メインコンテンツへ

『メタバース』のビジネス活用事例4選
ビジネスでのメリットを解説

コラム

掲載日:2023/03/30

『メタバース ビジネス』が注目を集める現代社会において、新しい視覚的概念の事業が次々に登場しています。本記事では、ビジネスの活用事例4選と、それらのメリットを解説し、すでに特定の分野で発展しつつあることを紹介します。ぜひ参考にしてください。

『メタバース』ビジネスとは?注目される背景

『メタバース』とは「超越」を意味するギリシャ語「メタ=meta」と「世界」を意味する「ユニバース=universe」の「バース」を合成した造語です。『VR(仮想現実)』や『AR(拡張現実)』などのテクノロジーを用いて表現される、デジタル的世界観を表すネット用語として使用されています。

2021年に経済産業省がまとめた資料では、「多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できるインターネット上に構築される仮想の三次元空間」と定義付けされているのが『メタバース』です。『メタバース』は、ゲーム分野を筆頭に、コミュニティ内のコミュニケーションやイベント、ショッピングの場としての活用も進んでおり、多くの分野で市場を拡大し続けています。

ビジネスにおける『メタバース』の活用法

『メタバース』を活用した産業として注目されている「製品・サービス提供分野」と「プラットフォーム提供分野」のビジネスモデルを紹介し、その活用方法について解説します。

『メタバース』内での商品販売、サービス提供

『メタバース』を利用したビジネスとして、当初から発展してきた事業がオンラインゲームの分野です。これは、仮想空間の中で、臨場感のあるサービスが提供され収益を上げるというビジネスモデルとなりました。

今後は、『メタバース』によって構築された空間での商品販売やサービス提供が、BtoC(企業対個人)ビジネスで新しい販路となることでしょう。

『メタバース』プラットフォームの制作、提供

ゲーム会社のビジネスモデルは、『メタバース』を利用したBtoCビジネスの代表格です。そして、BtoB(企業対企業)ビジネスも『メタバース』事業に算入しつつあり、仮想空間のプラットフォームや『メタバース』コンテンツを制作し企業に提供する事業が増えてきています。

関西地方のネットベンチャー企業が開発し、2020年に提供を開始した仮想空間プラットフォーム『monoAI xRCLOUD』は、10万人の同時接続が可能です。NTTドコモが採用を決定したニュースは大きな話題を集めました。

『メタバース』オフィスの活用

『メタバース』を活用することで、オンライン会議よりもさらに進化した「『メタバース』オフィス」が実現することでしょう。

オンライン会議やミーティングでは、若手スタッフは発言しにくい雰囲気があります。

これに対し、『メタバース』オフィスは、『Zoom』などのオンライン会議よりも「バーチャルオフィス」としての疑似現実感に優れています。アバター会議なども実施できることから、誰もが発言しやすい空間を作ることが可能です。

このように、実際のオフィスに近い雰囲気を作れ、まるで現実のような社員間のコミュニケーションがとれるという点がメリットです。

『メタバース』ビジネス3つのメリット

『メタバース』には、人間が持つ視覚的概念を一新させることで個人の感受性を刺激する効果があります。さらに、独特な視覚的革新性により、21世紀型の新しいビジネスの誕生が期待できます。

ここでは、『メタバース』の活用によって発展する可能性が高いビジネスの3つのメリットについて言及してみましょう。

1.新たなビジネスの可能性が広がる

『メタバース』の登場は、ビジネス社会を一新させるほどのインパクトを持っています。『メタバース』の活用によって、新たなビジネスシーンの創出やマーケット開拓の可能性が高まることでしょう。

現在、『メタバース』を活用して、今後さらに発展すると予想されている事業を以下に挙げてみましょう。

● 『メタバース』のプラットフォームや『VR』関連機器類などの制作・販売
● 『メタバース』空間およびアバター(空間でのキャラクター)の制作ツール開発
● 『メタバース』による仮想店舗での商品販売、およびイベントなどのサービス提供
● バーチャル・オフィスでの社内業務およびアバター会議など
● 『メタバース』空間での絵画・イラストなどの展示、公開

2.物理的な制約を越えたコミュニケーションが可能

『メタバース』で認識される空間は、あくまでも仮想的なスペースであり物理的実体はありません。このような『メタバース』の特徴を生かし、人間同士が距離や生活環境などの制約を超越してコミュニケーションがとれるというメリットがあります。

現在各企業で導入されているテレワークとは異なり、より現実に近い感覚で対人コミュニケーションをとれるのが『メタバース』の特徴でもあります。しかも、移動による交通機関の利用も不要で、環境負荷がゼロというエコロジカルな手段なのです。

3.災害時のBCP(事業継続計画)になり得る

自然災害が多い日本では、災害の発生で企業が多大な損失を被るケースがよくあります。もしものときの災害対策として、企業が『メタバース』で構築したバーチャル・オフィスを仮想空間に設置することは有効です。

