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Windows Virtual Desktop、Citrix Cloud、Amazon Workspaces を比較してみる~前編~

渡辺 将光

みなさん、こんにちは。クラウドプラットフォーム担当の渡辺です。
コロナ対策でテレワークが注目され、VDI を検討されるお客様が非常に多いです。
当社では前回のブログでご紹介した Citrix on Azure の VDI を始めとして、テレワークの取り組みに積極的です。私の感想となりますが、快適に在宅勤務が出来ています。

今回は、VDI 市場で注目を浴びているマイクロソフトの「Windows Virtual Desktop」(以下 WVD) について、
Citrix Cloud や Amazon WorkSpaces など他の VDI ソリューションと比べてみて、要件によってどのソリューションを選べば良いのか、前編と後編に分けて確認したいと思います。
前編では、それぞれの VDI ソリューションの概要とユーザー目線での比較をします。


まず初めに、VDI ソリューションの概要について確認します。


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら


1. Windows Virtual Desktop とは

2019年の 9月末から Microsoft Azure で提供されている 仮想デスクトップソリューションです。
サービス開始当初は管理方法が PowerShell のみでしたが、2020年の 4月から Azure Portal の GUI での管理も可能になりました。

このサービスではマルチセッションで使える Windows 10 を始めとして、シングルセッションの Windows 10 やアプリケーションの仮想化、Windows 7 の無料延長セキュリティ更新プログラムが提供されています。

既に Microsoft 365 等のライセンスをお持ちの場合、追加ライセンスコスト無しで利用できるため、コストの節約ができます。

構成次第では、管理プレーンを Horizon Cloud や Citrix Cloud に置き換えることが可能で、他の VDI ソリューションのメリットを受けることもできます。


※構成例

1.Windows Virtual Desktop とは



【参考:Windows Virtual Desktop - Microsoft Azure】
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/virtual-desktop/


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら


2. Citrix Cloud とは

Citrix Cloud は Citrix の様々なサービスをクラウドでホストして管理できるプラットフォームです。
どのクラウドあるいはオンプレ環境であっても、仮想アプリケーション、仮想デスクトップ、データ、デバイス管理、ネットワーキングが、統合されたサービスとして提供されます。

Citrix が提供している様々なサービスの中で、今回紹介するのは、クラウドサービスとして仮想アプリと仮想デスクトップを提供する Citrix Virtual Apps and Desktops サービスを、Microsoft Azure クラウドで構成し、VDI として利用するものです。

Citrix Cloud では ICA プロトコルという通信技術を利用し、業界最高レベルの画面転送パフォーマンスで、遠隔操作を意識させない VDI を利用できます。
WVD の管理プレーンを Citrix Cloud に置き換えた場合、Citrix の良さである管理機能や通信技術を利用しながら、WVD の Windows 10 マルチセッションを利用することができます。
ただし、Citrix Cloud を利用する場合、WVD や Amazon WorkSpaces と比較して割高になります。それは、従量課金に加えて、Citrix のライセンスを用意する必要があるためです。


※構成例

2.Citrix Cloud とは



【参考:Citrix Virtual Apps and Desktops - Citrix Japan - Citrix】
https://www.citrix.com/ja-jp/products/citrix-virtual-apps-and-desktops/


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら


3. Amazon WorkSpaces とは

Amazon AWS が提供しているマネージドデスクトップです。

高速セットアップを利用すれば数分で Windows または Linux のデスクトップ環境をセットアップできます。
Citrix Cloud と違い、管理用のライセンスは必要が無く、利用したデスクトップ環境のみ、月単位または時間単位で請求されるため、費用を削減できます。
ただし、Windows 10 OS を利用することはできず、Windows Server 2016 をベースとした OS となっています。(ただし Microsoft とのライセンス契約で許可されていれば、お客様の Windows 10 を持ち込んで使用できます。)


※構成例
以下は高速セットアップで構成した例ですが、オンプレミスと接続することも可能です。

3.Amazon WorkSpaces とは


【参考:What Is Amazon WorkSpaces?】
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/workspaces/latest/adminguide/amazon-workspaces.html


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら


4. 比較する内容

今回は、VDI の導入を検討している方に向けて、以下の観点で比較していきます。

  • 比較するソリューション
    •  WVD
    •  Citrix Cloud on Azure
    •  Amazon WorkSpaces(高速セットアップ)




  • 運用者目線での比較(後編で紹介します)
    1. 必要なライセンス
    2. VDI の管理画面
    3. ユーザー認証
    4. ユーザーの管理方法
    5. マスターイメージの管理
    6. ウィルス対策
    7. ポリシー
    8. 移動ユーザープロファイルの管理
    9. 電源管理
    10. ログ


