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『Go言語』とは?できることやメリット・注意点を徹底解説

コラム

掲載日:2023/03/02

世界では技術の進歩を表すように新しいプログラミング言語が生まれています。2009年にGoogleからリリースされた『Go言語』には、他とは異なる特徴があるため、近年注目されています。この記事ではその基礎知識と特徴を詳しく解説します。

『Go言語』とは

『Go言語』とは、Googleが2009年にリリースしたオープンソースのプログラミング言語です。公式サイトには『シンプルで信頼性の高い効率的なソフトウェアを構築できる言語』と紹介されていますが、未経験者にも学習しやすい言語としても広く知られています。

ここでは『Go言語』の特徴と将来性について詳しくみていきましょう。

『Go言語』の特徴

『Go言語』の開発には、『C言語』を設計した世界的なエンジニア、ケン・トンプソンと、『UNIX』を開発したロブ・パイクが携わりました。そのため構文は『C言語』に近く、コーディングも簡単にできるような設計です。『Go言語』の主な特徴には、次のようなものがあります。

● シンプルな記述
● 高速な処理が可能
● 並列処理が可能
● メモリの安全性が高い

開発当時は、マルチプロセッサの登場などによってシステムが大規模化、複雑化したころでした。この変化に対応するため、よりシンプルで簡単に設計されたのが『Go言語』です。

『Go言語』の将来性

『Go言語』は、これからの伸びが期待されるさまざまな先端技術との相性がよいことから、高い将来性があると言われています。

『Go言語』が利用されているのは、Webサービスやアプリケーション開発だけでなく、クラウドやのIoT(Internet of Things)、ドローンなどの幅広い分野です。『Go言語』は現在、IoT(Internet of Things)やドローンを通じて農業のIT化を推進し、生産性の飛躍的に向上させる原動力ともなっています。

また5G通信網の普及でサーバーの処理速度の高速化が求められる中、自社のWebサービスを、処理速度の速い『Go言語』に書き換える企業が増えているなど、ますますニーズは高まってきているのが現状です。

『Go言語』でできること

『Go言語』は現在、世界的な動画配信サービス『YouTube』やフリーマーケットアプリケーションの『メルカリ』、有名なグルメサイト『ぐるなび』などで採用されていますが、それは『Go言語』にできることが多いためです。

ここでは『Go言語』でできることの主だったジャンルを4つ、解説します。

WebサービスやWebサーバーの開発

シンプルなコードを書けることが特徴の『Go言語』は、実装後にさまざまな機能を追加することの多いWebサービス開発に向いています。それは『Go言語』がメモリにかかる負担が少なく並行処理も可能であり、膨大なデータを取り扱うWebサービスにも十分対応できるためです。

また安定したコード作成ができ、汎用性も高いため、『Go言語』はWebサーバーの構築にも向いています。Net/httpパッケージがあれば、ほかの言語では必須のWebサーバーソフトなしでWebサーバーが簡単に構築できるのもメリットです。

マルチプラットフォームに対応している『Go言語』は、動作環境としてWindowsやMacOSなどのOSの区別なく、自社プラットフォームの設計や開発にも適しています。

スマートフォン向けアプリケーションの開発

『Go言語』がマルチプラットフォーム対応であることは、スマートフォン向けアプリケーション開発にもメリットをもたらします。『Go言語』はスマートフォンアプリケーション開発用の制作ツール『Go mobile』や『Go Cloud』などを標準搭載しています。そのためiOSとAndroidのアプリケーション用、またWeb用のコードを書き換えずに併用可能です。

『Go言語』を使えばアプリケーションの開発工程の削減や、エンジニアの人件費の節約にもつながります。開発におけるエラー検出機能のレベルも高く、修正を比較しやすいこともスマートフォン向けアプリケーション開発に向いている理由です。

ドローンなどのIoT開発

以前はコンピューター同士の接続にしか利用されていなかったインターネットも、今ではテレビやエアコン、お掃除ロボットなど多くの家庭電化製品にまで利用されるようになりました。このIoT(Internet of Things)に対して、『Go言語』には『Gobot(ゴーボット)』と言うフレームワークがあるため、ドローンやロボット開発に向いています。

『Gobot』を利用すれば、ロボットやドローンを操作・制御するシステムを作成するのも簡単です。複数デバイスから相互で通信する機能を持つため、遠隔操作や他のデバイスとの連動、センサーで感知した情報の送信もできます。

CLIアプリケーションの開発

CLI(Command Line Interface)とは、コマンドを実行する画面で動作するツールです。

CLI(Command Line Interface)はコンピューターやソフトウェア、アプリケーションを動作させるために利用されますが、『Go言語』を使えば開発する際、実行環境のOSやバージョン、プラットフォームを考慮せずに済みます。

『Go言語』を選ぶメリット

『Go言語』のニーズがこれほど幅広い分野に及んでいるのは、『Go言語』に多くのメリットがあるためです。シンプルで高い効率性、汎用性のほか、より実用性の高いメリットもたくさんあります。

