メインコンテンツへ

『ネイティブアプリ』と『Webアプリ』の違いは?メリット・デメリットも解説

コラム

掲載日:2023/11/22

iPhoneやAndroid端末などのスマートフォン上で動作するアプリケーションには、大きく分けて『ネイティブアプリ』と『Webアプリ』の2種類があります。新たにサービスを開発する際には、どちらの形態が適しているかを判断するためにも、それぞれの特徴を正しくとらえておくことが大切です。

この記事では、それぞれのアプリケーションの特徴について、両者の違いやメリット・デメリットをご紹介します。

アプリの種類

アプリケーションとは、ユーザーの作業や目的に応じて作成されたプログラムのことです。SNSサービスを利用できる『SNSアプリ』や現在地の表示や目的地までの距離を計算する『地図アプリ』、インターネットショッピングに用いる『ECアプリ』など、ユーザーの作業内容や目的によってさまざまなものが存在しています。

こうしたスマートフォン上で動作するアプリケーションの種類を大きく分けると、『ネイティブアプリ』と『Webアプリ』の2種類に分類することができます。それぞれ特性や動作の仕組みが大きく異なるため、アプリケーションの開発を行う際は両者の特徴をきちんと理解し、利用目的に応じて方向性を検討することが大切です。

『ネイティブアプリ』と『Webアプリ』の違い

『ネイティブアプリ』とは、アプリケーションストアから端末にダウンロードして使用するアプリケーションです。一方、『Webアプリ』はブラウザ上で使用するアプリケーションのことであり、『ネイティブアプリ』のようにダウンロードする必要はないものの、オンラインでないと使用できないなどの特徴があります。

ここでは、それぞれの基本的な特徴と違いについて見ていきましょう。

ネイティブアプリとは

『ネイティブアプリ』は、特定のプラットフォームで使うことを前提としたアプリケーションのことです。代表的なものとしては、『App Store』や『Google Play ストア』などのアプリケーションストアからインストールする各種アプリケーションがあげられ、一般的に『アプリ』といえばこちらを指すことが多いです。

『ネイティブアプリ』の大きな特徴は、『OSの機能を最大限に活用できる』という点にあります。iPhoneやiPadなどであればiOS、Android端末であればAndroid OSという専用OS向けに開発されるため、カメラ機能やプッシュ機能といったOSの機能をアプリケーション内で自由に使えるのが利点です。

また、ユーザー視点で見れば、『起動が簡単に行える』のも大きな特徴です。アイコンが端末のホーム画面に表示されるため、ユーザーはワンタッチでアプリケーションを起動でき、目的によってはオフラインでも利用できます。

Webアプリとは

『Webアプリ』はブラウザ上で動作できるアプリケーションであり、インストールをせずにそのまま利用できるのが特徴です。代表的なものとしては、Googleが提供している『Gmail』や『Googleドキュメント』などがあげられます。

『Safari』や『Google Chrome』などのWebブラウザ上で動作できるため、あらゆるデバイスから利用可能である一方、オンラインでなければ使用はできません。

比較からわかる両者の違い

両者の違いはアプリケーションが動作する場所にあります。これまで見てきたように、『ネイティブアプリ』は『端末上』で動くのに対し、『Webアプリ』は『Webブラウザ上』で動きます。

『Webアプリ』を使用するためには、インターネットへの接続が必要であり、動作も比較的遅くなりやすい面があります。一方で、ダウンロードやインストールの必要はないため、ユーザーにはより手軽に利用してもらいやすいのが特徴です。

それに対して、『ネイティブアプリ』は一度インストールすれば、起動は『Webアプリ』よりも簡単に行えます。また、カメラや位置情報といったOSの機能を活用できるため、利用の幅が広がるのも特徴です。

ここからは、それぞれのメリット・デメリットについて、さらに詳しく掘り下げて見ていきましょう。

『ネイティブアプリ』のメリット

『ネイティブアプリ』には、主に次の3つのメリットがあります。

・オフラインでも利用できる
・動作が速い
・端末の機能を使える

ここでは、それぞれの具体的な内容について解説します。

オフラインでも利用できる

『ネイティブアプリ』は、一度端末にインストールされれば、オフライン環境でも利用可能です。アプリケーションの目的によっては、オンラインでなければ利用できないケースもありますが、必ずしもインターネット接続を行わなければ動作しないというわけではありません。

そのため、インターネット環境が不安定な状態でも利用できるのが特徴です。

動作が速い

端末にインストールして使用するため、通信環境に左右されず、スムーズな動作が可能な点もメリットです。端末のホーム画面からワンタッチで起動できるため、手間や心理的なストレスがかからず、ユーザーに継続的な利用を促しやすいのです。

また、『ネイティブアプリ』は端末にインストールされると、ユーザーが意図的に削除するまで画面に残り続けます。そのため、毎回ブラウザにアクセスしなければならない『Webアプリ』よりも、利用頻度が高くなりやすいのも特徴です。

端末の機能を使える

端末のOSに合わせてさまざまな機能を実装できるため、表現や利用の幅が広がりやすいのもメリットです。具体的には、自動でお知らせをしてくれるプッシュ通知や、位置情報・連絡先の反映など、端末本体に実装されている機能をそのまま利用できます。

