お客様名 | 大分市様 |
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業種 | 官公庁・自治体・医療・教育 |
企業規模 | 1001人~5000人 |
目的・課題 | AI による生産性向上 , 検索エクスペリエンスを向上 , AI でのイノベーション強化 |
キーワード | 業務効率化 , データ分析・活用 , 生成 AI , Azure OpenAI Service 活用 , RAG |
限られた行政資源で多様化する市民ニーズにいかに対応するか
武将の大友宗麟により戦国時代に西洋文化が開花した大分市。東九州における中核都市の役割を担い、重化学工業を中心に発展し、近年では IT 関連企業などさまざまな産業の集積が進む。また、天然記念物として国に指定される高崎山のサル生息地や、天然の良港となっている豊予海峡に面したリアス式海岸などがあり、自然と都市が調和した住みやすさでも知られる。大分市総合計画「未来へつなぐ おおいたビジョン 2034~ウェルビーイングな社会の実現に向けて~」のもと、目指すまちの姿(都市像)として、「誰もが“幸せ”を実感できるまち OITA」を掲げている。
同市は、「大分市 DX 推進計画(2025年度~2030年度)」を令和7年4月に策定。少子高齢化が進むなか、持続可能な地方行政を展開し、目指すまちの姿を実現するべく DX (デジタル トランスフォーメーション)を推進している。計画では、市民サービスの向上、行政事務の効率化、人材育成を三本柱としており、具体的には、情報セキュリティの強化やオンライン手続きの推進、業務プロセスの再設計、事業者のデジタル化における支援などを計画・実施。チャットボットのほか、生成 AI の活用も進めており AI-OCR なども活用し、業務改革に取り組んでいる。
大分市 企画部 情報政策課 ICT推進室 室長 渡邉真治郎氏は、業務改革のテーマについて話す。
「限られた行政資源で市民ニーズの多様化にいかに応えていくか。オンライン化、自動化の推進とともに、住民サービスの充実、業務の高度化を実現するべく職員1人ひとりの生産性や創造性の向上が求められます。それを実現するうえで、職員が本来の業務に集中する時間の創出は重要なテーマです」
同市において、行政事務で多くの時間と工数を要していたのが、資料の作成、国などからの膨大な資料の確認でした。2023年6月、同市は課題解決に向けて生成 AI 活用の検討に着手した。
4つの要件とコストの観点から「dailyAI」を採用
生成 AI の製品選定では、大きく4つの要件を設けたと、大分市 企画部 情報政策課 ICT推進室 主任 福田敦慶氏は次のように説明する。「1つ目は、セキュリティの確保。機密情報は扱わないものの、行政に関する重要情報を対象とするため、安全安心に利用できることが基本となります。
2つ目は、ファイルのアップロード機能。生成 AI を使って庁内資料を要約したいというニーズが高く、効果も出やすいと想定されたからです。3つ目は、ログの管理。セキュリティの一環として『誰が何を利用しているか』を可視化できることが必要でした。4つ目が、職員の誰もが簡単に利用できること。分かりやすいインターフェース、プロンプトのテンプレート機能なども重視しました」
2024年5月、同市は4つの要件などを提示し公募型プロポーザル方式で最適な提案企業を選定。コストも含めた観点から、SBテクノロジーの生成 AI サービス「dailyAI」を採用した。同サービスは、Azure OpenAI Service(AOAI)を活用し、セキュアな環境のもとで利用者が直感的な操作で生成 AI を活用できる。
ユーザー数を気にすることなく利用できる定額制を評価
同市における dailyAI の評価ポイントとして、多層的にセキュリティを強化している点であると福田氏は話し、こう続ける。「dailyAI は、ユーザー認証、IP 制限、ログ管理などセキュリティ機能が充実しています。また、当市専用環境で利用するため、セキュリティを確保できます。さらに、アップロードしたファイルは保存されず、生成 AI が学習用途で利用することもありません」
職員が日常業務で使うため、簡単かつ直感的に使えるユーザーインターフェースもポイントとなる。「dailyAI は、利用頻度の高いプロンプトが100種類以上用意されています。標準搭載のプロンプトをもとにカスタマイズも可能なため、生成 AI への指示内容に悩む時間を削減できます。また、お気に入りのプロンプト登録や自作のプロンプトを入力できる機能も便利です。さらに、dailyAI はバージョンアップにより進化を続けます」(福田氏)
渡邉氏は、ユーザー数が無制限で、定額制という料金体系も選択する際の大きなポイントになったと話します。「dailyAI では、1カ月に使えるトークン量※が最大5,000万トークン確保され、庁内で利用するのには十分です。dailyAI の課金体系は、徐々に利用する職員を増やしていきたいという、当市のニーズに適していました」
dailyAI の優れたサービスとともに、SBテクノロジーの企業姿勢について福田氏は評価する。「導入も迅速でした。導入後のユーザーに対する研修支援など当市に寄り添ったサポートにより、職員の理解が深まり利用が促進されました」
※トークン:自然言語処理におけるテキストの最小単位
資料作成でゼロから1を作る段階の作業を大幅に削減
2024年7月からサービス利用を開始し、2025年4月時点で、76課で利用されている。導入効果について、大分市 企画部 情報政策課 ICT推進室 主任 首藤直也氏は次のように話す。
「私自身が dailyAI を資料作成で使って感じるのは、ゼロから1を作る段階の作業が大幅に軽減されるということです。dailyAI を活用し、見出しや資料作成におけるポイントなどのアイデア出しや、異なる視点からの意見を求めるなどの壁打ちにも利用しています。ベース作りを効率化することで、資料をブラッシュアップする時間を取ることができます。これまでは似たような資料を探し出し、参考になりそうか確認する必要があったので、その時間削減にもつながっています。また、人と会話するように『こういう資料を作りたい』と伝えることで利用できる使いやすさは、これまでのツールにない体験です。仲間と一緒に資料を作成している感覚に近いと思います」
同市において、企画や政策立案などの業務で dailyAI の利用頻度が多く、他にもアンケートのポジネガ分析やメール文章の添削、資料の要約などの日常業務にも利用している。さらに、上司、市民、議員など説明する対象に合わせて書き方を変える用途でも生成 AI を活用。渡邉氏は、「dailyAI の活用事例とともに、市民に対し行政文書を分かりやすく伝えるために利用する、といった使い方も庁内で周知していきたい」と話し、今後の展望を述べる。
「広報活動やハンズオン研修などを行い、dailyAI の利用拡大を図っていきます。また資料作成だけでなく、手続きやマニュアルなどの検索や要約などで dailyAI を活用するために、ストレージサービス※の利用も検討中です。dailyAI を最大限に活用し、職員の働き方改革とともに、市民サービスの向上に向けた取り組みを進めていきたいと思います」
※dailyAI 環境内のストレージに保管したファイルから回答を生成できる「dailyAI standard プラン デフォルトストレージ」
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