災害時に『メタバース』で作ったバーチャル・オフィスがあれば、仮に交通機関が不通になっていても、社員それぞれがバーチャル・オフィスにアクセスすることで、社員間のコミュニケーションや通常業務が問題なく行えます。すなわち、災害による緊急事態が起きても支障なく事業が実行可能という「BCP(事業継続計画)」が、『メタバース』によって実現可能です。

『メタバース』ビジネス3つの注意点

まだ発展途上とされる新しいテクノロジーだけに、企業としては、『メタバース』ビジネスにおけるマイナス面も知っておく必要があります。『メタバース』ビジネスの注意点について、代表的なものを以下に3点挙げてみましょう。

1.開始時に一定のコストがかかる

企業が初めて『メタバース』を導入する際には、当然ながらイニシャルコスト(初期費用)がかかります。『メタバース』を自社で構築する場合の開発コストや、他社サービスを利用する際のコストが必要です。

『メタバース』を自社オリジナルで構築する場合、社内に専門スタッフがいなければ、『メタバース』を制作できる専門業者に発注することになります。現状では、高額なイニシャルコストがかかることは避けられないでしょう。

2.安定的なネットワークが必要

『メタバース』ビジネスにおいては、仮想空間で一定以上のユーザーが満足する商品やサービスを提供する必要があります。この事業を遅滞なく実行するには、安定したネットワークの運営が必要不可欠です。

『事業を発展させるには、数多くのユーザーを確保することで売上と利益を延ばしていく必要があります。『メタバース』を利用した事業発展のためには、ユーザーの増加を予測した安定したネットワークの構築と整備、それらの推進が重要です。

3.サイバー攻撃、炎上のリスクがある

『メタバース』ビジネスのユーザーは匿名でアクセス可能なケースが多いと予想されます。それだけに、現在SNSや動画サイトなどで頻繁に起きている「炎上騒ぎ」と同様のリスクが否定できません。

ユーザー同士のトラブルやサイバー攻撃、ハッキング、あるいは「なりすまし」による犯罪行為などの社会問題が起きるリスクもあります。これらのリスクを回避するためのルール作りを万全にした上での利用が望ましいでしょう。

『メタバース』ビジネスの事例4つ

現在、『メタバース』ビジネスを展開して成功しているケースがあります。その中から、『メタバース』ビジネスの代表的な実例の4点を以下に紹介しましょう。

1.「LifeWear Exhibition 2022」EC(イーコマース)

大手アパレルショップの「ユニクロ」では、ショップとオンラインストアを一体化した「LifeWear Exhibition 2022」というEC(イーコマース)を展開しました。これは、バーチャル・ショップ(オンラインストア)で商品を選び、近所の店舗で受け取りを可能とした新しいサービスです。

このような、顧客側の利便性を強化した試みは、『メタバース』を活用した新しいサービスとして注目されています。

2.「あつまれどうぶつの森」ゲーム内広告

2020年に任天堂から発売されたゲーム「あつまれどうぶつの森」は、『メタバース』を利用した仮想空間で楽しめるのが特徴です。ゲームユーザー同士がバーチャル空間内でコミュニケーションできる点も人気を後押ししています。

ゲームの仮想空間内での企業広告はできませんが、企業がユーザー同士のコミュニケーション・スペースやアイテムを提供するビジネスモデルとなっており、新しいマーケティング活動として展開が可能です。

3.『VARP』バーチャルライブ

『メタバース』で構築される仮想空間は、ライブコンサートなどのエンタテインメントに適しています。クリエイティブ集団PARTYが開発し2020年からサービスを開始した『メタバース』のプラットフォームが『VARP』で、人気ロックバンド「RADWINPS」のバーチャルライブを成功させ話題となりました。

また、米国のエピックゲーム社の『Fortnite』は、複数のユーザーがアクセスし、仮想空間内で疑似戦闘する『メタバース』を活用したオンラインゲームです。実に約3億5千万人のユーザーが世界中にいると言われており、今後もコミュニティに関連するビジネスを展開していくことでしょう。

4.『VRChat』PRイベント

米国の「VRChat社」が開発した『VRchat』は、1千万以上のアバターを有する、世界最大の『メタバース』によるコミュニケーション・ツールです。より現実に近いリアルな体感が特徴で、莫大な資金を元手に機能をさらに充実させると公表しています。

日本の大企業も参画したバーチャル・マーケットやバーチャル・ギャラリーも開催されており、高度な『VR』テクノロジーが注目されました。

まとめ:『メタバース』を活用しビジネスの可能性を広げよう

『メタバース』で構築されるさまざまな革新的なシステムは、技術の向上と共に今後さらに発展を遂げていくことでしょう。現時点では、誰もが想定していなかった分野での活用があるかもしれません。

『メタバース』のテクノロジーは、まだ発展途上だけに、人類の想像を超える機能が登場する可能性さえあります。『メタバース』ビジネスを展開する際の妨げとなる要素がクリアできれば、新しいビジネスチャンスの可能性が広がるといえるでしょう。

募集職種一覧