対応に強みを持つため、APT 攻撃や高度なサイバー攻撃への対策を強化したい企業に最適です。
- セキュリティチームが積極的に脅威ハンティングを行う企業や、セキュリティ分析の深さを求める企業に向いています。
- 使いやすいインターフェースと高度な分析機能があり、セキュリティの専門家による運用が求められる企業に適しています。
特徴的なニーズ
- 高度な攻撃の検出と追跡
- 迅速な脅威対応と攻撃の可視化
- 高度な脅威ハンティングや調査能力
3. CrowdStrike Falcon
適している企業
- 高度な持続的脅威(APT)やゼロデイ攻撃に強い EDR 製品で、特に高度な攻撃やターゲット型攻撃への防御が必要な企業に最適です。
- クラウドベースで設計された軽量なエージェントであり、システムへの負荷を抑えることが可能です。そのため、分散環境やグローバルに展開する企業に適しています。
- 企業規模が大きく、エンドポイント数が多い企業でもスケーラブルで軽量に運用でき、パフォーマンスを重視する企業に向いています。
特徴的なニーズ
- ゼロデイ攻撃や APT 攻撃に対する強力な防御
- 軽量なエージェントで、システムへの負荷を軽減
- 大規模で分散した環境でのセキュリティ強化
4. Trend Vision One – Endpoint Security
適している企業
- 多層的な防御アプローチを提供しており、特にランサムウェアやマルウェア対策を強化したい企業に適しています。
- 機能の豊富さとスケーラビリティにより、中小企業から大企業まで幅広い規模に対応しています。
- エンドポイントセキュリティを他のセキュリティツールと統合し、効率的に運用したい企業に最適です。
特徴的なニーズ
- 複数の防御レイヤーを組み合わせたセキュリティ
- ランサムウェアやマルウェアの防止
- 中小企業から大企業まで対応可能な柔軟性
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当社では、上記4製品を取り扱うとともに、セキュリティ監視サービスであるマネージドセキュリティサービス「MSS for EDR」もご提供しています。EDR 製品が検知したアラートを、セキュリティの専門家が24時間365日体制で解析し、脅威の影響度を迅速かつ正確に判断します。そして、必要に応じてブロックなどの初動対応までを代行することで、お客様のセキュリティ運用を強力に支援します。
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