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受託開発とSESの違いは?それぞれのおすすめポイントと注意点を徹底解説

コラム

掲載日:2023/10/16

IT業界でよく耳にする『受託開発』と『SES(System Engineering Service)』具体的にどういった違いがあるのか理解が難しい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、エンジニアとして転職しようと考えている方に向けて、受託開発とSESの違いを中心に、転職時のポイントや注意点について詳しく解説していきます。

受託開発とSESそれぞれの契約形態や働き方を含めて網羅的に説明していくので、エンジニアの転職で悩んでいる方はぜひ最後までお読みください。

受託開発とSESの違いを2つ紹介

本章では、受託開発とSESの違いを以下の2つの項目から解説します。

● 契約形態
● 報酬の対象

受託開発とSESの違いを詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

契約形態

受託開発とSESの違いの1つ目は契約形態の違いです。受託開発は『依頼された仕事を完成させる』契約なのに対し、SESは『常駐先で依頼された仕事をする』契約形態となります。

例えば受託開発であれば多くのクライアントと仕事をやりとりし、SESでは常駐先のクライアントから与えられた業務をおこないます。

そのため、受託開発とSESでは、身につくスキルや経験、関わる人などが異なるため、どちらを選択するのかでエンジニアとして成長の仕方が異なってきます。

報酬の対象

受託開発とSESの違いの2つ目は報酬対象の違いです。SESの報酬対象は基本的に『エンジニアの労働時間』なのに対して、受託開発は『完成物や成果物』に報酬が発生します。

そのため、SES契約を結んだエンジニアは、案件をこなすために発生した工数やエンジニアの能力などで報酬が決まります。

他にも受託開発には、瑕疵(かし)担保責任があります。つまり、納品したプログラムに不具合があった場合や納品できなかったときには責任を負わなくてはなりません。

SESのおすすめポイント3つ

本章では、SESのおすすめポイントを以下の3つの項目から解説します。

● 報酬が働いた時間になるので労働時間が調整される(ライフワークバランスがとりやすい)
● 汎用性の高いスキルが身につく
● 客先が変わることが多いため人脈が広がる

SESを得意とする企業に転職しようと考えている方やSESのおすすめポイントを知りたい方は必見です。

報酬が働いた時間になるので労働時間が調整される

受託開発は報酬が『成果物』に対して発生するのに対して、SESは『働いた時間』に支払われます。

そこで企業は、いかに労働時間を抑えてコスパ良く働いてもらうかを考えます。そのため、受託開発と比べると労働時間が短くなる(調整する)傾向となり、結果としてエンジニアにとってライフワークバランスがとりやすくなることがSESのおすすめポイントとなります。

汎用性の高いスキルが身につく

SESのおすすめポイントとして、汎用性の高いスキルが身につくことが挙げられます。SESは客先常駐で、さまざまな業務を担当させてもらえる機会があるからです。たとえば、要件定義などの上流工程や、運用テストや保守点検などシステム構築以外の業務などが挙げられます。

一方、受託開発には、比較的自身の専門領域を極めていくことが期待できるという差異があります。

SESは受託開発と比べて、汎用性の高いスキルが身につきやすくエンジニアとして幅広いスキルアップができる点がおすすめポイントです。

客先が変わることが多いため人脈が広がる

SESのおすすめポイントは客先常駐であるため、人脈が広がりやすいことです。

人脈が広がること以外にも、人とのやりとりを通してビジネススキルやコミュニケーション力が身につくなど、エンジニアとして専門技術以外の能力の向上が見込めます。

特にエンジニアはチームでプロジェクトを進めていくので、コミュニケーション力は必須です。人脈が広がるのはもちろんのこと、エンジニアとして必要なスキルが向上する点もおすすめポイントといえます。

受託開発のおすすめポイント3つ

本章では、受託開発のおすすめポイントを以下の3つの項目から解説します。

● 案件数が多くて需要が高い
● 幅広い業界と関われる
● 効率的な開発ノウハウが身につく

SESではなく受託開発をメインにした企業に転職しようと考えている方や受託開発のおすすめポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

案件数が多くて需要が高い

受託開発のおすすめポイントは、案件が豊富で需要が高いことです。中小企業では、自社開発が可能な社内エンジニアが不足しており、外注するケースが多い状況です。つまり、受託開発の案件は多数あり、定期的に仕事が得られやすいといえます。

