掲載日:2023/02/27

『Firebase』とは、Googleがアプリケーションの開発者向けに提供しているサービスです。今回はサービスの概要やできること、利用するメリットなどをご紹介します。料金プランや始める際のステップも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
『Firebase』とは

『Firebase』とは、Googleがアプリケーションの開発者向けに提供している、モバイル・Webアプリケーションのプラットフォームです。モバイル・Webアプリケーションのバックエンドでの機能を、クラウドサービスとして提供しています。
『Firebase』は、MBaaS(Mobile Backend as a Service)/BaaS(Backend as a Service)に位置付けられるサービスです。『Firebase』の利用によって、アプリケーションの開発や運用の際に、バックエンドで動くサービスを作成・管理する手間がなくなります。その分スピーディーに環境整備ができるため、サービスの早期リリースが可能です。
『Firebase』でできる9つのこと

『Firebase』でできることには、さまざまなものがあります。『Firebase』では、MBaaS(Mobile Backend as a Service)として求められる各機能を別々のサービスとして提供し、利用者側が組み合わせて利用しています。それでは、『Firebase』で利用できる主な機能について、詳しくチェックしていきましょう。
1.『Firebase Analytics』
ユーザーによるアプリケーションの使用状況やユーザーエンゲージメントの分析機能です。『Google Analytics for Firebase』とも呼ばれています。
機能の活用によって、ユーザーの行動のデータ化ができ、プロダクトやマーケティング施策の最適化に役立てられます。たとえばユーザーの行動に関する分析は、ユーザー属性や使用時間、広告の効果など、最大500種類ものイベントに関して無料でレポートを作成可能です。さらに、『Firebase Cloud Messaging』などのツールとも連携できます。
2.『Firebase Hosting』
静的なWebページやWebアプリケーションを簡単にデプロイできる機能のことです。近年では、HTMLやCSS、JavaScriptなどを使ったページもデプロイできます。『Firebase Hosting』の機能を活用すれば、レンタルサーバーの契約などの手配をしなくとも、これらのページをグローバル向けのCDN(Content Delivery Network)として簡単に公開可能です。
なお、CDN(Content Delivery Network)とは、コンテンツをキャッシュする仕組みを指します。
3.『Firebase Cloud Messaging』
さまざまなプラットフォームのアプリケーションに、無料でメッセージを送受信できる機能です。アプリケーションへの送信は、いわゆるプッシュ通知です。デバイスの種類にかかわらず利用可能で、異なるデバイス間でのメッセージの送受信も使えます。
セグメントを使用してメッセージを送信するターゲットを設定したり、送信メッセージをダッシュボードでモニタリングしたりも可能です。
4.『Cloud Firestore』
NoSQLのクラウドデータベースサービスを指します。モバイルやWebのアプリケーション開発のために使われるもので、強力なクエリエンジンのあるデータベースサービスです。Googleのストレージインフラを基盤としていて、ビジネスの規模にあわせてスケーリングできます。
5.『Firebase Crashlytics』
リアルタイムでアプリケーションのバグやクラッシュに関する情報を収集し、迅速な解決へと導く機能のことです。クラッシュがユーザーに与える影響を測定したり、クラッシュの原因となったコードを特定したりできます。素早くクラッシュの原因を特定し、改善できるかどうかは、ユーザビリティを低下させないために重要です。
6.『Firebase Realtime Database』
アプリケーション間のデータ同期がリアルタイムでできる機能です。クラウドホスト型NoSQLデータベースであり、データはJSON形式で保存されます。『Firebase Realtime Database』は、『Firebase』が人気を獲得する際に大きく貢献した機能だといわれています。
7.『Cloud Storage for Firebase』
写真や動画などのバイナリーデータを保存する、クラウドストレージサービスです。『Spotify』や『Googleフォト』と同じテクノロジーを採用していて、高い安全性とスケーラビリティをユーザーに提供できます。保存先はCloud Storageで、『Firebase』だけではなく『Google Cloud』からでもアクセス可能です。
8.『Cloud Functions for Firebase』
『Firebase』の各種機能を組み合わせて利用できる、バックエンド用のサーバレスフレームワークを指します。アプリケーション内で発生するイベントを、独自のサーバーを保有せずに開発・処理できるようになります。アプリケーション開発者にとって、サーバーの構築や調整、運用コストの削減に役立つものです。
9.『Firebase Authentication』
安全な認証システムの構築に役立つ機能です。SNSのアカウントを使った認証や電話番号認証、メール・パスワードによる認証など、認証を簡単に実装できます。
ユーザー認証はニーズが高いものの、開発に手間がかかる機能です。そこで、『Firebase』の活用によって、開発のコストを低減しつつニーズの高い機能を取り入れられます。
『Firebase』を使用する4つのメリット

