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『Node.js』とは? 利用シーンやメリットを紹介

コラム

掲載日:2023/03/23 更新日:2024/02/22

『Node.js』とは、JavaScriptにおける開発環境のことを指します。『Node.js』の基本的な特性を理解したうえで、利用するシーンに応じた使い方を行っていけば、ネットワーク上の処理環境の改善や作業効率を高められるでしょう。

この記事では、『Node.js』の基本的なポイントや導入するメリット、注意点や利用シーンなどを解説します。

『Node.js』とは

『Node.js』をうまく使いこなすには、基本的な特徴をしっかりと押さえておく必要があります。どのような点で優れているのかを見ていきましょう。

『Node.js』とはJavaScriptの開発環境のこと

『Node.js』とは、JavaScriptをサーバ側で動作させる開発環境のことです。JavaScriptはプログラミング言語の一種であり、Google ChromeやSafariなどのブラウザ上のみで実行が可能でした。

しかし、全ての情報をJavaScriptから遮断すると機能性が低下するため、確認ダイアログでアクセス許可を取るなど、限定的に一部の操作が可能となっていました。そこで『Node.js』を導入すると、サーバ上でも自由にJavaScriptを動作させることができます。そのため、ファイルの読み書きやネットワーク通信など、OSを必要とする機能も利用できるようになります。

このように、『Node.js』によってJavaScriptでも利便性の高いアプリケーションの開発が可能になりました。

サーバーサイドJavaScriptの代表

『Node.js』は、サーバサイドJavaScriptの代表格として挙げられるものです。機能性の高さは大手企業であるMicrosoftも推奨するほどで、プログラミングの可能性を広げるツールとして注目を集めています。

サーバサイドではPHP・Python・Perlなどの言語を使うのが主流でしたが、『Node.js』の登場によってJavaScriptもサーバサイドでの動作が可能になりました。今まではフロントサイドで使われることが多かったJavaScriptをサーバサイドでも使えるようになったことで、いくつか『Node.js』特有のルールはあるものの、一貫して同じスクリプトが使えるようになりました。これは、エンジニアからしても、学習コストを下げられる点でメリットといえます。

プログラム開発の行いやすさから導入が進み、サーバサイドスクリプトとしても注目されており、利用者が増加しています。

クライアントサイドのJavaScript開発環境でもある

『Node.js』はサーバサイドだけでなく、クライアントサイドのJavaScript開発環境としても利用されています。元々JavaScriptは、サーバサイドで利用されるプログラミング言語ではなく、クライアントサイドでおもに利用されるプログラミング言語でした。クライアントサイドでは多くのエンジニアがすでにJavaScriptに関する知見を持っているため、『Node.js』にもとっつきやすいという魅力があります。

サーバ上でJavaScriptを実行できるようになったことで、クライアントサイドでの開発環境がさらに向上したことも、利用者が増えた要因だといえます。現在では、ブラウザで実行するJavaScriptを開発するための環境(Babelやwebpackなど)にも、『Node.js』が利用されています。

『Node.js』を使う3つのメリット

『Node.js』を使用することで、以下のようなメリットが得られます。

● データ処理能力を高め、C10K問題に対応できる
● ノンブロッキング I/Oによる非同期処理
● クライアントサイドとサーバーサイドで言語が統一できる

サーバーの機能を強化したり、クライアント側の負担を減らしたりできるなどの効果もあるため、作業の効率化に大いに役立つでしょう。

C10K問題に対応できる

『Node.js』を導入すれば、C10K問題に対応可能です。C10K問題とは、サーバの機能に余力があるにもかかわらず、処理方法の特性から接続数が1万を超えると、ネットワークの処理能力が低下してしまう現象を表します。ただし、あくまでクライアント数が多くなると応答が遅くなる、または停止するという内容であって、1万を超えた瞬間に発生するという意味ではありません。

通常、サーバーはひとつの接続に対して、ひとつのプロセスで情報を処理(シングルスレッド)します。しかし、『Node.js』はノンブロッキングI/O方式という一つの処理を行いながら、他の処理を同時並行で実行できる仕組みを採用しているため、接続数を問わずに迅速な処理が可能です。

