お客様名 | 花王株式会社 |
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業種 | 製造業 |
企業規模 | 5001人以上 |
目的・課題 | 業務プロセス効率化(営業系) , Webサイトのリッチコンテンツ化 |
キーワード | Web コンサルティング , サイトリニューアル |
誰にでも使いやすい Web サイト実現に向けて着手
大手消費財化学メーカーとして知られる花王株式会社は、生活者に向けたコンシューマープロダクツ事業として、「ハイジーン&リビングケア」「ヘルス&ビューティケア」「ライフケア」「化粧品」の4つの事業分野を展開している。また「ケミカル」事業においては、産業界のニーズにきめ細かく対応した製品を幅広く展開。これらの事業活動を通じて、持続可能で豊かな共生世界の実現に貢献している。花王には「The Kao Way」という企業理念があり、その中に”よきモノづくり”という考え方がある。そして“よきモノづくり”をベースにつくられた花王ユニバーサルデザイン指針のもとで、誰にでも使いやすい製品の開発を心掛けている。
「CMS を管理している我々の部門で作成している花王 Web サイトガイドラインには、以前より“アクセシビリティ対応方針”として WCAG 2.0(レベル A)を目指すことを掲載していましたが、なかなか浸透には至らず、2020年に改めて”ウェブアクセシビリティ”について検討を始めました。折しもコロナ禍で、対面だった消費活動がどんどんデジタル化している時期でもあり、ますますウェブアクセシビリティの重要性が高まると思われ、当社も誰にでも使いやすい Web サイトにすべき、と考えました」(田中氏)
「そんな中、CMS を使っている当社の Web サイトのアクセシビリティを診断したところ、課題として現れたうちの約3割が CMS が生成する HTML に関するもの、残り約7割がコンテンツに関するものでした。色使いやコントラスト比、画像への説明テキスト不足、動画の字幕不足などの課題が浮彫りになりました」(渡邊氏)
花王グループの Web サイト数はグローバル全体で700、そのうち国内が300、海外が400だという。また Web サイト制作に関わる関係者は、外部の制作会社パートナーを含めると1200名にも上る。ここまでの大人数に対し個別のアプローチは難しいこともあり、会社としてどう取り組むか方針を固めてウェブアクセシビリティを進めようと決めた。
「まずは2022年に『花王ウェブアクセシビリティ方針』を発表し、World Wide Web Consortium(W3C)が公表する Web Content Accessibility Guidelines(以下、WCAG)2.1 レベル AA の品質基準を目指すことにしました」(田中氏)
社内へのウェブアクセシビリティ浸透とともに、問い合わせへの対応負担が高まる
『花王ウェブアクセシビリティ方針』を発表した後、Web サイト関係者を対象とした説明会を繰り返し実施し、モノづくりの会社として、いかにウェブアクセシビリティが大切かを伝えてきたという。また WCAG 2.1 レベル AA を踏襲したチェックシートを用意し、Web サイトを制作する際、検品書としての提出も必須とした。
「Web サイト関係者には、チェックシートの項目に対しまずは8割程度満たすようにお願いしています。ただ、8割を満たしていないからといってサイトを公開しない、ということはしていません。アクセシビリティ対応には正解がないので、私たち運用側は「Web サイトを絶対こうしてください」とは言わないようにしています。このようなことを積み重ねながら、徐々に社内にウェブアクセシビリティの意識や姿勢が浸透してきました。その一方、Web 制作担当者からの問い合わせも増えつつあり、ウェブアクセシビリティを担当していた渡邊さんの負荷が高まるであろうことが課題だと考えていました」(田中氏)
そんな課題を抱えるタイミングで、SBテクノロジー(以下、SBT)からの提案に、自社課題となっていたウェブアクセシビリティの話題が出たという。そこで同社は、改めて具体策を含めた提案を SBT に依頼した。
改善点の背景や理由の説明が具体的で分かりやすい、と高評価
アクセシビリティ検査技術者検定の資格保有者が複数在籍する SBT は、後日 SBT のサービス『ウェブアクセシビリティ・ コンサルティングサービス』の提案を行った。
「ウェブアクセシビリティの質問・サポート窓口対応を引き受けてもらうだけでも社内の業務負荷軽減ができると思いましたが、資格保有者2名の専門家が関わって対応してくれるということで、社内の受け入れも期待できるものでした」(田中氏)
同社では、まず3か月間のテスト期間を設けてから正式な本格導入を決断した。
「SBT の窓口と社内の問い合わせ者とのやり取りは基本的にメールで実施しています。テスト期間を経て SBT の窓口にはいくつかお願いをしていました。例えば、中には「CSS」と言っても分からない場合もあるので、なるべく専門用語は使わないで回答いただくようにしてもらっています。また、ウェブアクセシビリティについて、「会社の方針だからやる」ではなく、Web サイト訪問者の方にもっとアクセスしやすく、もっと使いやすいものにしていくための取り組みだということを、やり取りを通じて伝わる回答にしてほしいともお願いしました。結果、窓口の的確な回答と提案により、社内の理解は徐々に高まりを見せていると実感しています」(渡邊氏)
社内の問い合わせ者からは、「SBT の窓口は、どう改善すべきか的確に示してくれる。背景や理由を含め、具体的な説明を交えて回答してくれるので非常に分かりやすい。また、社内で同様の問題が起きたときも、もらった回答や提案に基づいて考えやすい」と高評価を得ている。
今後ますます『ウェブアクセシビリティ・コンサルティング』利用を活性化
2022年の「花王ウェブアクセシビリティ方針」から始まり、2023年度中にコーポレートサイト、2024年度には主要 Web サイト、2025年度中にはグループ全サイトを、WCAG 2.1 レベル AA に対応するという目標を掲げている同社。SBT の『ウェブアクセシビリティ・コンサルティングサービス』の導入効果は、約50時間/月に相当する問い合わせ対応時間の削減や、Web 制作担当者のアクセシビリティに対する意識の高まり、知識向上につながっているという。
「日々の対応について、窓口に対しては安心してお任せしています。私自身、横からメールのやり取りを見ていて勉強になることも多くあります。ウェブアクセシビリティは目標の期限までに行ったらそれで終わり、というものではありません。今後も続く Web サイト制作やサイト更新をする先には、もちろんアクセシビリティを意識する必要があります。ですから、社内の問い合わせ者には窓口とのやり取りを糧に、今後は自然とウェブアクセシビリティを意識したコンテンツ作りができるようになることを期待したいと思います」(渡邊氏)
また今後は、同社内でウェブアクセシビリティをさらに浸透させていく取り組みとして、SBT が講師となる勉強会の開催も企画している。
「社内も外部のパートナーも、ますます SBT の問い合わせ窓口を活用してほしいと考えています。まだ窓口の認知や意義が知れ渡っていない部分もあるので、勉強会で SBT の窓口の存在をアピールし、さらなる活性化につなげたいと思っています。まずは2025年の目標に向けて、SBT と一緒に歩んでいきたいと考えています」(田中氏)
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