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未来に繋ぐセキュリティ情報発信

生成 AI ビジネスシーン利用における注意点

伏見 修一

2023年は、生成 AI 元年と言っても過言ではない程、連日のように新たな話題が続き、世界的に一般利用者まで広がりを見せました。
アドビ社の「XYZ 世代間の生成 AI に対する意識と使用実態」に関する調査結果によると、世代によって生成 AI に対する捉え方が異なることが分かります。
本ブログでは、ビジネスシーンにおける生成 AI 利用の課題について考察します。

※アドビ社 「XYZ 世代間の生成AIに対する意識と使用実態

生成 AI を使う人は悩んでいる

ChatGPT の登場により、生成 AI という「画期的なエンジン」と、何かを入力するという、自動車で例えるなら「汎用的なハンドル」の組み合わせが提供され、操作方法はなんとなく分かるが、どのように使えば便利なのか?この使い方で問題はないのか?といった疑問を持つ X 世代層が多数を占めていると思われます。
この事態に、さまざまな IT ベンダーが「従来型のハンドル」を操るための便利なインターフェースやロジックを搭載し、サービス化しているのですが、そもそも

  • このエンジンは、どの道だったら使ってよいのか?
  • このハンドルで、どんな操作までは許容されるのか?

といったルールや方法論が、確立されていないことが世間一般の課題となっています。

日本政府の動き

日本では、2017年3月「新たな情報財検討委員会報告書」の中で、「AI の作成・利活用促進のための知財制度の在り方」という内容で AI により出力されるもの=AI 生成物について「AI 創作物の権利主張・濫用の可能性」の観点で課題視されています。
その後、多くの議論を経て、2023年5月の G7 広島サミットで首脳宣言において「広島 AI プロセス」の創設が盛り込まれ、日本を含む G7 メンバーおよび関係国際機関が参加、議論の結果「G7 広島 AI プロセス G7 デジタル・技術閣僚声明」が採択されました。
そして、2023年11月7日、知的財産権の保護など、生成 AI の開発者を対象とした国際行動規範について合意し、日本政府は有識者会議「AI 戦略会議」にて、「AI(人工知能)関連の国内事業者向けに策定を進めるガイドライン(指針)」の原案を非公式に提示した。と読売新聞が報じました。対象は、各省庁をはじめ「事業として AI を利用する全ての者」となり、中でも AI に関する開発者・提供者・利用者に向けた「7つの原則」は、企業が AI を活用したサービス提供を行う場合でも、外部の AI を利用する立場であっても留意すべき点となるため、今後注目を集めることでしょう。
また、2023年7月、文部科学省から「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」が各教育機関に通知されました。生成 AI の教育現場における適否の暫定的な考え方やメリット・デメリットなどの理解が促進され、教育現場での生成 AI 利用がいよいよ本格化しつつあります。

利用者観点での注意すべきポイント

生成 AI の利用については、目的によりライトサイド(検索・要約・案出し・文章/コード作成などのツール活用)とダークサイド(詐欺や犯罪を助長する活用)の2方向に加え、利用者が意図せずグレーサイド(著作権侵害、情報漏えい、虚偽報告など)に回ってしまう可能性もあります。

そのため、利用者は、インプット・アウトプット情報の扱いと共に、生成 AI に対する基本リテラシーを身に着ける必要があります。
著作権の侵害や社外秘に該当する情報や機密・個人情報の漏えいに繋がる可能性があるものについては、インプットしないこと。同様に、アウトプットを再利用する場合も著作権侵害の可能性があり、情報の真偽が保証されていないこと、および生成 AI からの生成物を SNS などのパブリックに公開する場合に当該文章が生成 AI の生成物である旨を記載する必要がある、などを理解した上で、生成 AI の利用を心がけましょう。

組織として注意すべきポイント

組織としての第一歩は、関連する監督省庁が出すガイドラインの遵守を基本として、自組織のガイドラインを作成し周知徹底と教育を行うことです。
自組織のガイドラインには、前述したリテラシーに関する事項も盛り込み、組織として具体的に禁止する事項を明示しておくことを推奨します。また、情報リテラシー教育の一貫として、生成 AI に関する事項を含めることで、組織全体の情報リテラシーレベル向上が望めます。

参考:一般社団法人 日本ディープラーニング協会:「生成AIの利用ガイドライン」

加えて、組織内で生成 AI の利用を推進するのであれば、公開されている生成 AI サービスの利用を限定し、自社の情報も活用可能な安全な環境を提供する検討が必要です。

昨今さまざまな生成 AI のサービスが登場していますが、当社でも「dailyAI」というセキュリティ面の機能が充実した、日々の業務で簡単に活用できる Azure OpenAI Service ベースの生成 AI サービスを2023年11月にリリースしています。

サービスの特徴としては、お持ちのファイルを丸ごとアップロードし分析や要約などができることに加え、生成 AI のスキルが無いユーザーでも生成 AI から適切な回答を得られるようにプロンプト例文を WebUI に実装しています。また初期費無料でユーザー数無制限の料金体系のため、従業員数が多い企業・団体にとってはコストメリットが大きいサービスとなっています。

このように使い易いサービスとなっていますが、先ほどお話ししたセキュリティ面の機能も充実しており、入力したデータが学習利用されずアップロードしたファイルは当社クラウド上に保存されないことに加え、お客様専用環境としておりセキュリティと使い易さを両立したサービスとなっています。

まとめ

約30年程前に「eメール」が一般化し、ここ数年で「オンライン MTG」や「チャット」が当然のように世間に浸透したように、生成 AI も我々の生活に密接に関わることでしょう。
しかし、特にビジネスシーンにおいては、日常のインプット・アウトプット情報の取り扱いについて注意しつつ、日本含め世界全体の動向を継続的に注視しなければなりません。

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