ここでは、具体的な例を挙げながら、メリットを4つ解説します。

記述がシンプルなため学習しやすい

『Go言語』はさまざまな分野に活用されていますが、実際の記述はとてもシンプルです。例えば繰り返し構文はfor文のみでwhile文やdo/while文がなく、プログラマーごとのばらつきが少なくて済みます。

これは記述法が厳格に定義されているためです。それだけ覚えなくてはならないことは少なく、これから学習する人にとっても少ない負担ですむのはメリットでしょう。『Go言語』は数ある言語の中でも学習しやすい言語と言えます。

メモリの安全性が高い

『Go言語』のシンプルな記述は、複数のプログラマーが携わる開発においてコードに大きな差が生まれず、ミスを引き起きにくい特徴につながります。

また、エラーが発生しやすい「ポインタ演算」の機能はそもそも備わっていないため、メモリの解放忘れが発生しにくい仕様です。総じてミスが発生しにくい、安全性の高いプログラミング言語だと言えます。

高速処理ができる

『Go言語』は、コードを実行する前に機械語に変換するコンパイラ言語です。コンパイラ言語は、『PHP』や『Python』に代表される命令を1つずつ機械語に変換しながら実行するインタプリタ言語に比べて高速処理ができます。

また『Go言語』は同じコンパイラ言語の『Java』や『C♯』のような中間言語への変換もありません。そのため、より高速に処理できる上に、メモリの消費を抑え、工数も節約できます。

並行処理・並列処理ができる

『Go言語』は並行処理と並列処理の両方を得意とするプログラミング言語です。

● 並行処理:複数のタスクを時間単位ごとに分割して交互に進めることで、全体から見るとまるで2つのタスクが進行しているように見える処理
● 並列処理:複数のタスクを、同時に途切れなく進められる処理

この両方が使える『Go言語』は、状況に応じて並行処理と並列処理を使い分け、複数のCPUを持つコンピューターのより高いパフォーマンスを引き出します。

『Go言語』を利用する際の注意点

『Go言語』にはいくつものメリットがありますが、実際使用する際に注意する点もあります。

● 継承ができない
● 三項演算子がない
● Genericsの情報が少ない
● 例外処理がない

学習するにしろ実際の開発に使うにしろ、状況ごとに上手に使い分けることが大切です。それぞれを詳しくみていきましょう。

継承ができない

プログラミングにおいて継承とは、あるクラスの性質を別のクラスに引き継ぐ、オブジェクト指向の基本的な機能・概念を言います。『Java』や『C++』などオブジェクト指向の言語にはありますが、『Go言語』にはありません。これは既存コードの使いまわしやコード修正が難しいと言うデメリットにつながります。

とはいえ『Go言語』はよくオブジェクト指向的に利用されますが、実はGoogleも「『Go言語』はオブジェクト言語だ」と明言してはいません。そのため『Go言語』を利用して、オブジェクト指向の考え方に基づいて開発しようとしても、できないことがあり得るということは理解しておきましょう。

三項演算子がない

三項演算子とは、If文のような条件によって真と偽に分岐する処理を、1行で表現できる演算子です。コードをうまくまとめるには重宝する演算子ですが、『Go言語』ではサポートされておらず、『Go言語』では条件分岐のコードが長くなる原因となっています。

Genericsの情報が少ない

『Generics』とは、クラスやインターフェース、メソッドなどの型そのものをパラメーターとして定義する機能です。『Go言語』では当初、コードをシンプルにするために搭載されていませんでしたが、2022年3月のアップデートで実装されました。

実装後の期間が短いため、本番環境での実装の事例はほとんどなく、実用のための情報が少ないのはデメリットです。一般にプログラミングでは、大きな機能の追加によって新しいエラーが発見されます。当面の間は、『Go言語』での『Generics』機能は、慎重な取り扱いが必要です。

例外処理がない

他のプログラミング言語では例外が発生したとき、例外処理を記載しますが、『Go言語』で例外は「発生時に呼び出し元が処理する」との考え方をとっているため、例外処理そのものがありません。

一部のエンジニアは、発生すると想定していない動作やエラーの可能性が高まることから例外処理は書かないことを理想としています。そのため例外処理がないことを一概にデメリットとは言えませんが、やはり決まった型以外のコードを正しく処理できないことはデメリットです。

まとめ:『Go言語』を理解して活用しよう!

より汎用性が高く、処理速度の速い言語として登場したのが『Go言語』です。『Go言語』ではコードの記述が厳格に定められているからこそシンプルで安全性や信頼性が高く、ドローンやIoT(Internet of Things)など幅広い分野に利用されています。

一方で継承ができない、三項演算子がないなど他の言語にはないといったデメリットもあるため、学習または開発の場面では正しく把握しておくことが大切です。

とはいえ『Go言語』は、ドローンや家電などを通じてこれからも多くの分野に利用が期待されています。今学ぶプログラミング言語として『Go言語』は、さまざまなメリットが期待できる言語と言えるでしょう。

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