掲載日:2023/03/20

インターネットを通じて、世界中のユーザーとまるで現実世界のようにコミュニケーションを取れるメタバースには、さまざまなプラットフォームがあります。この記事では、ビジネスやゲームだけでなく開発や収益化が可能なものもご紹介します。
メタバースプラットフォームとは?注目される背景と始め方

まずはメタバースプラットフォームの概要を知っておきましょう。
『メタバース』とは、超越するという意味の『メタ』と、世界や宇宙を表す『ユニバース』を組み合わせた造語です。一般的に、コンピュータやインターネット上に作られた3D仮想空間を指しますが、大きく次の3つに分けられます。
● VR=仮想現実:専用のゴーグルを用いてデジタル空間に仮想の世界をつくる
● AR=拡張現実:スマートフォンなどを使って現実世界にデジタル情報を表示する
● バーチャルワールド=仮想世界:単独で成立しているデジタル世界
『プラットフォーム』とは、サービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズするために欠かせない基盤です。
『メタバースプラットフォーム』とは、メタバースを作り上げている基盤です。運営する企業などによってできることが異なるため、ユーザーは目的に沿ったメタバースプラットフォームを選んで自由に参加できます。
ここではメタバースが注目されている背景や、メタバースを始めるための準備を解説します。
メタバースが注目される背景
近年、メタバースが注目されている背景として挙げられるのは、次のような項目です。
● 急速なテクノロジーの進化:3DCG技術や仮想空間が進化したため、アバターがよりリアルに近づいた
● デジタルデバイスの性能アップ:PCやスマートフォンなどのスペックが向上し、仮想空間への接続がよりスムーズになった
● デジタル空間における新しい価値の誕生:NFTや暗号化資産の登場で偽造を防げるようになったため、デジタルデータにも資産価値が生まれた
● 感染症の拡大:リアルではなくリモートでの会議やイベントが急速に一般化した
メタバースプラットフォームを含めたIT技術は、すでにさまざまな方面で生活に根付きつつあります。
メタバースを始めるための準備
メタバースを始めるには、次のような機材やサービスへの登録が必要です。
● VRゴーグル・VR対応PC:メタバース空間への没入感を体験するためのツール
● 仮想通貨取引所の口座:メタバースプラットフォーム内では、仮想通貨で取引をおこなうため(プラットフォームによっては海外の口座も必要)
● 仮想通貨用のウォレット:所有する仮想通貨を利用するときに必要
● メタバースプラットフォームへの登録:登録後にアバターを作る
上記の準備は、メタバースを楽しむために欠かせない要素です。アバターやNFTがあるからこそ、まるで現実世界のようにメタバースを楽しめます。利用するメタバースプラットフォームに合わせた準備を、忘れないようにしましょう。
ビジネスで活用できるメタバースプラットフォーム3選

メタバースプラットフォームは、ビジネスでも大いに活用が期待されています。ここで紹介するプラットフォームは、ユーザー同士の交流がメインです。無料での利用もできるため、積極的に体験してみましょう。
1.cluster(クラスター)
『cluster(クラスター)』は日本の『クラスター株式会社』が運営する、メタバースのアプリケーションです。もちろん日本語にも対応しており、デバイスもWindowsだけでなくMacやスマートフォンでも利用できます。
プラットフォーム内にはバーチャルの観光地や博物館、カフェ、バーなどもあり、まるで現実の街そのものです。2020年5月には、メタバースの先端的な取り組みと言われるバーチャル渋谷がオープンしています。
2.VRChat(VRチャット)
『VRChat(VRチャット)』は、アメリカの『VRChat Inc.』が運営しています。いわゆる典型的なメタバースプラットフォームで、突出しているのはその自由度です。豊富なコンテンツと活気のあるイベントが人気で、高いクリエイティブ性に惹かれて多くのユーザーが登録しています。
2023年3月時点では、UIは英語のみです。ややハードルは高めですが、一度は体験しておきたいプラットフォームといえます。
3.Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルームス)
『Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルームス)』は『Meta(旧Facebook)』が運営するプラットフォームです。ビジネス用仮想オフィスの意味合いが強く、表情豊かなアバターを相手に商談や取引をするためのプラットフォームといえます。
マルチデバイスに対応しているため、いつでもどこでも商談や打ち合わせができるのも魅力のひとつです。最低限のビデオ通話環境があれば利用できるため、特別な機器は必要ありません。クローズドなメタバースを体験したいユーザーにはとくにおすすめです。
収益化できるメタバースプラットフォーム5選

