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『Kotlin(コトリン)』とは?特徴やJavaとの違いを解説

コラム

掲載日:2023/03/29

『Kotlin(コトリン)』は、開発された場所に近い島の名前が由来のプログラム言語です。Androidアプリケーション開発における公式言語のひとつとして、Google社が正式に採用しています。その特徴やメリット、注意点、将来性を解説します。

『Kotlin(コトリン)』とは?注目されている理由とできること

『Kotlin(コトリン)』は、チェコのソフトウェア開発企業 JetBrainsが2011年に開発した、『Java』仮想マシンで動作するオブジェクト指向のプログラミング言語です。ここでは『Kotlin(コトリン)』が今注目されている理由と、できることについて解説します。

Android開発で注目を浴びる

『Kotlin(コトリン)』は2017年、GoogleにAndroidデベロッパーの推奨言語に公式採用されました。実際、ほとんどがAndroidアプリケーション開発で用いられ、その他の分野で用いられることはほぼありません。

それまで『Java』が公式言語だったAndroidアプリケーション開発において、『Kotlin(コトリン)』はより簡単にプログラミングできるよう進化しています。大手SNSの公式アプリケーションなど『Kotlin(コトリン)』を採用しているアプリケーションは増加しており、使えるエンジニアも急速に拡大しているのが現状です。

アプリケーション、サーバーサイドを開発できる

『Kotlin(コトリン)』はAndroidアプリケーション開発の他にも、Webアプリケーションやサーバーサイドの開発にも使えます。Webアプリケーションでは、『Java』よりコーディングが簡単なため開発を始めたばかりの人でも取り組みやすいのが特徴です。

また国内の公開されているサーバーサイドでは、『Java』からの移行コストの低さから『Kotlin(コトリン)』の採用が増えており、今後もこの傾向が続くと考えられています。

『Kotlin(コトリン)』の5つの特徴やJavaとの違い

『Kotlin(コトリン)』がAndroidアプリケーション開発に採用されたこと、開発に採用されることが多いことには理由があります。これから開発に携わるのなら、Javaとの違いや関係性をきちんと把握しておくことは大切です。

ここでは『Kotlin(コトリン)』の特徴を5つに分け、Javaとの違いや関連について解説します。

1.『Kotlin(コトリン)』は関数の型宣言を後ろに置く

JavaやC言語など多くのプログラミング言語で関数の型宣言は前に置くことをルールとしています。しかし、『Kotlin(コトリン)』の場合はUMLやSQLのように後ろに置きます。関数の型宣言を後ろに置くことで、関数名や引数名を先に見ることができ、コードの可読性が向上します。

2.『Kotlin(コトリン)』は行末のセミコロンを省略できる

Javaでは行の最後に必ずセミコロンを入れなければエラーになってしまいますが、『Kotlin(コトリン)』では省略できます。これは『Kotlin(コトリン)』が、改行すること自体、行末だと判断する仕組みであるためです。

文末セミコロンを省略することで、コードの可読性向上、ミスタイプ防止、コードの簡略化などの効果が期待できます。

ただし、1行で複数行を記述する場合はセミコロンを入れなくてはなりません。セミコロンを使わないのではなく、使うところが少ないだけであることには気をつけましょう。

3.ifとswitchの扱い

『Kotlin(コトリン)』では、プログラミング言語で用いるifとswitchの取り扱いが、Javaとは違います。『Kotlin(コトリン)』において条件分岐はif文でも可能ですが、このときのif文は式となっている(=値を返すことが可能)ため、Javaとはまったく書き方が異なります。

また『Kotlin(コトリン)』にはswitch文による条件分岐が存在せず、代わりを果たすのがwhen式です。when式のほうがシンプルで、わかりやすく記述できる特徴があります。

4.『Kotlin(コトリン)』の変数宣言はvalとvarの2つ

『Kotlin(コトリン)』の変数宣言では、valとvarの2つが使えます。

● val:変数の中身を後で変更できず、定数として取り扱われる
● var:変数の中身を自由に変更できる

状況に応じてvalとvarを使い分けられるのが大きな特徴です。

5.『Kotlin(コトリン)』はラムダ式が使える

ラムダ式が使えるのは、『Kotlin(コトリン)』の大きなメリットです。ラムダ式とは、他の関数に渡すことが可能なコードをいいます。ラムダを使えば共通のコード構造を抜き出して、ライブラリ関数へ渡すことも可能です。

『Kotlin(コトリン)』は標準ライブラリでラムダ式を多用しているため、ラムダ式によるコレクションの操作がしやすくなっています。

『Kotlin(コトリン)』のメリット4つ

『Kotlin(コトリン)』の持つさまざまな特徴は、Androidアプリケーション開発にも多くのメリットをもたらします。Javaのメリットを受け継ぎつつ課題を解決できる『Kotlin(コトリン)』のメリットを4つ解説します。

