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社外取締役・澤円氏と考える
~エンジニアのキャリアと働き方~
いろいろな思いや考えを持つエンジニアが、楽しみながら仕事が出来る会社へ

人を知る

掲載日:2023/05/19

SBテクノロジーは「情報革命で人々を幸せに~技術の力で、未来をつくる~」を経営理念に掲げ、お客様のDX推進に力を入れています。この時、鍵となるのがエンジニア一人ひとりの力であることは言うまでもありません。当社ではエンジニアがモチベーション高く働き、楽しみながら思い思いのキャリアを実現できる環境の整備を急いでいます。

今回、マネージャー育成や組織マネジメントに深い知見があり、社外取締役でもある澤さんと、執行役員CDOセキュリティ/テクノロジー本部長 金澤さんの対談を企画。当社が目指すDXをはじめ、組織のあり方や働き方、エンジニアがどんな未来を描けるかをお話いただきました。(以下敬称略)

 

 

遠くの知と知を結び付け、真の意味でのDXを実現させる

金澤:SBテクノロジーは中期経営計画で顧客のDXの推進を明確に打ち出しています。DXというと、日本では単なるIT化、仕事の効率化やスピードアップ支援に終始しているように感じられます。また、DXそのものに対して、各企業が明確に定義を持っていないようにも見受けられますが、澤さんはどのようにお考えですか。

:世界30カ国にグローバル展開している家具メーカーの取り組みが参考になると思います。そのメーカーはハンディキャップのある方に向けて、既存の製品の付属品を開発しました。ただし、付属品そのものは作らず、ユーザーがデータをフリーでダウンロードして3Dプリンタで作れる状態にして公開しました。すると、世界110カ国以上でダウンロードされたのです。

つまり、もともと展開していなかった80カ国あまりに、その家具メーカーは販路を広げたということです。売上はなんと30%アップです。家具メーカーだけど家具は作らず、ダウンロードビジネスという新たなものに着手して売上を30%アップさせた。デジタルによって家具メーカーの事業をトランスフォームさせてしまったのです。

金澤:話を聞いていて鳥肌が立ちました。それこそが私たちの目指すDXの姿です。

:さらに注目したい点は、トランスフォームさせるためにそれほど新しい技術は用いていないということでしょう。付属品の設計は以前から行っていたでしょうし、データのダウンロードは新しくも何ともありません。新たな組み合わせを発見したのです。

DXまたはイノベーションの好例と言えるでしょう。イノベーションは技術革新と訳されることがありますが、正確には新結合です。遠くにある知と知を結び付けて、新たな価値を創出します。

金澤:新しい組み合わせを、普段の仕事の中から見つける方法はあるでしょうか。

:ノウハウはないと思います。興味を持って観察することに尽きます。生成系AIなど新しい技術を取り入れることも重要ですが、もう一方で既存の要素技術をどれだけ自由に組み合わせて、面白いと思えるかどうかがポイントになります。

見方を変えて物事を見ると言ってもいいかもしれません。万有引力で有名なアイザック・ニュートンは「どんな行動にも、必ずそれと等しい反対の反応があるものである」「もし私が価値ある発見をしたのであれば、それは才能ではなく忍耐強く注意を払っていたことによるものだ」と言っています。

新結合を実現させるのは、ノウハウやコツ、テクニックではありません。能力は不要です。意志を持って興味深く見ること。意志を持てば世の中面白いことだらけです。

多様な人材が活躍できる場に

金澤:いろんなアイデアを持ち寄って、いろんなソリューションを組み合わせながら付加価値の高いサービスを提供するのが、これからの私たちの重要な役割になると考えています。その意味で、当社には多様なエンジニアが集まってほしいと思っています。一人で出来ることは限られていますので、必要に応じて適切な人材がチームを組み、同じ目標に向かっていけるような、そんなエンジニア集団になるのが理想です。人材の多様性の確保は最重要課題のひとつです。