たとえば、ショッピングや飲食店のアプリケーションであれば、プッシュ通知によるお知らせや、位置情報の利用によるエリア別キャンペーンの発信などに活かすことが可能です。

『ネイティブアプリ』のデメリット

一方、『ネイティブアプリ』には、次のようなデメリットもあります。

・ユーザーが獲得しにくい
・端末の性能によって機能やスピードに影響が出る

ユーザーが獲得しにくい

『ネイティブアプリ』は、初回利用までのハードルが高くなるのが難点です。アプリケーションストアで検索してもらい、ダウンロード・インストールしてからようやく使えるようになるため、新規ユーザーを取り込みにくい傾向があります。

ユーザー数を拡大するためには、Web広告やCMによるダウンロード促進・認知拡大を行うのも効果的ですが、コストがかかってしまうので戦略的な運用が必要です。

端末の性能によって機能やスピードに影響が出る

『ネイティブアプリ』は、端末の性能によって十分な機能を発揮することができず、本来の目的を果たせなくなってしまうケースもあります。OSは定期的にアップデートされていくため、新しいバージョンに合わせることで、古いバージョンには対応できなくなってしまう場合があるのです。

『Webアプリ』のメリット

『Webアプリ』には、大きく分けて以下の3つのメリットがあります。

・利用ハードルが低い
・アプリケーションストアの審査が不要
・ストア手数料がいらない

利用ハードルが低い

『Webアプリ』はブラウザ上で動作するため、インターネットに繋がるPCやデバイスを保有していれば、誰でも利用が可能です。『ネイティブアプリ』のようにダウンロードの手間もかからないため、多くのユーザーに気軽に利用してもらえるのがメリットです。

また、OSの機能に依存しないため、iOSとAndroid OSのそれぞれに対応するように設計する必要がなく、比較的開発コストを抑えやすい面もあります。

『アプリストア』の審査が不要

『ネイティブアプリ』をアプリケーションストアから提供するためには、各ストアにおける一定の審査基準をクリアする必要があります。iOSのアプリケーションなら『App Store』の、Androidのアプリケーションであれば『Google Play ストア』のガイドラインに沿って開発しなければならず、審査に通過しなければリリース自体ができなくなってしまう可能性もあるのです。

一方、『Webアプリ』は審査が不要であるため、自由な開発が可能であり、リリースまでにかかる時間も比較的短いのが特徴です。

ストア手数料がいらない

『ネイティブアプリ』の場合は、アプリケーションストアを利用するために年間登録料がかかります。さらに、有料のものや課金制のものは手数料も発生するため、維持コストの負担も考慮しなければなりません。

それに対して、『Webアプリ』はブラウザで使用するので、ストア手数料は発生しません。そのため、同じ機能水準のサービスを提供できるのであれば、通常は『Webアプリ』のほうがコストパフォーマンスは高くなります。

『Webアプリ』のデメリット

続いて、『Webアプリ』のデメリットについても見ていきましょう。

・ネット環境に左右される
・セキュリティ面で不安がある
・『ネイティブアプリ』ほど機能を充実できない

ネット環境に左右される

『Webアプリ』の利用にはブラウザへのアクセスが求められるため、通信環境によってはスピードが遅くなったり、そもそも利用できなかったりすることもあります。動作や起動にも時間がかかるため、頻繁に利用してもらうことを想定する場合は、『ネイティブアプリ』よりも不利になってしまいます。

ただし、『ネイティブアプリ』にもオンラインでの利用が前提とされているものが増えており、ユーザー側での通信環境の整備も進んでいるため、それほど大きなデメリットにはならないと割り切ることも可能です。

セキュリティ面で不安がある

『Webアプリ』はインターネットを介して利用するため、不正アクセスやウイルス感染などのリスクがあるのもデメリットです。『ネイティブアプリ』のようにアプリケーションストアの審査もないため、データの流出や消失といったトラブルを避けるには、開発者自身が厳しくセキュリティ対策を行う必要があります。

『ネイティブアプリ』ほど機能を充実できない

OSの機能を活用できないため、『ネイティブアプリ』と比べると高度な機能を搭載することは難しいといえます。HTML5で開発されたものであれば、『ネイティブアプリ』と同等の機能を持たせることも不可能ではありませんが、OSやブラウザによっては利用できないものも多いです。

そのため、アプリケーションとしてのクオリティや機能性を求めるのであれば、『ネイティブアプリ』に軍配があがります。

まとめ:『ネイティブアプリ』・『Webアプリ』どちらで開発するかは目的に応じた選択を

『ネイティブアプリ』と『Webアプリ』は、それぞれ異なる特徴があります。アプリケーションストアを通じて配信される『ネイティブアプリ』は、性能やセキュリティ面に優れる一方で、初回利用を促すまでのハードルが高いのがデメリットです。

それに対して、『Webアプリ』は手軽に利用してもらいやすいのがメリットである反面、高度な機能を搭載するのは難しく、セキュリティへの不安なども気になるポイントです。

アプリケーション開発においては、それぞれのメリット・デメリットを把握して、用途に合わせた選択を行うことが重要となります。

募集職種一覧