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スマートコントラクトとは?仕組みや実装例をわかりやすく解説

コラム

掲載日:2023/11/29

スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で、事前に指定されたルールに従い、自動的に動作するプログラムを指します。

近年では、取引の不正や改ざんを防げる点や、コスト・時間の削減ができる点から暗号資産を中心に活用されています。この記事では、スマートコントラクトの仕組みや、実装例を解説していきます。

スマートコントラクトとは?

スマートコントラクトとは契約にもとづいて、ブロックチェーン上で事前に取引内容をプログラムで決め、条件の確認・履行を自動で実行する仕組みです。

具体的には以下の事項を解説します。

● ブロックチェーン上の契約
● 条件を満たすことで契約が実行される

それぞれみていきましょう。

ブロックチェーン上の契約

そもそもスマートコントラクトは直訳すれば『賢い契約』で、契約を自動で実行する手続きを指していました。近年はブロックチェーン上の契約そのものを指すこともあります。

例えば仮想通貨取引の世界では、ブロックチェーン(取引情報をいくつかのデータ単位として保持し、ブロック同士を紐づけることで改ざんを防ぐ技術)上で、スマートコントラクトを実行しています。

ブロックチェーン上で実行することで、誰でもデジタル情報として確認でき、取引の情報も改ざんされません。

条件を満たすことで契約が実行される

スマートコントラクトでは、条件を満たせば契約が実行される仕組みとなっています。しばしばスマートコントラクトのイメージとして自動販売機が取り上げられます。

人と人の取引では、事前定義、条件入力、履行、決済という手続きが必要ですが、自動販売機では必要な額のお金を入れて、ボタンを押すという2動作で商品を買えます。

このように、スマートコントラクトはあらかじめ決められた条件を満たせば、すぐに取引が実行されます。

スマートコントラクトの仕組み

ここまで、スマートコントラクトがどういうものかをみてきました。では、スマートコントラクトはどのような仕組みになっているのでしょうか。スマートコントラクトの仕組みには以下2つの特徴があります。

● 契約を自動で実行する
● 5ステップで契約が完了する

それぞれ解説します。

契約を自動で実行する

スマートコントラクトの仕組みを理解する際に、プログラミングを思い浮かべるとよいでしょう。

『if-then』の文だと考えると分かりやすいです。『if-then』では、『if』の条件を満たす場合、『then』の処理が実行される仕組みとなっています。

このように、一方のグループのニーズが満たされれば、事前の合意通りに処理が進んで、契約が完了するようになっています。

5ステップで契約が完了する

スマートコントラクトのステップは5つに分けられます。

まず1段階目は2つ以上の当事者間で合意がなされます。次に、2段階目でその決定がスマートコントラクトに書き込まれます。3つ目に書き込まれた内容は暗号化されてブロックチェーンに保存されます。4つ目にスマートコントラクトが実行され、契約が完了すると、取引情報がブロックチェーンに記録されます。最後に各ノードがブロックチェーンのコピーを更新することで、契約が完了します。

このようにしてスマートコントラクトは機能しています。

スマートコントラクトの特徴

スマートコントラクトは、当事者間の合意後は、自動で実行される仕組みということがわかりました。では、そんなスマートコントラクトの特徴には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、以下、2つのポイントを解説します。

● 本人も第三者も変更できない
● 透明性に優れている

それぞれみていきましょう。

本人も第三者も変更できない

スマートコントラクトはブロックチェーン上で、決められたルールに従い契約を自動で実行するプログラムであることは述べましたが、そのためブロックチェーンの特徴の一つとして、一度ブロックチェーンに保存された情報は本人も第三者も変更ができない、というものがあります。

取引が実行され契約情報が保存されると、以前のデータとの紐づけが行われ、ブロックが生成されます。このブロックが数珠つなぎのように紐づけられているのがブロックチェーンです。

ブロックにはハッシュ値というひとつ前のブロックとの紐づけの役割を果たす値があり、ブロックチェーンを改ざんするとハッシュ値が変わってしまいます。そのため、取引を改ざんしようとすると、数珠つなぎのように次のブロックも、その次のブロックも改ざんをし続ける必要があります。

このようなハードルの高さから、事実上、本人も第三者も変更ができないようになっているということです。

透明性に優れている

これもブロックチェーン上で実行されるスマートコントラクトであるからこそ、ブロックチェーンの利点の一つでもある通り、保存された内容はネットワーク上であれば誰もが確認できます。すべての情報が、分散してネットワーク上へ同一に保持されているのが理由です。

