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【第二回】 Power Apps ポータルを始めよう

佐藤

みなさん、こんにちは。佐藤です。
【第一回】Power Apps ポータルとは」では Power Apps ポータルでどのような情報を発信できるのかについて紹介しました。
第二回となる今回は、Power Apps ポータルを始めるために必要な準備・手順と、ポータルサイトのデフォルト機能について簡単に紹介します。




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1. 本シリーズの内容

本シリーズは全3回に分けて Power Apps ポータルに関する内容をご紹介していきます。

【第一回】Power Apps ポータルとは

  • Power Apps ポータルとは
  • Power Apps ポータルの利用シーン
  • デモポータルを作ってみた
  • Power Apps ポータルの利点と注意点

【第二回】 Power Apps ポータルを始めよう


【第三回】 Power Apps ポータルのカスタマイズ

  • Power Apps ポータルのカスタマイズツール
  • デザインのカスタマイズ
  • Power Apps ポータルのアクセス許可


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2. Power Apps ポータルの構想

Power Apps ポータルを作成する前に、まずはポータルサイトのコンセプトや構成を検討します。
私の場合は家具屋さんの簡易ポータルサイトと言うテーマにして、以下のような情報を取りまとめました。


●公開する情報

  • 家具商品情報(型番、色、価格、在庫数など)
  • キャンペーン情報(割引情報、コラボ情報など)
  • 新着情報(新商品情報、再入荷情報、ランキング発表など)


●回収する情報

  • 商品に対するお問い合わせ
  • キャンペーンに対するアンケート


●サイト構成

  • 公開する情報は Dynamics 365 で管理し、更新は Dynamics 365 のアプリで行う
  • ポータルサイトではこれらを閲覧のみ可能とする
  • 回収するお問い合わせ情報は Dynamics 365 のリード情報として登録する


以下は少し細かくなってしまっていますが、Web ページの構成(ページ数)と遷移先についてある程度決めておきましょう。
詳細は作りながら考えたり変更したりできるので、まずは大まかな構成のみで良いと思います。
作成したデモポータルサイトのサイト構成

●公開範囲

公開する範囲についても考慮が必要です。
Power Apps ポータルは Microsoft の同じテナント内(組織内)のユーザーだけでなく、外部(組織外)のユーザーにも情報を共有することができます。
ログインなしで匿名ユーザーとして閲覧を許可することも、Power Apps や Dynamics 365 で管理している「取引先担当者」や、Facebook や Google などの外部アカウントでもログインを許可することも可能です。
公開の範囲は指定可能ですが、公開範囲と閲覧数によって必要なライセンスが異なるため、予めご確認ください。

下表のとおり、組織内のみに公開する場合は Dynamics 365 もしくは Power Apps ライセンスで規定される使用権の範囲で使用できます。
組織外へ公開する場合は、Power Apps ポータルのキャパシティアドオンが必要になります。

公開範囲 必要なライセンス 出荷単位容量/月 説明
組織内
(同一テナントのユーザー)
・Dynamics 365 (各種)
・Power Apps(アプリ毎/ユーザー毎)

Power Apps ポータルの使用権は、保持している Dynamics 365 / Power Apps で規定される使用権に準拠します。
外部ユーザー
(認証済み)
Power Apps ポータル ログインキャパシティアドオン 100 ログイン毎
取引先担当者もしくは外部ユーザーに公開する場合に必要です。
ログインは、認証されたユーザーに最大 24 時間単一のポータルへのアクセスを提供します。
外部ユーザー
(匿名)
Power Apps ポータル ページビューキャパシティアドオン 100,000 ページ ビュー毎
ログインしないユーザーに(一般に)公開する場合に必要となります。

費用については Microsoft 社の画面からご確認ください。
Power Apps の価格
Dynamics 365 の価格


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3. Power Apps ポータルの作成手順

Power Apps ポータルで実現する構想ができたら早速構築をはじめましょう。
大まかな流れは以下のとおりです。
 ①環境の用意
 ②ソリューションの作成
 ③Dataverse テーブルの用意
 ④ポータルアプリ作成


①環境の用意

まず Power Apps ポータルを構築する環境を決める必要があります。
トライアルとしてポータルを構築する場合は新規に環境をご用意頂き、既存の Dataverse テーブルを利用する場合は既存環境にポータルアプリを作成します。

ポータルアプリのために新しい環境を作成する場合は、1 GB 以上の空き容量があるかご確認ください。
まずは無償環境で試したいという場合は、Microsoft 社の Power Apps 製品ページから無償環境を取得後に以下を実施してください。