メタバースプラットフォームの魅力のひとつは、収益化が可能な仕組みであることです。ここでは仮想通貨やNFTを使っての収益化が可能なプラットフォームを紹介します。
1.Axie Infinity(アクシー インフィニティ)
『Axie Infinity(アクシー インフィニティ)』は、NFTを使用するメタバースプラットフォームで、メインはアドベンチャーゲームです。取引するのはアクシーと呼ばれるモンスターで、育成要素もあります。
クエストクリアで手に入る通貨や、育てたモンスターの売却による収益化が可能です。メタバースを楽しみつつ収益も得たいユーザーにおすすめですが、参加は有料であることに注意しましょう。
2.The Sandbox(サンドボックス)
『The Sandbox(サンドボックス)』は、香港企業『The Sandbox』が運営するメタバースプラットフォームです。日本語にも対応しており、WindowsとMacの両方で利用できます。プレイヤーが自由に目的を決めて遊び、経済活動もできる、マインクラフトに似たプラットフォームです。
メタバースにあるアイテムや土地がNFTで非代替性(=価値)が証明されており、所有・売買などができます。土地に建物を建てられるため、建物付きの土地を他のユーザーに貸して賃料を得ることも可能です。
ただし、日本在住ユーザーの場合は、リーダーボードのイベント報酬や有料アバター・LAND保有者限定報酬を得られませんので注意しましょう。
3.Decentraland(ディセントラランド)
『Decentraland(ディセントラランド)』は、他とは異なり運営企業が存在しないプラットフォームです。運営の方向性やルールは参加ユーザーの投票で決める、分散型のコミュニティガバナンスを採用しています。
メタバース内ではアイテムやコンテンツを制作し、販売することで収益化が可能です。NFTを用いて発行される仮想土地の売買や賃貸で収益を得ることもできます。
4.ZEPETO(ゼペット)
『ZEPETO(ゼペット)』は韓国企業『NAVER Z Corporation』が運営しています。参加は無料で、対応デバイスはiPhoneまたはAndroidのスマートフォンのみです。ファッションを通じて世界中のユーザーとコミュニケーションできることから、女性に人気があります。
有名ブランドのアイテムや公式が作成したマップ(ワールド)は多く提供されているものの、ユーザー自身も作成して販売できるため、収益化も可能です。
5.Everdome(エバードーム)
『Everdome(エバードーム)』は仮想空間でも他のサービスとは異質な、火星移住をコンセプトにしたメタバースプラットフォームです。土地や不動産、アイテムなどの売買といった経済活動もできます。
Everdomeでとくに注目されているのは、最新技術を使ったグラフィックです。本物と見分けがつかないほどレベルが高く、近未来世界により深く没入できます。
ゲーム主体のメタバースプラットフォーム2選

メタバースをより手軽に試してみたいユーザーには、ゲームを入口にするのもおすすめです。メタバースプラットフォームでのゲームは、好きなユーザー同士のコミュニケーションをより活性化させてくれるでしょう。
1.Fortnite(フォートナイト)
『Fortnite(フォートナイト)』はもともと、アメリカ企業『Epic Games, Inc.』が運営するバトルロワイヤルゲームでした。しかし、クリエイティブモードが導入されたあとはオリジナルの島や街を作り、フレンドと一緒に理想のゲームをプレイできるメタバースプラットフォームとして人気を集めています。
アーティストによるバーチャルライブが開催されるなど、新たなイベントスペースとしても話題のプラットフォームです。
2.Roblox(ロブロックス)
『Roblox(ロブロックス)』は、ユーザーが自分でゲームを作って公開できるメタバースプラットフォームです。特にアメリカでは人気で、月間のアクティブユーザーは1億人以上と言われています。
人気の理由は、ユーザーが作ったゲームを他のユーザーがプレイできるというスタイルです。大手企業がワールドを作るなど、今後は日本でも人気の高まる可能性があります。
メタバースを開発できるプラットフォーム2選

利用して楽しむだけでは物足りないユーザーには、メタバースを作って楽しむ方法もあります。ここで紹介するのは、メタバースを開発する側にとって魅力的なプラットフォームです。
1.Blender(ブレンダー)
『Blender(ブレンダー)』の特徴は、特別な知識がなくても3DCGアニメーションを作成できることです。身の回りにあるモノから巨大な都市まで、実に多彩で幅広い世界を作れます。
初心者が挫折しにくいだけでなく、モデリングも思い通りにできるプラットフォームです。納得いくまで作り込みたい、こだわりのあるユーザーにおすすめします。
2.Unity(ユニティ)
『Unity(ユニティ)』はアメリカの『ユニティ・テクノロジーズ』が提供している、3Dまたは2Dのゲーム開発に特化したゲームエンジンです。
ゲーム開発の基本作業からスマートフォンのアプリケーション、VRやARの制作が可能なプラットフォームで、専門知識を持たないユーザーでも直感的にゲームを開発できます。
『Blender』と組み合わせて利用すると、できることの幅がさらに広がります。
まとめ:目的に応じたメタバースプラットフォームを活用しよう

メタバースプラットフォームにはそれぞれ特徴があり、目的によって適するサービスは違います。
共通点は、実際に会わなくても密なコミュニケーションを取れることです。今後もメタバースは、ビジネスやゲームだけでなくライブ活動などの場として多彩に進化するでしょう。
メタバースを理解するためにはまず、体験することが大切です。無料のプラットフォームも多いため、目的に応じたメタバースプラットフォームに登録し、積極的に参加しましょう。