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら


5. ユーザー目線での比較

1. 接続方法

  •  WVD
    • クライアントアプリケーション
      Windows , macOS , Android , iOS でクライアントをダウンロードします。
      ユーザーアカウントでサインインすると、リソースが表示されます。
      以下は Windows の例です。

    • WVD1


      WVD2


    • Web クライアント
      次のブラウザと OS が対象になっています。

左右にスクロールしてご覧ください。

ブラウザ サポート対象 OS
Microsoft Edge Windows
Internet Explorer Windows
Apple Safari macOS
Mozilla Firefox Windows、macOS、Linux
Google Chrome Windows、macOS、Linux、Chrome OS

https://rdweb.wvd.microsoft.com/arm/webclient にアクセスしてユーザーアカウントでサインインします。



  •  Citrix Cloud on Azure
    • クライアントアプリケーション
      Windows , macOS , Android , iOS , Linux でクライアントをダウンロードします。
      アプリを起動して、Citrix Cloud のワークスペース URL を入力します。
      ユーザーアカウントでサインインすると、リソースが表示されます。
      以下は Windows の例です。

    • Citrix Cloud on Azure1


      Citrix Cloud on Azure2


    • Web クライアント
      次のブラウザが対象になっています。
      Apple Safari 7以降
      Google Chrome 50以降
      Microsoft Edge
      Microsoft Internet Explorer 11
      Mozilla Firefox 35以降

      Citrix Cloud のワークスペース URL にアクセスしてユーザーアカウントでサインインします。


  •  Amazon WorkSpaces
    • クライアントアプリケーション
      ユーザーを割り当てると、ユーザー宛てにメールが届きます。
      メールに記載された URL に従って、アプリケーションをインストールします。
      アプリを起動し、メールに記載された Registration Code を入力します。
      アカウントを入力してログインすると、WorkSpaces の画面が表示されます。

    • Amazon WorkSpaces1


    • Web クライアント
      既定では Web ブラウザからの利用は出来ません。
      AWS コンソールの「ディレクトリ」から有効化する必要があります。
      またこの画面で、各プラットフォームからのアクセスを許可 / ブロックできます。

    • Amazon WorkSpaces2

https://clients.amazonworkspaces.com/webclient#/registration にアクセスして、Registration Code を入力します。
アカウントを入力してログインすると、WorkSpaces の画面が表示されます。



2. 使用感など

  •  WVD


    WVD


    • リモートデスクトップと同じ感覚で利用できます。
      一応、Teams のメディア最適化機能で WVD 上での チャットや通話がサポートされています。
      ただしマルチセッションのため、複数のユーザーが同時に Teams を利用すると動作が重くなってしまう場合があります。リソース負荷の高いアプリケーションの利用が想定される場合には、構築の際に利用パターンを考慮してマシンスペックを検討するのがポイントになります。
      Teams はチャットや会議などが問題なく利用できますが、ライブイベントなどの機能は制限されています。詳しい制限内容は Microsoft の Docs を確認してください。

      【参考:仮想デスクトップ インフラストラクチャ用の Teams】
      https://docs.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/teams-for-vdi#known-issues-and-limitations


  •  Citrix Cloud on Azure
    • OS の観点だと WVD と差はないですが、Citrix は ICA プロトコルで画面転送の圧縮率が高いため、低帯域でも不便を感じません。


  •  Amazon WorkSpaces


    Amazon WorkSpaces


    • 利用できる OS が、Windows 10 ではなく、Windows Server に Windows 10 デスクトップエクスペリエンスと呼ばれる Windows 10 の機能をインストールしたものなので、Windows 10 固有のプログラムを利用するアプリケーションが動作しない可能性があります。

      使用感としては、作成する時に何もチューニングせず展開しただけでも、同スペックの Windows 10 と比べて動作が軽く感じました。

      Web ブラウザ版だと、アプリと違って、プリンタ、USB ドライブ、Web カメラ、マイクなどの接続元クライアントの周辺デバイスは使用できません。また、クリップボードも接続元クライアントと共有できません。


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら


6. おわりに

前編では、VDI ソリューションの概要とユーザー目線での比較をしました。
ユーザーからすると、そこまで大きな差は感じず、仮想デスクトップ環境が利用できます。
後編で確認する運用管理には差があるので、ご検討されている方は是非後編もご覧ください。

当社では、お客様の要件にあわせて、VDI ソリューションの提案から導入、運用まで行っておりますので、興味をお持ちの方はぜひご連絡いただければと思います。


「クラウド VDI ソリューション - Windows Virtual Desktop 導入支援」についてはこちら



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