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AIチャットボットの活用事例を業界別に紹介|シナリオ型との違いも

コラム

掲載日:2023/10/20

昨今、AIの発展により大きな注目を集めているAIチャットボット。聞いたことはあるものの、エンジニアとしてAIチャットボットの仕組みや活用方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、AIチャットボットの基本情報や業界別の活用事例を紹介しています。企業の活用事例だけでなく、自治体の活用事例も紹介していますので参考にしてください。

AIチャットボットとは?シナリオ型との違い

AIチャットボットとは、学習を繰り返し蓄積されたデータをもとに、ユーザーの多種多様な質問に対応できるチャットボットです。AIの分析により、さまざまな質問に対して自動で返答を表示することができます。

AIチャットボットには、最新の自然言語処理技術が搭載されており、人と会話しているような感覚でユーザーの問題解決を促すことが可能です。

質問以外に「最近良く雨が降るね」というような世間話を投げかけても、内容を理解した上で返事を返してくれます。

一方、シナリオ型チャットボットは、決められた解答の表示しかできません。AIチャットボットとシナリオ型チャットボットの明確な違いは、柔軟性といえます。

シナリオ型は柔軟性に欠ける

シナリオ型のチャットボットは、ユーザー自身が提示された選択肢の中から該当するものを選び、求めている情報に向かって進行していくタイプのチャットボットです。質問と答えがすでにプログラムされているため、未設定の質問には返答できません。そのため、人間と会話しているような柔軟性は皆無といえます。

シナリオ型チャットボットのイメージとしては、アドベンチャーゲームが分かりやすいでしょう。アドベンチャーゲームもユーザーの選択によって、次にキャラクターが話す言葉が変化します。シナリオ型チャットボットも同様です。

シナリオ型チャットボットにも、開発に時間がかからないことや比較的安価で導入できることなど、さまざまなメリットがあります。しかし、対応業務によっては、柔軟性のあるAIチャットボットが適している場合もあるため、必要に応じて使い分けることが必要です。

AIチャットボットが注目される背景

AIチャットボットが注目されている背景には、主に以下の要素が考えられます

● AI技術の進化
● 時間とコストの削減
● DX化促進の動き
● 一般の方にAIチャットボットが浸透

世界で初めてのAIブームは、1960年代に起きました。1960年代のAIは、簡単なゲームのルールを覚えられる程度で、人とやり取りをするには至っていません。

2000年頃から第三次AIブームが訪れ、ディープラーニングと呼ばれるAI自らがネットワーク上の情報を用いて学習する技術が生まれました。

AI技術は、ディープラーニングの登場により『Siri』や『Amazon Alexa』など、一般の方にも馴染みがある存在に急成長を遂げたのです。そして、近年DX化を推進する国の動きもあり、AIチャットボットが注目されました。

また、24時間365日稼働できるAIチャットボットは、多くの業務を自動化できるため、コストや時間を大幅に削減できます。

AIチャットボットの活用事例を業界別に4つ紹介

次に、AIチャットボットの活用事例を業界別に4つ紹介します。

● 【保険業界】『ライフネット生命保険株式会社』
● 【アパレル業界】『青山商事株式会社』
● 【教育業界】『キャリア相談チャットボット』
● 【観光業界】『H.I.S.』

それでは、詳しく見ていきましょう。

【保険業界】『ライフネット生命保険株式会社』

保険業界では、ライフネット生命保険株式会社がウェブサイトにAIチャットボットを導入しています。

LINEで保険プランナーに相談ができる『チャットで保険相談』とウェブサイトにあるオペレーターとのウェブチャット、そしてウェブサイトに導入されたAIチャットボットの3つがあり、利用目的に応じて使い分けることができます。

AIチャットボットはこれまでより気軽に質問をすることができるだけでなく、営業時間外でも回答が返ってくるので非常に便利です。

反対に複雑すぎる質問に関してはAIチャットボットでは事足りないため、保険プランナーもしくはオペレーターへも相談できます。

これまでどおり人の手が必要な業務もありますが、AIで対応できる部分はAIに任せることで、業務の効率化が期待できるでしょう。

【アパレル業界】『青山商事株式会社』

アパレル業界では、青山商事株式会社がAIチャットボットスナックママ『よしこ』を導入しています。2021年7月より開始したAIチャットボットスナックママ『よしこ』は、コロナウイルスの感染拡大をきっかけに孤独や不安を感じるビジネスパーソンのために、悩み相談に乗ってくれるAIチャットボットです。