複数の接続を1プロセスでまとめて処理できるため、サーバのプロセス上限をはじめとしたC10K問題を解決できます。

ノンブロッキング I/O方式で迅速な処理が可能に

『Node.js』の特徴として、ノンブロッキングI/O方式による非同期処理を行えることが挙げられます。タスクが終わっていない状態でも、次のタスクを進められるので情報の処理がスムーズになります。

リアルタイムで接続処理が可能なことから、チケット予約サイトや迅速な処理が必要なライブチャットなどの開発によく利用されているのも特徴です。マルチタスクでさまざまなことを同時に処理でき、Webページを快適に動かしてくれるなどの点で、ユーザーに利便性を提供できるのもメリットと言えるでしょう。

クライアントサイドとサーバサイドで言語が統一できる

『Node.js』を利用すると、クライアントサイドとサーバサイドで使用言語が統一できます。本来、クライアントサイドでしかJavaScriptは利用されておらず、サーバサイドでは使用する言語が異なっていました。

しかし、『Node.js』を導入することで、サーバサイドでも馴染みのあるJavaScriptが使用可能です。仕様が全て同じというわけではありませんが、予備知識がある分だけ習得スピードも速く、作業が効率的に進められるでしょう。

『Node.js』を使う際の3つの注意点

『Node.js』を利用する場合にはメリットだけでなく、以下のような注意点も把握しておく必要があります。

● 対応しているサーバーが少ない
● 大規模開発に向かない
● JavaScriptとの互換性がない

メリットと注意点を比較した上で、必要かどうか見極めて利用するとよいでしょう。

対応しているサーバが少ない

まず、対応しているサーバの少なさが注意点として挙げられます。現在利用中のサーバが『Node.js』に対応していない場合は、導入できません。サーバーが『Node.js』に対応していない場合は、別途VPS(Virtual Private Server)などの仮想環境を作って利用できる環境を整える必要があります。

『Node.js』を導入する際には、サーバーに対応しているかどうか確認しておくことが大切です。

大規模開発に向かない

『Node.js』は、大規模開発には向かないため注意が必要です。小規模でリアルタイムな処理を得意とする一方、裏を返せば非同期処理が基本のため、すぐにエラーやバグを検知することが難しい特徴があります。また、パフォーマンス自体は落ちにくいものの、大規模開発となると処理自体が追いつかず処理待ちとなるケースが目立つようになります。

『Node.js』はシングルスレッドで動作を行うため、大規模開発でタスクが集中しすぎてしまった場合、動作が遅くなる、サーバがダウンするなどの恐れがあるでしょう。

大規模開発をする場合は、TypeScriptがおすすめです。操作性が似ているため、JavaScriptの代替言語とされており、大規模開発に向いた特性を備えています。

JavaScriptとの互換性がない

『Node.js』には、JavaScriptと処理上の互換性がないことにも注意が必要です。クライアントサイドでもJavaScriptを利用して開発を行いますが、『Node.js』で利用するJavaScriptは操作性が異なる部分もあります。

基礎的な書き方や知識はJavaScriptのものを転用できるものの、『Node.js』を適切に使いこなすためには、独自のルールや操作方法を新たに学習する必要があるでしょう。

『Node.js』の活用シーン5つ

Node.jsを活用できるシーンは、主に次の5つです。

● Webアプリケーション開発
● スマホアプリケーション開発
● IoT関連の開発
● Webサーバ構築
● JavaScriptを使ったプログラム作成

さまざまな開発で活用できるため、よく利用する項目がある場合は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Webアプリケーション開発

『Node.js』は、Webアプリケーションの開発に向いているツールです。Webサーバの役割も果たすことから、サーバの管理と情報を処理する工程を一貫して行えるため、作業効率の向上が期待できます。

そのため、SNS・ECサイト・動画配信サイトなどレスポンスの良さを求められるシーンで、大量のアクセスが集中してもスムーズな動作が可能です。Webアプリケーションの開発で、大いに役立つでしょう。

スマホアプリケーション開発

スマートフォンのアプリケーション開発も、『Node.js』の得意分野です。大量のデータアクセスに強い特性を持っていることから、スマホアプリケーションに求められるリアルタイムな情報処理に適しています。

