Apple OS Xに、リモートより任意のコードが実行される脆弱性(CVE-2015-7007)の攻撃コード、および、ローカルから権限昇格を行える脆弱性(CVE-2015-5889)の攻撃コードが発見されました。
CVE-2015-7007の脆弱性は、URL が applescript://の内容を Script Editor で開く際に、ユーザーの確認なしに内容を実行してしまうために発生します。また、CVE-2015-5889の脆弱性は、rsh の環境変数の設計に不備があるために発生します。
これらの脆弱性を利用した攻撃が成立した場合、リモートから Script Editor を実行できるアプリケーション(例えば Safari)を実行するユーザーの権限を奪取された後に、権限昇格を行われ、結果、管理者権限でシステムを操作し、重要情報の改ざん、窃取されてしまうといった危険性があります。
本レポート作成(2015年11月2日)時点において、既に Apple よりこれらの脆弱性が修正されたバージョンがリリースされております(2015年10月26日)。しかしながら、攻撃を成立させるためのコードが容易に入手可能であり、かつ攻撃が容易であること、また攻撃を受けた際にシステムへの影響が大きいことから、今回、これらの脆弱性(CVE-2015-7007)(CVE-2015-5889)の再現性について検証を行いました。
本レポート作成(2015年11月2日)時点において、Apple より、この脆弱性を修正するバージョンがリリースされています。当該脆弱性が修正されたバージョンへとアップグレードしていただくことを推奨いたします。
なおこれらの脆弱性は、OS X 10.10.x よりも前のバージョンには、脆弱性を修正するパッチがリリースされていません。該当するバージョンを利用されている場合、これらの脆弱性を修正するためには、バージョン 10.11.1 へとアップグレードしていただく必要があります。
(CVE-2015-7007)
CVE-2015-7007
Apple OS X のスクリプトエディタにおける AppleScript の実行でユーザ確認の要求を回避される脆弱性
About the security content of OS X El Capitan v10.11.1 and Security Update 2015-007
(CVE-2015-5889)
CVE-2015-5889
Apple OS X の remote_cmds コンポーネントの rsh における root 権限を取得される脆弱性
OS X El Capitan v10.11 のセキュリティコンテンツについて
ターゲットシステムを攻撃者が用意したサイトにアクセスさせることで、リモートから任意のコードが実行可能な脆弱性(CVE-2015-7007)を利用して任意のコードを実行させます。
今回の検証に用いたコードは、ターゲットシステム上から特定のサーバー、ポートにコネクションを確立させるよう誘導し、システム制御を奪取するものです。これにより、リモートからターゲットシステムが操作可能となります。
その後、権限昇格が行える脆弱性(CVE-2015-5889)を利用して、root 権限の奪取を試みます。
下図は、誘導先のコンピュータ(Linux)のターミナルの画面で、ターミナル上でターゲットシステムの制御を奪取した状態です。
黄線で囲まれた部分は、リモートから任意のコードが実行可能な脆弱性(CVE-2015-7007)を利用してターゲットシステムの制御を奪取した直後のもので、ホスト情報の他に奪取した一般ユーザー(pentest ユーザー)の情報が表示されています。
一方で、赤線で囲まれている部分は、権限昇格が行える脆弱性(CVE-2015-5889)を利用して、一般ユーザーから管理者権限ユーザーである root へと昇格を行っています。ユーザーの情報を表示するコマンドにより、root 権限へ昇格できていることが確認できます。
2015年11月2日 : 初版公開
本件に関するお問い合わせ先
『報道関係者様からのお問い合わせ』 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 管理本部 経営企画部 皆口 メールアドレス:sbt-pr@tech.softbank.co.jp |
『お客様からのお問い合わせ』 下記問い合わせフォームよりお問い合わせください。 |