こんにちは、今回は SIEM(Security Information and Event Management)とその必要性について、皆さんにご紹介します。
以前のブログ記事「Microsoft Sentinel とは?導入でできる5つの機能や導入メリットを解説」では「Microsoft Sentinel」についてご紹介しましたが、今回はそもそも SIEM がなぜ必要なのか、というところをお伝えします。
目次
SIEM が必要とされる背景
皆さんの IT 環境ではさまざまな課題があるのではないでしょうか。
その要因として、例えば以下の点が挙げられます。
- サイバー攻撃の高度化や多様化:日々、複雑で洗練された攻撃が増えてきている
- セキュリティプロダクト導入の波:さまざまなセキュリティプロダクトが市場に溢れており、選定も一苦労
- オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境化:システムがより複雑化して、管理が一層大変になる
- 点在するログと分散する管理コンソール:システムが拡大すると、これらの点在を把握するのが困難
これらは、セキュリティ面での大きな課題となります。全体を見渡すのが難しくなり、もし何か起きたときの対応が遅れがちになってしまう、ということです。
SIEM でできること
そこで SIEM の出番です。
SIEM はセキュリティデータとイベントを一元管理し、分析するツールです。具体的には、さまざまなセキュリティプロダクトからのログデータを一か所に統合し、管理します。これにより複数のソースに散在する情報を一元的に把握し、分析することが可能となります。
他にも以下の機能があります。
- 可視化(見える化):収集したログデータをダッシュボードやグラフ化で見やすくする
- アラートと自動化:特定の条件に基づいてアラートを設定し、重要な情報を迅速に通知する
- API を通じた連携:さまざまなセキュリティプロダクトとの連携を可能とし、より幅の広い保護を実現
- 相関分析の実現:さまざまなプロダクトからデータを組み合わせて、より深い分析を提供
つまり、SIEM は単にログを集めるだけではありません。その重要性は、セキュリティ上のイベントやデータを効率的に集約し、分析することで迅速な対応や、より的確なセキュリティ戦略の策定につなげる点にあります。
SIEM 導入後が本当のスタート地点
ところで SIEM 製品の導入が完了したら、それでセキュリティ対策が万全になると思われていませんか?実はその考え方には大きな落とし穴があります。SIEM 導入はゴールではなく、むしろそこからが本格的なセキュリティ対策のスタート地点なのです。
SIEM は単にログを蓄積する「バケツ」としての役割だけではなく、そのデータを“意味のある情報“に変換する役割を担っています。ですが、この変換プロセスは自動で行われるわけではありません。導入したログをどのように活用するかが重要です。
実際、当社でもお客様からよく耳にするのは「高価なバケツになってしまっている」という声で、SIEM を導入したものの、その機能を十分に活用できていないという事例が少なくありません。SIEM の真の価値を引き出すためには、単にデータを集めるのではなく、それを適切に活用し、有効なセキュリティ対策につなげていく必要があります。
SIEM を効果的に活用するためのポイント
繰り返しになりますが、SIEM は導入しただけでは十分ではありません。その真価を引き出すために、以下の4つのポイントに注目しましょう。
- 1. 収集した情報を活かす
- まず重要なのは、取り込んだログを眺めるだけでなく、積極的に分析ルールを設定し、ログデータを相関的に分析することです。これによりデータの中から単体ログでは見つけられないような脅威の兆候や、パターンを発見できます。
- 2. 可視化で気付きを得る
- SIEM にはダッシュボードの作成機能が備わっており、これを使えば現在のセキュリティ状況を視覚的に把握することが可能です。この可視化はセキュリティ上の気付きを得る大きなポイントとなります。
- 3. 目的にあったテンプレート選びとカスタマイズ
- SIEM にはすでに多くのテンプレートが用意されていますが、それを自社環境に合わせて選び、必要に応じてカスタマイズすることが大切です。
- 4. 継続的なチューニング
- セキュリティ環境は常に変化しているため、SIEM の設定も定期的に見直し、必要に応じてチューニングすることが重要です。これにより常に最適なセキュリティ対策を維持できます。
これらのポイントを実践することで、前述したさまざまなセキュリティ課題に対応することができます。しかし、すべてを自社でカバーするのは容易ではありません。攻撃は昼夜問わずに行われ、常に監視が必要ですし、脅威を特定するための高度な技術力も求められます。こうした課題から SOC(Security Operations Center)の立ち上げを検討することもあるでしょうが、そのためには人的リソースの確保やコスト等の準備が必要となります。
そこで、プロフェッショナルなベンダーにサポートを依頼するという選択肢もあります。
Microsoft Sentinel と MSS を組み合わせたセキュリティサービス
「MSS for Microsoft Sentinel」
当社では、Microsoft Sentinel と MSS(マネージドセキュリティサービス)を組み合わせた、「MSS for Microsoft Sentinel」を提供しております。
このサービスは、Microsoft Sentinel の自動監視と、当社の経験豊富なセキュリティアナリストによる徹底した調査を組み合わせて、お客様の Microsoft Sentinel 環境に対する24時間365日セキュリティ監視を行います。これにより、絶えず変化する脅威からビジネスを保護します。
さらに、お客様の環境に最も適した分析ルールのテンプレート選定と、Microsoft Sentinel に組み込まれたルールの継続的なチューニングを通じて、システムを常に最新の脅威に対応できる状態に保ち、お客様のセキュリティ体制を最適化します。
このサービスのメリットをご紹介します。
- 専門知識とリソースの節約:自社で SOC を運営することなく、専門的なセキュリティ監視を実現
- 24時間365日の監視体制:年中無休の監視体制により、脅威に迅速に対応
- Microsoft Sentinel の最大活用:セキュリティ状況を常にモニタリングし、横断的なログ分析から脅威を発見する等、Microsoft Sentinel を効果的に活用
まとめ
今回は SIEM とその必要性についてご紹介しました。
セキュリティは常に変化しています。SIEM を単なるログ収集のバケツとしてではなく、セキュリティインテリジェンスを提供するツールとして捉え、活用することで組織はより強固なセキュリティ体制を築くことが可能となります。
SIEM 製品である、「Microsoft Sentinel」をこれから導入したい、またはすでに導入をしているものの、どのように活用すればよいのかわからない、運用リソースの確保が難しいというお悩みがございましたら、ぜひ 当社にお任せください。
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