『Firebase』のメリットは、「機能が豊富」「データの同期が可能」「サーバー管理や保守の手間を削減できる」「プラットフォームでの管理が可能」などです。また、さまざまなフレームワークと相性が良く、幅広い開発現場で導入しやすいメリットもあります。
それでは、『Firebase』を使用するメリットを詳しく解説します。
1.機能が豊富
『Firebase』は、利用できる機能が豊富です。『Firebase』でできることとして先述した内容以外にも多くの機能を利用可能で、アプリケーション構築に必要だとされる機能を完備しています。そのため、複数のMBaaS(Mobile Backend as a Service)を利用せず、『Firebase』のサービスを組み合わせるだけで、さまざまなバックグランド処理を構築できます。
2.データの同期が可能
『Firebase』では、簡単にモバイル間でのデータの同期が可能です。データを変更した際は、デバイスがオフラインになっていても、リアルタイムで同期が実行されます。
3.サーバー管理や保守の手間を削減
『Firebase』の機能がバックエンド処理を代行してくれるため、サーバー環境を用意する必要がなくなり、管理や保守の手間を削減可能です。
認証システムやバックエンドの構築は、本来であれば時間と手間がかかる工程です。しかし『Firebase』の機能を利用すれば、これらに必要だった工数が減り、クライアントサイドの開発に集中でき、構築日数を大幅に削減できます。
4.プラットフォームでの管理が可能
構築したアプリケーションの機能は、すべて『Firebase』のプラットフォームで動作します。同じプラットフォームで動作するため、アプリケーションの管理がしやすい状態にできることもメリットです。また、『Firebase』の複数の機能を利用してもすべてがGoogle製であるため、お互いに干渉しあうことなく適切に動作させられます。
『Firebase』の料金プラン

『Firebase』の料金プランのうち、Sparkは無料で使えるプランであり、FlameとBlazeは従量課金制のプランです。
それでは、『Firebase』のそれぞれの料金プランについて、詳しくチェックしていきましょう。
Spark
Sparkは、無料で『Firebase』を利用できるプランです。機能によっては、Sparkのプランで利用できても、無料の範囲に制限があるものもあります。制限を超えた場合にはデータの取得ができなくなることもあるため、事前にアプリケーションの規模や利用する機能について、しっかりと検討しておきましょう。
Flame
Flameは従量課金制のプランですが、2023年2月現在は公式ページで表示されなくなっています。以前は月額25$で利用できました。
Blaze
Blazeも従量課金制のプランです。認証回数やデータの取得回数などに応じて課金されます。従量課金制のBlazeプランを選択した場合であっても、容量や件数などによっては無料で利用できる部分もあります。
Blazeプランの料金計算ツールが用意されているため、どの程度の料金がかかるのかを事前に確認しておくと良いでしょう。
『Firebase』を始める3つのステップ

『Firebase』を利用する際は、以下の3つのステップで始めます。
● 登録を行う
● プロジェクトを追加する
● 『Firebase』 SDKを実装する
それぞれチェックしていきましょう。
1.登録を行う
まずはログイン画面から『Firebase』の登録を行います。『Firebase』の登録に複雑な条件はなく、すでにGoogleアカウントがある場合は同じアカウントを利用してログイン可能です。
2.プロジェクトを追加する
『Firebase』へのログイン後、「『Firebase』 へようこそ」という画面が表示されます。画面の中央にある『プロジェクトを作成』ボタンを押してプロジェクトを作成し、さらにアプリケーションを追加しましょう。
3.『Firebase』 SDKを実装する
続いて、『Firebase』 SDKを実装します。『Firebase』の構成ファイルをダウンロードし、構成ファイルの値に『Firebase SDK』がアクセスできるようにして、アプリケーションに『Firebase SDK』を追加します。
詳しい方法は、以下を参考にしてください。
参考: Firebase ドキュメント
まとめ:『Firebase』を活用して業務効率化を目指そう!

モバイル・Webアプリケーションのプラットフォームである『Firebase』を利用すると、開発や運用の際にバックエンドで動くサービスを作成・管理する手間がなくなります。その分スピーディーに環境整備ができるようになって、サービスの早期リリースが可能です。
このように、うまく『Firebase』を活用できれば、業務効率化につなげられます。無料で利用できる範囲もあるため、まずはお試しで使ってみると良いでしょう。