掲載日:2023/11/01

ネットワークエンジニアとは、ネットワークの設計や構築、運用、保守管理などを担当する専門家です。IT人材の需要は年々高まりを見せており、なかでもネットワークエンジニアは現在のIT技術では欠かすのことのできないネットワークを扱う職種であることから、関心を寄せている人も多いのではないでしょうか。
今回は、ネットワークエンジニアとして働くうえで役に立つ資格をピックアップし、初心者向け・中級者向け・上級者向けの3段階に分けてご紹介します。また、資格を取得するメリットや効率的な学習方法も併せて解説します。
ネットワークエンジニアになるために資格は必須?

ネットワークエンジニアとして働くうえでは、必ずしも資格の取得が求められるわけではありません。医師や弁護士のように、資格を有する者にしか許されない業務ではないため、十分なスキルと経験があれば問題なく業務を担当することができます。
ネットワークエンジニアに求められるスキルや知識は、仕事をするなかで段階的に積み上げていけるため、採用の場面などでは積み重ねてきた職務経験やスキルのほうが重視される傾向にあります。しかし、ネットワークに関する技術や知識は多岐にわたり、関連する資格も多種多様です。
取得を目指して学習を進めるなかで、基礎的な知識が体系的に身についたり、自身の専門性を磨いたりすることができるのは大きなメリットといえます。また、自身の能力を客観的に証明するツールにもなるため、資格の取得が就職や昇進を優位に進めてくれる可能性は大いにあります。
ネットワークエンジニアが取得するべきおすすめの資格と難易度

ネットワークエンジニアに関する代表的な資格は、『Cisco技術者認定資格』と『情報処理技術者試験』の2つに大別することができます。前者はアメリカに本社を置く世界的なIT企業『シスコシステムズ』が認定する資格の総称であり、世界共通基準の資格として高い人気と信頼を集めています。
後者は『情報処理の促進に関する法律』に基づき、経済産業省の認定と『独立行政法人情報処理推進機構(IPA)』の主催で扱われる国家資格の総称です。どちらも難易度や専門分野によって分類されたさまざまな資格が設けられており、幅広い受験者を対象としているのが特徴です。
ここでは、それぞれの試験を以下の表のように難易度別で分け、それぞれの具体的な内容について見ていきましょう。
初心者向けのネットワークエンジニアの資格
初心者の方は、いきなり専門的な分野を絞り込んで学習するよりも、ネットワークに関する基礎的な知識を丁寧におさえていくことが大切です。ここではまず、ネットワークエンジニアの未経験者や経験年数1~3年の方に適している資格を3つご紹介します。
CCT
Cisco技術者認定資格の『CCT』は、ネットワークエンジニアになりたい人が最初に目指すべき資格です。主に未経験者を対象としており、ネットワークエンジニアリングにおける最低限の知識を保有している証明になります。
シスコシステムズのネットワーク機器は、世界中で数多くの企業に利用されており、いわば世界基準ともいえます。そのため、取得できれば、ネットワークエンジニアとしてのキャリアに有利に働く資格です。
CCNA
『CCNA』もCisco技術者認定資格のひとつであり、CCTを取得した人が次に目指すべき目標といえます。主に経験年数1~3年程度の初級者を対象としており、ネットワークエンジニアとして基礎的な役割を担えるレベルであることを証明できる資格です。
基本情報技術者試験
『基本情報技術者試験』は情報処理技術者試験のひとつであり、情報処理技術者としての基本的技能や知識が求められる資格です。具体的には、ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身につけることを目的として、経済産業省の認定により取り扱われています。
情報系の国家資格として知名度が高く、IT全般に関する基本的な事項を理解できれば合格できるレベルであることから、ITエンジニアの登竜門として位置付けられています。
中級者向けのネットワークエンジニアの資格
続いて、経験年数3~5年の人が目指すべき中級者向けの資格をご紹介します。
CCNP
Cisco技術者認定資格の『CCNP』は、プロフェッショナルとして、さまざまなネットワークエンジニアの業務を一人で対応できることを証明できる資格です。一人前のネットワークエンジニアとして評価される上位資格であり、日本語で受験できるCisco技術者認定資格においては最上位のクラスに該当します。
CCNPは『Collaboration』『Data Center』『Enterprise』『Security』『Service Provider』の5つの専門分野に分かれており、それぞれ必須受験のコア試験と選択受験のコンセントレーション試験があります。たとえば、『CCNP Enterprise』では、エンタープライズ(ネットワーク技術)、デザイン、ワイヤレスといった専門分野に特化しているのが特徴です。
応用情報技術者試験
情報処理技術者試験のひとつであり、『基本情報技術者試験』よりもワンランク上のITエンジニアを対象とした国家資格です。具体的には、ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能を有し、高度なIT人材としての方向性を確立した者を対象としています。
『基本情報技術者試験』よりも実践的なスキルや知識が求められ、情報システム、ネットワーク、データベース、組込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、上位者の方針を理解し、自ら技術的問題を解決できることを目標としているのが特徴です。なお、試験は多肢選択式(四肢択一)の午前試験と記述式の午後試験に分かれており、春と夏の年2回行われています。
上級者向けのネットワークエンジニアの資格
続いて、経験年数5年以上のネットワークエンジニアが目指すべき上級者向けの資格をご紹介します。
CCDE/CCIE
『CCDE/CCIE』はCisco技術者認定資格のうち、経験年数5~7年程度のエキスパートレベルを対象とした資格です。取得できれば国際的に高いスキルを持ったスペシャリストとして評価されるため、ネットワークエンジニアの最終目標として掲げられることも少なくありません。
このうち、『CCDE』はデザインに関する専門分野を対象としており、『CCIE』は以下の6つのコースに分かれています。
・「CCIE Enterprise Infrastructure(エンタープライズインフラストラクチャー)」
・「CCIE Security(セキュリティ)」
・「CCIE Collaboration(コラボレーション)」
・「CCIE Data Center(データセンター)」
・「CCIE Enterprise Wireless(エンタープライズワイヤレス)」
・「CCIE Service Provider(サービスプロバイダー)」
試験は筆記試験と実技試験から構成されており、対応言語は英語のみです。
ネットワークスペシャリスト試験
『ネットワークスペシャリスト試験』とは、情報処理技術者試験のなかでも最高峰の資格とされています。経済産業省が定めるITスキル標準では、最難関のレベルに相当し、取得できれば文字通りネットワークのスペシャリストとしての知識とスキルを保有する証明になります。
情報処理推進機構(IPA)によれば、対象者は『高度IT人材として確立した専門分野をもち、ネットワークに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者』とされています。インフラをはじめとする『大規模かつ堅牢なネットワークシステム』を構築・運用できるエンジニアを目指す方に最適です。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理技術者試験のなかでは最難関資格とされ、ITの安全・安心を支える『セキュリティの番人』と表現されるスペシャリストです。情報系の資格では唯一の士業であり、合格後に所定の登録手続きを行えば、『情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)』の資格保持者となることが可能です。
試験の対象者は『サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して、企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援できる』また『サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う』とされています。試験は年1回の実施であり、多肢選択式(四肢択一)の午前Ⅰ・午後Ⅰ、記述式の午前Ⅱ・午後Ⅱの試験で構成されています。
ネットワークエンジニアが資格を取得するメリットとは?