1.『Java』よりコードがシンプルでわかりやすい

『Kotlin(コトリン)』では、『Java』で複数行を必要とする処理も短くシンプルなコードで表現できます。そのため、コーディングの作業時間の短縮が可能です。

コードがシンプルであれば、それだけ読みやすいため改修でもバグが発生するリスクを軽減できるのもメリットです。このことはシステム構築の際にエンジニアの負担を減らし、作業効率をアップさせるのに役立ちます。

2.Javaと相互利用できる

『Kotlin(コトリン)』と『Java』には、100%の互換性があります。そのためJavaのソースコードがあればそのまま『Kotlin(コトリン)』に変換して利用する、また途中までのソースコードの続きを『Kotlin(コトリン)』で記述することも可能です。そのためシステムがJavaを利用していれば、『Kotlin(コトリン)』への移行の時間も短くてすみます。

Javaと『Kotlin(コトリン)』にはプログラミング言語として共通している部分が多く、どちらか一方を習得していればもう一方の習得も容易です。

3.安全性が高い

『Kotlin(コトリン)』では、産業利用向けの汎用言語として開発されている文法を採用しているため、安全性が高くなっています。コード自体がシンプルな上、実行したときの例外エラーが発生しにくいコードを自然に書きやすいのも『Kotlin(コトリン)』の特徴です。

例えば、JavaではNull値を参照した結果エラーの発生が多いですが、『Kotlin(コトリン)』では、Null値を参照しようとしただけでコマンドプロンプトエラーを出力します。このような『Kotlin(コトリン)』の仕組みが、Javaより比較的安全性が高いと言われる理由です。

4.サポートが充実している

『Kotlin(コトリン)』のアプリケーション開発者もGoogleによる充実した開発者向けサポートを受けられます。これはもともと一般的なオープンソースのプログラミング言語だった『Kotlin(コトリン)』が、GoogleによってAndroidアプリケーション開発の公式言語として採用されたためです。

Googleが現在実施しているサポートの代表例は次のようなものです。

● Android開発に携わる『Kotlin(コトリン)』のエンジニアのエクスペリエンス向上のための活動
● Android Studio 3.2でのLintサポートやオンライン学習コース など

『Kotlin(コトリン)』の注意点2つ

『Kotlin(コトリン)』は、Android開発において活用が期待され、安全性も高い言語ですが、実際に利用する際に注意すべき点もあります。

ここでは、『Kotlin(コトリン)』について注意すべき点を2つ解説します。

1.日本語の情報が少ない

『Kotlin(コトリン)』は『Java』に比べて後発の比較的新しいプログラミング言語であるため、参照できるWebサイトやドキュメントはまだ少なく、これから学習しようとしても日本語の情報は少ないのが現状です。

とはいえAndroid開発の公式言語でもあることから、現在Googleが『Kotlin(コトリン)』の参考資料やオンライン学習コースを日本語で提供しています。これから学習する際は、Android Studioとあわせて利用するのがおすすめです。

2.Javaに比べ活用シーンが少ない

現在わが国では『Java』に比べて『Kotlin(コトリン)』を利用している企業は決して多くありません。また、活用シーンもAndroidアプリケーション開発以外の事例が少ないことは注意すべき点でしょう。

『Kotlin(コトリン)』を扱えるエンジニアも少なく、また求人自体も少なく市民権を得ていないのが現状です。習得したからといってすぐに仕事につけるとは限りません。

とはいえAndroidアプリケーション開発では今後、『Kotlin(コトリン)』が主流となると予想されます。今すぐ、というより将来的な需要が見込める言語といえるでしょう。

『Kotlin(コトリン)』の将来的なニーズ

Googleが『Kotlin(コトリン)』を採用した事実は、少なからず『Java』よりも優秀、または優れた部分があると判断したということの証です。今のところ需要はそこまで高いとはいえませんが、このGoogleの判断は、これからの企業の判断にも影響する可能性は高いといえます。

すでにiOSアプリケーション開発では、以前からの言語『Objective-C』のシェアを、新しい言語である『Swift』のシェアが上回っている現状です。同様に後発の『Kotlin(コトリン)』が先発の『Java』のシェアを超えることは十分あり得るといってよいでしょう。

まとめ:『Kotlin(コトリン)』を学びエンジニアとしてのスキルを高めよう

『Kotlin(コトリン)』は、Android開発において主流だった『Java』に加えて、Googleが公式言語として採用したプログラミング言語です。『Kotlin(コトリン)』には『Java』を踏まえた上でよりシンプルにコードが書ける、安全性が高いなどのメリットがあります。

一方で『Kotlin(コトリン)』には、日本語情報が少ない、国内では浸透していないといった面があり、身につければすぐ仕事につける言語ではありません。しかしこれからのAndroid開発では将来性が大いに期待されています。今のうちに『Kotlin(コトリン)』を学習し、エンジニアとしてのスキルを高めておきましょう。

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