環境の作成は Power Platform 管理センターから行います。
このとき、Dynamics 365のデータと紐づけする場合は、環境作成のデータベース作成設定の際に対象のアプリを指定しておきます。

環境とデータベースの作成


②ソリューションの作成

ポータルサイトに紐づくテーブル、プロセス、セキュリティロールなどを1つのまとまりとして管理するためにソリューションを作成します。



③Dataverse テーブルの用意

公開する情報、回収する情報(アンケート以外)の対象テーブルを上記②で作成したソリューションに追加します。
ポータルサイトに表示するための各テーブルのフィールド、ビュー、フォームなども適宜作成します。
以下はキャンペーン情報のビューとフォームの作成画面の例です。

表示するビューとフォームの作成


④ポータルアプリ作成

いよいよポータルアプリを作成します。
Microsoft 社で想定された機能を持つテンプレートも用意されていますが、今回は「一から作成するポータル」で作成します。


●一から作成するポータル

Power Apps 画面で[アプリ]>[+新しいアプリ]>[ポータル]で作成画面が表示されます。
一から作成するポータル

テンプレートを使用して作成する場合は、以下の手順で始められます。

●テンプレートから始める

Power Apps 管理画面で[+作成]>[テンプレートから始める]の検索画面で「ポータル」と入力して検索するとポータルアプリのテンプレートを確認できます。
Microsoft 社で想定された機能を持つテンプレートが用意されていますので、想定しているポータルサイトにより近いイメージのサイトを作成することができます。


テンプレートから始める

注意

ポータルアプリは常に試用版で作成されます。
継続して使用する場合は30日以内に運用環境に変換する必要があります。


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4. ポータルアプリの種類

ポータルアプリを作成すると、指定したアプリ名のポータルアプリ(下記図中では“SBT-portal”)の他に「ポータル管理」アプリが作成されます。
その他、環境にデータベース追加時に紐づけた Dynamics 365 のアプリも一覧に表示されます。

ポータルアプリの種類


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5. 「一から作成したポータル」のデフォルト機能

作成したポータルアプリ(図中では“SBT-portal”)を開くと以下の画面が表示されます。
一から作成したポータルアプリには、ポータルサイトの基本的な機能が備えられていますので、これをカスタマイズすることで簡単に想定したポータルサイトにすることができます。

作成したポータルサイト

以下に、主なデフォルト機能について概要を紹介します。


①ユーザー認証

以下の機能が用意されており、ユーザー認証に必要な機能が網羅されています。
  • ローカルアカウントでのサインイン(取引先担当者でログインできます)
  • ローカルアカウントの登録(匿名ユーザーが自身のログイン情報を登録し、閲覧範囲を広げることができます)
  • テナントユーザーのサインイン(図中「Azure AD」ボタンからサインインできます)
  • ログイン後のプロファイル表示および登録情報の更新
  • パスワードや電子メールの変更

ユーザー認証・プロファイル画面

②ヘッダー

ポータルサイト上部に以下の画面へのリンクをもつヘッダが用意されています。
  • ホーム画面
  • お問い合わせ先
  • サンプルページ
  • 検索画面
  • サインイン画面(サインイン後はアカウント名が表示される)
「サンプルページ」の内容を独自の内容に書き換えるだけでそのまま利用できます。

ヘッダー

③グローバル検索

ホーム画面の検索欄は、ポータル内の複数のテーブルに跨ってレコード検索できるグローバル検索機能となっています。
カスタマイズすることで、独自テーブルを検索対象とすることが可能です。

グローバル検索

④アンケート

サンプルページの中にいくつかアンケートが用意されています。
ラジオボタン形式の回答のみ可能で、以下のとおり回答結果の表示も可能です。
ラジオボタン以外の形式のアンケートや複数質問への同時回答ができないこと、デザイン的にイマイチなことは今後のアップデートに期待ですが、作成もカスタマイズも簡単にできるのは利点だと思います。

アンケート


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6. まとめ

シリーズ第二回目の今回は、Power Apps ポータルを作成するための準備と、「一から作成するポータル」で作成した場合のポータルアプリのデフォルト機能について紹介しました。
ポータルアプリ作成時のデフォルト機能だけでも、基本的な機能が実装されていることがお分かりいただけたのではないかと思います。

Power Apps ポータルの導入についてご検討いただく機会がありましたら、是非お問い合わせください。
また、弊社では Power Apps ポータルだけでなく Office 365、Dynamics 365、Power Apps など Microsoft 製品の導入支援を行っておりますのでご興味のある方は是非以下にお問い合わせください。

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