つまり、どこからでも取引の情報を確認でき、透明性の高い利用が可能です。

この特徴は、スマートコントラクトを利用している仮想通貨のメリットでもあり、他の業種で活用する場合にも十分に役立ちます。

スマートコントラクトが実現する世界

スマートコントラクトは、DAOやWeb3.0を実現するために活用されています。

ここでは、DAOとWeb3.0の簡単な説明と、スマートコントラクトがこれら2つとどのような関わりがあるかを解説していきます。

● DAOとは
● Web3.0とは
● スマートコントラクトとDAO・Web3.0の関連性

それぞれ解説します。

DAOとは

DAOとは、『Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)』の略であり、中央集権的な管理者を必要とせず、事業やプロジェクトを推進できる組織をさす言葉です。

有名なDAOの例としては、ビットコインがあげられます。ビットコインは、特定のリーダーがいなくても、世界中のマイナーたちによるマイニング活動でブロックチェーンネットワークが維持・管理されています。

Web3.0とは

現在、私たちが利用しているインターネットは『Web2.0』と呼ばれるものです。

この『Web2.0』にある、プライバシーやセキュリティなどの問題を解決するために構想されたのが 『Web3.0』という概念です。

Web3.0では、セキュリティの強化・決済や契約の中間マージン圧縮・ユーザー主体のデータ管理、などの特徴があげられます。

スマートコントラクトとDAO・Web3.0との関連性

ここまで、DAOとWeb3.0の特徴をみてきましたが、スマートコントラクトはどのように活用されているのでしょうか。

自動販売機の例を今一度考えてみましょう。

自動販売機では、料金を投入し、求める商品のボタンを押すと商品が出てきます。この仕組みでは、取引の現場に特定の所有者や管理者がいなくても、ユーザーが商品を手に入れることが可能です。

Web3.0についても考えていきます。

スマートコントラクトでは、取引での信用コストを0にする仕組みとなっています。信用コストが0というのは、取引相手が信用できるかどうかを判断するコストがかからないという意味です。

Web3.0でも同様の考え方が採用されており、ブロックチェーンを見れば条件通りに取引ができるかどうか、すなわち取引相手が信用できるかどうかを判断できるようになります。Web3.0の考え方が反映されたスマートコントラクトでは、信用コストをかけず、安心して取引ができます。

このように、スマートコントラクトの仕組みはDAOやWeb3.0を支える技術として活用されています。

スマートコントラクトの実装例

ここまで、スマートコントラクトの特徴や、スマートコントラクトが実現する世界を解説してきました。

ここからは、スマートコントラクトの実装例として、以下3点を解説します。

● 不動産
● 保険
● 金融

不動産

不動産の世界では、買い手と売り手、そして不動産仲介企業が存在します。物件購入の手続きは複雑で長くなるものが多いため、これら手続きを不動産仲介業者に任せるケースは多いです。

スマートコントラクトは、この仲介業者の代わりとなり、不動産の譲渡プロセスを合理化すると同時に、仲介業者と同程度の安全性を確保しています。

スマートコントラクトの仕組みを利用して、資金が正しく支払われたときのみ権利書が買い手に渡る契約を作成し、不動産取引を仲介業者なしで実現しています。

保険

保険業界でも、スマートコントラクトが活用されています。

保険を契約して、契約者が保険業者とのスマートコントラクトを作成し、すべての保険契約の要件をスマートコントラクトに記述しておきます。このような方法をとれば、保険金支払いの仕組みを簡略化することが可能です。

保険金の支払いが発生する事象が発生した際に、保険金支払いの必要性を証明する情報をアップロードするだけで、契約者に保険金が送金されます。このため、契約者は保険団体と連絡を取る事なく、早急に保険金を受け取れます。

金融

金融業界では、みずほフィナンシャルグループが、個人向けデジタル社債の発行にスマートコントラクトを導入する検証を実施しました。

この検証では、スマートコントラクトを活用して、社債の発行者が購入者のデータを台帳から取得したり、ポイントを付加したりするなど、デジタル社債を通して新たなスキームの構築を模索していました。

ほかには、『DEX(分散型取引所「Decentralized Exchanges」の略)』といって、特定の企業や組織の管理なしで、自動で暗号資産の取引を行う交換所などもあります。

まとめ|スマートコントラクトで直接・安心の取引が可能に

スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で、決められたルールに従い契約を自動で実行するプログラムです。

取引情報の改ざんを防止できる点、透明性に優れている点から、暗号資産の取引などで注目されています。

金融以外の業界でもすでに実装が始まっているなど、スマートコントラクトに関連する新しい市場や職業が誕生するかもしれません。

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