掲載日:2023/02/17

2013年に新卒で入社して以来、SBテクノロジーのトップエンジニアとして長年活躍してきた湯下達郎さん。別会社に転職した約1年半の期間を経て、2019年にカムバック制度を利用して復帰を果たし、現在はインフラ系のシステムアーキテクトとして、重要なプロジェクトを牽引しています。一方で、社内のDX推進プロジェクトにもコンサルタントとして参画。そんな湯下さんのこれまでのキャリアの歩みや、技術者としてのこだわり、将来のビジョンなどを語っていただきました。
入社までの経緯
若手社員にも積極的にチャンスを与えてくれる社風に惹かれた
大学時代は物理学を専攻していたのですが、コンピュータシミュレーションを用いて物質の特性を研究しているうちにサーバーやネットワークのほうに興味が湧いてしまい、気がつけば自宅にデータセンターを作ってしまうほど、ITの世界に熱中していました。その後、就職活動もネットワークエンジニアやサーバーエンジニアを募集している企業に絞り込み、そのうちの1社がSBテクノロジーだったというわけです。
当社を選んだ一番の決め手は、やはりその社風でしょうか。説明会で社員の方と話す機会があったのですが、その中で、若手にもどんどんチャンスを与えてくれる環境や、頑張った分だけ正当に評価してくれる仕組み、専門性を発揮できるミッショングレード制度などがあることを知り、魅力を感じました。また人柄の良さそうな方が多かったのも、この会社で働きたいと思った理由の一つです。
実際に入社してみて、社風や環境は思っていた通りでした。ある日雑談の中で「実は家にルーターなど揃えてデータセンターを作っているんです」と話したところ、「それならいろいろ任せてみようか」と先輩方から様々な仕事を割り振ってもらえるようになったんです。そんなことを繰り返しているうちに、マネージャーや部長にも「何やら活きのいい1年目がいるぞ」という噂が広がり、やがて大きな仕事を任せてもらえるようになりました。
転機
外の世界に出て改めて気づいたSBテクノロジーの魅力

転機は入社5年目に訪れました。入社以来コツコツと経験や実績を積み、特定のサービスにおいて社内の第一人者として認めていただきつつあった時、とある外資系企業から「困っているお客様と直接向き合って課題を解決する技術サポートの仕事で、力を貸してほしい」とスカウトのお話をいただいたのです。
後輩たちも育ちつつあり、また私自身もプリセールスから大規模な公共事業までエンジニアとしてひと通り関わり、一区切りついた頃でした。そのため迷いはなかったです。職種を変えて違う立場からお客様と向き合う仕事をやってみたい、外資という全然違う社風や環境の中で、自分がどこまでできるのか試してみたいという気持ちのほうが強かったですね。
2018年4月に転職。新たな環境の中で今までとはまったく違う考え方や働き方を吸収し、仕事の幅を広げることができました。しかし1年くらい経った頃、再び上流から全ての工程でお客様と向き合える環境に戻りたいと思うようになりました。そんな折、SBテクノロジー時代の元上司から「それなら戻っておいでよ」と言っていただきました。以前働いていたときの延長ではなく、違った役割で期待されていることを話していただき、戻る決心がつきました。
SBテクノロジーに復帰してあらためて感じたのは、やはりいい人が多いなということです。復帰した際も、皆さん温かく迎え入れてくれました。またマネージャーはもちろん、役員クラスまで距離感が非常に近いのも魅力の一つでしょう。現場の声や苦労をきちんと汲み取ってくれ、一方で経営的な視点で細かなアドバイスもしてくれます。そういった社風や雰囲気は、特に若手にとっては働きやすさに繋がるのではないでしょうか。
仕事内容
システムアーキテクトとコンサルタントの二足のわらじ