また、近年はどの企業でもIT人材が不足しています。実際、経済産業省の『IT人材需給に関する調査』によると2030年にIT人材が約45万人不足すると発表しています。

そのため今後、受託開発の需要も高まっていくと予測できます。

幅広い業界と関われる

受託開発は1つの企業とだけ契約する契約ではないので、さまざまな案件、幅広い業界と関わりを持てます。たとえば、金融業界や行政などセキュリティの高さが求められる案件、航空業界の新たなシステム導入などが挙げられます。

また、クライアントの要望に合わせたシステム開発が求められるため、案件に応じた業界の基礎的知識が必須です。さまざまな業界の知識が身につく点も、受託開発ならではのメリットといえます。

効率的な開発ノウハウが身につく

受託開発のおすすめポイントとして、効率的な開発ノウハウが身につくことが挙げられます。SESとは異なり、1つの企業に常駐する契約ではなく、案件を同時並行で進行するケースが多いからです。

また、受託開発ではSES以上にタイムマネジメントやスケジュール管理能力が求められます。エンジニアとして作業をこなすだけでなく、効率的に開発するために事前に計画を立てる、常に進捗状況を確認するなど、効率的に開発を進めるノウハウが身につきます。

SESのデメリット

本章では、逆にSESのデメリットを以下の2つの項目から解説します。

● 最新技術を習得できるとは限らない
● 環境の変化が多い

SESのメリットだけでなく、デメリットがあることも十分理解しましょう。

最新の技術を習得できるとは限らない

SESのデメリットは最新の技術が習得できるとは限らない点です。SESは基本的に客先常駐で業務をこなします。そのため、案件選択制度のない企業で働く場合、自分に合わない案件を担当するケースがあります。

たとえば、常駐先が独自のノウハウを使用していたり、専用のシステムを活用したりしていると最新技術に触れる機会は少なくなります。

結果としてスキルアップにもつながりづらいという可能性もあるため、SESを選択する際には企業選びが非常に大切といえます。

環境の変化が多い

SESのデメリット2つ目は、環境の変化が多いことです。SESは企業に常駐して仕事をするため、仮に業務期間を終えて他の企業へアサインされることが決まれば、今まで培ってきたことが活かせないというケースがあります。

特に常駐先の業務が、古い技術を用いたシステム開発や既存システムの保守を取り扱っていた場合です。一方、受託開発であれば、客先常駐の決まりはなく多くの企業と仕事ができるため、環境の変化が起こりづらいメリットがあります。

受託開発のデメリット

本章では、受託開発のデメリットについても以下の2つの項目から解説します。

● クライアントとのスケジュール調整が大変
● 納品物への不備に対し責任を問われる

SESと比べながらデメリットを解説するので、受託開発とどちらを選択するか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

クライアントとのスケジュール調整が大変

受託開発のデメリット1つ目としてクライアントとのスケジュール調整が大変なことが挙げられます。受託開発は客先へ常駐するわけではなく、取引できる企業の数は定められていません。

その場合、納品時期が同じになってしまった、企業によって担当者の連絡の取れる時間が異なるなど、クライアントとのスケジュール調整が大変になるケースが多いです。

そのため、SESよりもタイムマネジメントやスケジュール管理ができる能力が求められます。

納品物への不備に対し責任を問われる

受託開発のデメリット2つ目は納品物への不備に対し責任を問われることです。受託開発には、契約不適合責任があり、納品したプログラムに不具合があった場合に責任を負う必要があることを意味します。

一方、SESでは納品物に対する責任で損害賠償は請求されませんが、善管注意義務(管理者として要求される最低限の注意義務)に違反があった場合は損害賠償を請求される恐れがあります。

まとめ:SESと受託開発の違いは

本記事では、エンジニアの転職を考えている方に向けて、SESと受託開発の違いの解説からそれぞれのメリットやデメリットを解説しました。

結論、SESは労働時間に対して報酬が発生し、客先常駐が基本的な契約になります。一方、受託開発は成果物に対して報酬が支払われ、さまざまな企業との取引ができる点が大きな違いです。また、受託開発は多種多様な案件に取り組むため、緻密なスケジュール調整が求められる、成果物に対して報酬が発生するため瑕疵担保責任があるなども違いとして挙げられます。

SESと受託開発それぞれにメリットやデメリットがあるので、エンジニアの転職を考えている方は本記事の内容を踏まえた上で自分にあった働き方を選択してみてください。

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