:新結合という観点から、マイノリティ人材に目を向けるのもよい選択です。一例として、女性エンジニアがあります。仕事にジェンダーを持ち込むのはナンセンスですが、女性エンジニアがマイノリティということは実情としてあり、これまでにない視点を持ち込む意味で、重視した方が良い存在です。また、自社のエンジニアが日本人である必要もありません。海外には日本に興味を持つ人も多くいます。

金澤:女性や海外のエンジニアという、当社があまり持ち得なかった視点を持った人たちと共に働くことは、現状のエンジニアにとって大きな刺激となりそうです。

:人材採用について、これからは従来の考えをガラッと変える必要もあるでしょう。極端な例かもしれませんが、VRで仕事をしてもらってもいい。実際、あるスタートアップはVRで人材採用をしました。給与支払いを行う一部の経理スタッフを除いては、役員でも本名を知りません。取引先にも教えない契約を結んでいます。求められたタスクをしていれば、身体すら不要という考えです。

金澤:とても斬新で、驚きです。

:ここまでのことをするには、体制を大きく変えなければなりません。受け入れのインフラはまだまだな部分はあると思いますが、先を行く会社ではこれくらいのことをしているとぜひ覚えておいてください。

「面白がるカルチャー」を定着させる

金澤:当社も多様な人材が活躍できる環境作りを急いでいます。いろいろな人材が集まるプラットフォームになれば最高です。

:SBテクノロジーは、決して束縛の強い環境ではないと思います。ドクロ柄のTシャツを着て働いているエンジニアもいますし、私みたいに好き勝手なことを言う人間を社外取締役にしているくらいですから、懐の深さがあります(笑)。

何よりCEOの阿多さんは、自由奔放かつワイルドにキャリアを築き上げています。その阿多さんが経営トップとして会社を引っ張っているのです。多様な人材が活躍できる土壌はあるはずです。

金澤:おっしゃる通りです。会社としては自由を重んじて、楽しくワクワクしながら働ける環境を築こうとしています。会社側は自由なチャレンジを歓迎していますが、一方で、現場のエンジニアはそれほど自由を感じていないところがあり、ギャップが生じています。

:ちゃんとしようとし過ぎているところが問題です。ちゃんとしなくても会社は回ります。むしろ、これまで日本はちゃんとし過ぎようとして失われた30年を作ってしまいました。そうした環境をポジティブに変えていくのが、社外取締役としての私の役目だと捉えています。新しいこと、これまでにないことを面白がるカルチャーを定着させます。

金澤:とても心強いです。

:今の時代に、これをしてはいけない、あれをしてはダメという決まりは、会社の成長を妨げる阻害要因以外の何物でもありません。先ほどの新結合も、何と何が組み合わさるか、誰にもわからないのです。「それは無駄だ」と一蹴されたアイデアが結果として会社の屋台骨となった例は、数えきれないほどあります。

こうすることが仕事であると、そんなつまらないことを言っていても始まりません。例えば、仕事中にYouTubeを見て、面白い動画を発見したら共有して、みんなで面白がる。それくらい自由にしても良いわけです。

仕事のブロッキングイシューを取り除くのが、マネージャーの役割

金澤:もう一つ、今変えていこうとしているのが管理職の役割です。現状、管理することが多岐にわたっている状況もあり、マネージャーになりたいエンジニアが限られています。

:マネージャーの役割は本来は管理ではありません。求められるのは、ブロッキングイシューになるものを徹底的に取り除くことです。究極的には、マネージャーは何もしないのがベスト。組織に望まれているタスクはダイレクトにメンバーに流す。階層が深くなり、それぞれに余計なことをする人が増えると、最終的には誤った経営判断につながります。

金澤:思い当たる節が多々あります。

:現状、なぜマネージャーの仕事が多いかというと、「かもしれない」で仕事をしているから。必要かもしれない、聞かれるかもしれない、怒られるかもしれないと、かもしれないに時間を使っています。かもしれない仕事に時間を使わないと決めるだけで、はっきり言って暇になります。暇になると余裕ができて、面白いことを考えやすくなる。イノベーションにもつながります。