前述のように、ネットワークエンジニアとして働くだけであれば、資格の取得は必須ではありません。しかし、資格を取得すれば自身のスキルを客観的に証明できるため、顧客への提案時やキャリアアップの際には有利になります。
企業によっては、資格手当などの形で収入に反映されることもあり、年収アップの近道となるケースもあるでしょう。そして、何より取得に向けた学習を通じて、自身のスキルや知識をじっくりと磨けるのが大きなメリットです。
実務経験のみでは、どうしても目の前の現場で求められる技術ばかりに意識が集中し、知識やスキルに偏りが生じることもめずらしくありません。一方、資格の取得には網羅的かつ体系的な学習が求められます。
そのため、実務では見えてこない視点が生まれたり、自身の適性を見つけたりするなど、全体的なスキルアップを図ることが可能です。
ネットワークエンジニアの資格取得でおすすめの勉強方法とは?

ネットワークエンジニアに関連する資格を取得するには、まとまった時間の確保と効率的な学習環境の整備が求められます。勉強方法の主な選択肢としては、次の2つがあげられます。
● 専門スクールを受講する
● 独学で勉強する
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
最新の技術を習得できるとは限らない
SESのデメリットは最新の技術が習得できるとは限らない点です。SESは基本的に客先常駐で業務をこなします。そのため、案件選択制度のない企業で働く場合、自分に合わない案件を担当するケースがあります。
たとえば、常駐先が独自のノウハウを使用していたり、専用のシステムを活用したりしていると最新技術に触れる機会は少なくなります。
結果としてスキルアップにもつながりづらいという可能性もあるため、SESを選択する際には企業選びが非常に大切といえます。
専門スクールを受講する
「学習時間を安定的に確保したい」「効率的に学びを深めたい」という場合は、ネットワークエンジニアの資格取得に向けた専門スクールを受講するのが近道です。カリキュラムが明確に決められているため、仕事をしながらでも学習の習慣を身につけやすく、効率的に知識を習得できるのがメリットです。
一方で、スクールの受講には費用がかかるため、資格の難易度や取得までの目標期間、自身の適性などを踏まえて、利用すべきかどうかを検討することが大切です。
独学で勉強する
難易度や学習経験によっては、参考書や専門書を活用しながら、独学で資格を取得することも不可能ではありません。ネットワークエンジニアの関連資格はバリエーションが豊富であり、初心者向けのものであれば、独学でも十分に合格を狙えるラインといえます。
一方、中級者や上級者向けの資格を取得するのであれば、専門スクールで学習を進めるほうが効率的に合格できる可能性が高まります。時間と費用のバランスを考慮すれば、独学にこだわるよりも有効である場合が多いでしょう。
まとめ:ネットワークエンジニアの需要は拡大している

採用市場において、IT人材は年々需要が高まっており、特にIoTや5Gといった先端分野におけるエンジニアは貴重な存在となっています。ネットワークエンジニアとして活躍できる知識やスキルを身につけることで、仕事の可能性が大きく広がり、キャリアに新たな選択肢が生まれていくでしょう。
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