私は現在、エンタープライズ事業部にてシニアシステムアーキテクトという役職のもと、顧客向けのインフラ系プロジェクトを担当しています。具体的には、例えばお客様がオンプレミスからクラウドに基盤を刷新する際に、そのシステムで何をしたいのか、なぜ必要なのかを確認し、要求定義に基づいて分析したり計画を立てるなど、システム全体を設計する仕事です。またフェーズによっては、アーキテクトの視点を持ちつつ、エンジニアとして他のメンバーと一緒に手を動かす機会もあります。
一方、2022年からはDX推進を担うコンサルティング&DX統括部に所属し、コンサルタントの仕事も行っています。近年当社では、コンサルティング事業にも注力し始めており、私自身もアーキテクトからコンサルタントへの挑戦も始めました。まずは社内で経験を積むため、自ら手を挙げて、社内のDXを推進するプロジェクトにコンサルタントとして参加させていただいております。具体的な役割としてはプロジェクト全体のマネジメントと、業務改革における現状分析、改善プランニングなどを担当しています。
コンサルタントの業務の中には、アーキテクトとして成長していくために必須のスキルもたくさんあります。具体的にはアプリやインフラ等の個別の領域ではなく、会社全体の業務や組織を俯瞰し、本質的な課題を洗い出す事もその一つでしょう。そういった事はこれまでの業務とは異なり苦労することも少なくありませんが、アーキテクトとして、より高みを目指すために、コンサルティング業務とも格闘する毎日です。
必要なスキルや知識
「コアな領域」+「幅広い視野」+「コミュニケーション能力」が不可欠

インフラ系のアーキテクトの場合、例えばクラウドならAzureやAWSなど自分の得意な領域を持つことが不可欠です。しかしこの仕事は、特定のコアな領域だけで完結するわけではありません。オンプレミスならどうなのか、あるいはインフラだけではなくアプリやセキュリティの観点から見たらどうなのか、といったように、より広い視野や知識を持たないと、いざというときに、何にどのくらい力を入れればいいのか、誰とどのタイミングで調整をかければいいのか、などがわからなくなると思います。
そしてもう一つ重要なのが、コミュニケーションスキルです。このお客様はどんなことに悩んでいるのか、一緒に働く同僚が一体何を求めているのかなど、うまく言語化できないケースや、公の場で聞きづらい部分もあるでしょう。そこで日頃からコミュニケーションを密に取ったり、パーソナルな人間関係を持ちつつ相談しやすい雰囲気を作ったりすれば、お互いに理解が深まり、結果的に課題やプロジェクトが良い方向に進むこともあるのではないかと思います。
若いエンジニアは往々にして尖ったり、技術的な観点のみで物事に向き合いがちです。私自身もそういう時代がありました。しかし技術一辺倒ではいずれ壁にぶつかります。技術はあくまでも手段に過ぎません。相手の思いや考えに重きを置かなければ、真の意味で人の役に立てるエンジニアにはなれないと思います。私自身、転職先での技術サポートの経験やコンサルタントの仕事等を通じて、改めてそのことを実感するようになりました。
求める人材像
いい意味でおせっかいな人こそ活躍できる
アーキテクトの場合、お客様の悩み事はもちろん、自分のチームの関心事を超えて、他のチームのミッションなどにも気を留められる、いい意味でおせっかいな人こそ活躍できると思います。もし他のチームの人と意見が合わなくても、きちんと耳を傾け、必要ならば遠慮なく口出しもして、その結果、お客様の課題が解決するのであれば、それでいいじゃないですか。プロジェクトにおけるスコープや責任範囲はもちろんありますが、あまり自分の責任範囲にこだわらない人のほうがいろいろと経験を積めますし、伸びていく気がします。
また私個人としては、勉強熱心な若手が好きですね。当社はそれほど人が多くないので、自分で興味を持って学習したり、積極的に手を挙げたりしていると、おのずとチャンスが転がってきます。そういう意味では、何事にも前向きな人ほど、当社の社風にマッチするのではないでしょうか。前向きに取り組んだ結果、いろいろな仕事を依頼されて、一時的に大変な思いもするかもしれませんが、そんな経験もいつか必ずプラスになるはずです。
現状の課題とこれからの挑戦
コンサルタントの経験も活かし、目指すはマルチなエンジニア

現在は、システムアーキテクトとコンサルタントの二足のわらじを履いていますが、やはり自分としては技術を主軸に置いてお客様と関わっていくアーキテクトという仕事にこだわり続けていきたいと考えています。その中で、これまではインフラ系のキャリアを歩んできたので、それとは別の新しい技術領域、例えばビッグデータやセキュリティといった分野の知見も広げていきたいです。
もちろん技術のフィルターだけでは活躍できる幅も狭まってしまうでしょう。そこにコンサルティングの仕事で学んだコミュニケーションやビジネスなど色々な引き出しも加えて、よりマルチなエンジニアを目指していきたいと思っています。
一方で、テクニカルに尖った若手社員を上手に指導し、マネジメントを助けられるような存在にもなりたいですね。かつて自分がそうであったからこそ、伝えられることもたくさんあると思います。若手が持っている優れた技術力に、私が培ってきたさまざまなものを融合させながら、一緒に成長していく。そんな未来を思い描いています。