通常、スマホのアプリケーションを開発する際には、AndroidであればJavaと、iOSであればSwiftと、それぞれのOSに対応した言語がよく用いられます。しかし、『Node.js』を利用することで、Android・iPhone・Webをひとつの言語で開発できることもポイントです。

IoT関連の開発

『Node.js』は、IoT関連の開発を行う際にも利用できます。loTとはInternet Of Thingsを表し、モノのインターネットを意味する言葉です。

『Node.js』を活用することで、loT機器から集積された大量のデータをスムーズに処理できます。開発を効率的に進めることが可能できるので、IoT分野においても注目されている開発環境です。

Webサーバ構築

Webサーバの構築でも、『Node.js』が活躍します。Node.jsはサーバサイドでのフレームワークが可能なため、『Node.js』を活用すればWebサーバを構築することが可能です。

『Node.js』を使って構築されたWebサーバは、アクセス集中に強く、リアルタイムの処理に適した特性を備えています。また、データ処理で動作が重くなるリスクが少なく、ストレスを感じさせないページを作れます。

JavaScriptを使ったプログラム作成

『Node.js』を使用することで、JavaScriptでのプログラム作成が可能です。『Node.js』で使用するプログラム言語はJavaScriptであることから、JavaScriptを使用すればその他の言語で構築していたプログラムを『Node.js』だけで作成できます。

また、ネットワーク通信など、サーバサイドに関するプログラムも作成可能なため、開発の幅が広がるでしょう。

『Node.js』の学習方法

『Node.js』における専門性を高めていきたい場合、下記の学習方法から自分に合ったものを選びましょう。

● 書籍を読む|まずは入門書から
● Webサイトで勉強する
● プログラミングスクールに通う

書籍を読む|まずは入門書から

『Node.js』について解説している書籍は、入門書からより細かい内容に関する上級者用のものまで幅広く用意されています。まずは入門書から学習をはじめ、徐々により専門的な内容へステップアップしていきましょう。

書籍で学習するメリットは2点あげられます。

1点目が自分のペースで勉強できることです。他の学習方法と比較して、隙間時間に学習を進められるため、平日は仕事で忙しい方でも無理なく学習を進められます。

2点目が信頼性の高い情報を得られることです。書籍は編集が入っているため、情報源としても信頼できます。

ただし、発行から時間がたっている場合は、最新の情報が掲載されていない可能性があるので注意しましょう。

Webサイトで勉強する

『Node.js』を学習できるWebサイトも、動画コンテンツや、テキストベースでのコンテンツなどさまざまです。またサブスクリプションのような月額を払って学習するものもあれば、都度教材を購入し、学習するものもあります。

Webサイトで学習するメリットは、動画教材などが多く、視覚的に頭に入ってきやすい点です。書籍ですと、ソースコードとその解説がメインとなるため、ビジュアルで理解したい方にはWebサイトの方がおすすめです。

ただし、情報量が豊富な分、体系化されていない側面もあるため、何から始めればいいのか迷いやすい点には注意が必要です。

プログラミングスクールに通う

独学以外にも、プログラミングスクールに通う方法があります。他の受講生と一緒に学べる点や、学習を丁寧にサポートしてくれる講師がいる点が特徴といえるでしょう。

プログラミングスクールに通うメリットとして、講師に質問ができる点があげられます。プログラミング学習においては、自身でつまづきを解決できず、挫折してしまうケースもありえますが、講師に相談することでつまづきを解決しやすくできるでしょう。

一方で、自身のペースで学習を進められない点には注意が必要です。あらかじめ決められたカリキュラム・時間に沿って学習をすすめるため、スクールに通う時間をねん出できるかどうかしっかり検討しましょう。

まとめ:『Node.js』でJavaScriptの可能性を広げよう

『Node.js』を使用することで開発環境の幅が広がり、動作環境の改善も見込めます。簡単にインストールができるため、ひとつの言語でプログラム開発を行う場合に作業の効率化が図れるでしょう。

サーバサイドとクライアントサイドでプログラム言語を統一したい場合や、リアルタイムにスムーズな処理が行える開発状況を確保したい場合は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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