テレワークや外出自粛の影響で、気軽に悩みを相談できる状況ではなかった人も『よしこママ』に気軽に相談してほしいということでサービスを開始しました。

「上司とうまくいかない」「今後のキャリアに対する不安」「収入が少ない」などキャリアに関する悩みが数多く寄せられていました。

2022年11月には第三形態へと進化しており、服装に関する相談にも対応できるようです。

【教育業界】『キャリア相談チャットボット』

教育業界の『キャリア相談チャットボット』は、学生から毎日届く質問にAIチャットボットの『sAI Chat』というサービスを活用して、効率的に対応しています。

『sAI Chat』とは、株式会社サイシードが開発したAIチャットボットサービスであり、精度の高さと豊富な機能による使いやすさで人気を集めています。

学生がわざわざキャリア支援課に行くことなく、知りたい情報を迅速に取得可能です。キャリア支援課の業務負担軽減にも繋がっており、どちらにもメリットがある素晴らしいAIチャットボット導入事例といえるでしょう。

【観光業界】『H.I.S.』

観光業界のH.I.Sは、AIチャットボットサービスを活用した『FAQシステム』を導入しています。

『FAQシステム』では、1つの単語を入力すると、ユーザーが次に検索しそうなタグをAIが予想して提示してくれます。タグの提示により、ユーザーは最短距離で知りたい回答を得られます。

『FAQシステム』により問い合わせ数も減り、企業の対応コストが削減されました。

AIチャットボットは自治体でも|導入事例3つを紹介

AIチャットボットは企業だけでなく、多くの自治体でも活用されています。本章では、自治体がAIチャットボットを導入した事例を3つ紹介します。

● 【福島県会津若松】『LINE de ちゃチャット問い合わせサービス』
● 【埼玉県】『COTOHA Chat & FAQ』
● 【東京都渋谷区】『渋谷みらい』

自治体がAIチャットボットを導入することで、住民の生活満足度の向上や人件費削減など、さまざまなメリットがあります。

総務省の自治体におけるAI・RPA活用促進の調べによると、都道府県・指定都市では100%、その他の市区町村では45%が導入しています。

参考:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」

【福島県会津若松】『LINE de ちゃチャット問い合わせサービス』

福島県会津若松市では、AIチャットボット『LINE de ちゃチャット問い合わせサービス』を活用したサービスを導入しています。

『LINE de ちゃチャット問い合わせサービス』は、市民がLINEで以下のような質問をすると、適切な回答が自動で返ってきます。

● 「住民票って市民センターでも発行できるの?」
● 「子どもの一輪車を捨てたいんだけど、どうすればいい?」

現在では、『休日・夜間診療の病院探し』や『ごみの出し方』、『各種証明書発行手続きの方法』の問い合わせサービスが利用可能です。

【埼玉県】『COTOHA Chat & FAQ』

埼玉県では、AIチャットボット『COTOHA Chat & FAQ』を活用して業務効率化を成功させています。

埼玉県庁には、2つの課題が存在しました。

● 県庁内でパソコン操作の問い合わせが増えてヘルプデスクの業務を圧迫している
● システム系と総務事務系のFAQが膨大すぎて十分な活用ができていない

『COTOHA Chat & FAQ』を導入することで、24時間365日簡単な質問への即時対応が可能となり、業務効率化を実現しています。回答精度の高いFAQにより、新人の教育コスト削減にも繋がっています。

【東京都渋谷区】『渋谷みらい』

東京都渋谷区は、AIチャットボット『渋谷みらい』を区民に向けて導入しています。

『渋谷みらい』は、2017年に誕生したチャットボットで、小学生の男の子という設定でLINEでコミュニケーションが可能です。何か疑問を解決してくれるよりも、ゲームなどを楽しみながら日々成長していくチャットボットとなります。

開発者は、リアリティを追求しており、実際に『渋谷みらい』は、渋谷区に特別住民登録をしています。

まとめ:今後も多様な業界で普及が期待されるAIチャットボット

チャットボットは、AI型とシナリオ型に分類されており、特に近年は、柔軟な回答ができるAI型チャットボットが注目されています。

AIチャットボットは各自治体や業界にさまざまな形で使用されており、私たちの生活に溶け込んでいます。

幅広い業界で利用されているAIチャットボットは、今後も企業の業務改善等で広く利用される可能性があるため、エンジニアとして引き続きキャッチアップしていきたい内容です。

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