現状を一気に変えるのは難しいかもしれませんが、SBテクノロジーは現状を変える意志を強く持っています。私としては諦めずにメッセージを発信していくつもりです。マネージャーが本来の仕事をできるようになれば、マネージャーになりたいエンジニアも増えるのではないでしょうか。

金澤:澤さんはマネージャー育成にも多くの実績があります。当社に来れば、質の高いマネージャーも目指せますね。

:マネージャー業務に興味を持っていただければ、SBテクノロジーが会社としてしっかりと指導します。非常によい経験ができるはずです。エンジニアリングもマネジメントもわかる、稀少価値の高い人材にもなれます。

仕事を面白がる人の邪魔をしない

金澤:澤さんの話を聞いていて、仕事を心の底から楽しめる環境がもっと必要だと強く思えてきました。SBテクノロジーは変化の過程にいますが、ますます面白くなっていくと予感させられます。振り返ってみると、私自身も自分の物差しや固定概念を採用や仕事に持ち込んでいたところがあります。そうしたところを改めたいと思います。

広く世の中を見ると、人材の流動性は増しています。当社としては長く働いてもらうことが理想ですが、定着の強要はできないでしょう。目標は定着率何%などとすると、またつまらないルールが発生してしまいます。長いキャリアの中で一定の期間を当社で過ごしてもらって、何かしらをつかんで外に出て再度活躍する。そうしたほうが社会のためにも良いことです。場合によっては数年後に当社に戻ってもらえば、ありがたいことです。

:退職しても縁は切らずに、今度は業務委託の形で仕事を請け負ってもらうようにする方法もあります。ある人材大手企業が実践しており、毎年多くの人材が会社を巣立っていきますが、その一方で、会社との良好な関係を維持しています。

また、シリコンバレーでは副業は当たり前で「その仕事に週何時間コミットしているか」という考え方をします。優秀な人であればあるほど、ひとつの仕事、ひとつの会社には縛られません。外部とのコネクションを作り、自社以外でも仕事をするのは、自身を成長させる有効な手段になります。

金澤:当社でも取り入れたい考え方です。

:SBテクノロジーは上場企業で安定もあり、今はもっと自由で柔軟性のある環境を築き上げようとしています。面白がるカルチャーの土壌はないわけではありません。もうちょっと気楽になればよいというだけの話。今は変化の途中で、たくさんの面白いことが起きようとしています。

少なくとも、仕事を面白がろうとする人の邪魔はしませんし、万が一邪魔する人がいれば、私が間を取り持ちます。自分のスキルや経験の幅を広げるためにも、長いキャリアの一時期を過ごすのに非常に優れた場所と言えます。ものは試しでぜひお越しください。一緒に面白いことをしていきましょう。

 

 

 

【プロフィール紹介】

■澤 円
SBテクノロジー株式会社 社外取締役
生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)へ入社。情報共有系コンサルタントやプリセールスSE、最新のITテクノロジーに関する情報発信の役割を担う。2006年よりマネジメントに職掌を転換。2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。2015年にはサイバー犯罪に関する対応チームにも参加。2018年6月より業務執行役員に就任。2020年に退社し独立、現在に至る。
DX、ビジネスパーソンの生産性向上、サイバーセキュリティ、組織マネジメントなど幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングとして活躍。複数の会社の顧問や大学教員の肩書を持ち、「複業」のロールモデルとしても広く情報を発信している。

 

 

■金澤 謙悟
SBテクノロジー株式会社 執行役員 CDO/セキュリティ&テクノロジー本部 本部長
物流系のシステム開発をおこなうソフトウェア開発会社で、運用保守やプロジェクトマネージャーとしての経験を経て、2009年SBテクノロジーに入社。ソフトバンク・グループ向けの業務システム開発やエンタープライズ、官公庁向けのクラウドソリューションの提供、営業戦略立案や運用保守管理など多岐にわたる業務に携わる。
2022年4月より、執行役員 CDO/セキュリティ&テクノロジー本部 本部長に就任し、セキュリティ事業全体の戦略策定や社内外のDX推進の責任者として活動している。

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