掲載日:2023/01/04

JavaScriptフレームワークは、すでに数多くのWebサイトやアプリケーションに活用されています。開発にかかる負担軽減のみならず、作業の効率化やバグ防止効果が期待できるのがメリットです。今回は、特に注目したい3つをご紹介します。

JavaScriptフレームワークとは?
Webサイトに動的なアクションを追加するプログラミング言語JavaScriptは、機能性やデザイン性を向上させるため、さまざまな場面で広く活用されています。そのような利用頻度が高いJavaScriptでの開発をできるだけスムーズに進めるために、再利用できるアプリケーションの枠組み・土台部分としてまとめられたのがJavaScriptフレームワークです。
フレームワークとは枠組みを意味する言葉で、開発の場面では骨組みや基盤となる土台を示す意味で用いられます。開発時にフレームワークを利用すれば、既存の枠組みを利用した上で追加的な設計をする形になるため、いちから作業をする必要がなくなるのがメリットです。
プログラミング言語は世界的に広く共通したものが用いられており、フレームワークを共有しないと多くのエンジニアやWebデザイナーが似たような作業を何度もするハメになるでしょう。開発した機能を共有してエンジニアの負担を軽減し、よりクリエイティブな作業を優先できる環境を整えるために必要なのがJavaScriptフレームワークです。
JavaScriptは活用の幅が広く人気のプログラミング言語であるため、数多くのフレームワークが登場しています。
開発に利用するメリット
JavaScriptフレームワークを開発に利用することで得られる主なメリットは、次のとおりです。
● JavaScriptの活用度が高まる
● コーディングの手間が減らせる
● 複数のエンジニアが同時に開発に携われる
● バグ発生の抑止につながる
開発者個人としては多くのフレームワークを使いこなせることで、JavaScriptの活用度が高まります。自分では作り上げるのが難しい機能であっても、JavaScriptフレームワークをうまく活用して機能を搭載すればWebサイトやアプリの質を上げられるでしょう。
また、JavaScriptフレームワークはすでに土台部分が出来あがっている状態のものを利用するため、コーディングの手間を軽減し作業の効率化につながります。フレームワークに含まれている部分に関しては、プログラミングコードをいちから記述する作業自体が必要なくなるため、コードの記述ミスによるバグの発生も防げるのがメリットです。
JavaScriptの非同期通信が可能な点を活かせば、複数のエンジニアが開発に携わりスピーディーに作業を進められるでしょう。広く用いられているJavaScriptのフレームワークだからこそ、開発にうまく取り入れることによるメリットは大きいと言えます。

フレームワークとライブラリの違い
JavaScriptフレームワークを理解する上で知っておきたいのが、フレームワークとライブラリの違いです。ふたつの概念を簡潔にまとめると、次のようになります。
● フレームワーク:土台となるパーツの寄せ集め(未完成のアプリケーション)
● ライブラリ:汎用性の高いプログラムパーツのコレクション
両者は定義の範囲が重なる部分もあるため完全に分離することは難しいですが、それぞれがどのようなシーンで利用されるかを把握しておくとよいでしょう。
フレームワークの利用シーン
フレームワークは、開発における工数を簡素化する際に用いられるのが一般的です。残念ながらフレームワーク自体は枠組みであるため、そのまま用いることができる完成品ではありません。
開発を進めていくためには、フレームワーク内のモジュールやパーツを修正・拡張しながら、機能性を高める必要があります。つまり、同じフレームワークを利用したふたつのサイトであっても、その後の開発作業の仕方によって独自性を出すことが可能です。
開発作業の初期段階で土台として利用できるフレームワークがあれば、イメージした動きを微調整する作業に集中できるため、かなりの効率化が図れます。
ライブラリの利用シーン
ライブラリが用いられるのは、主にWebサイトやアプリなどに特定の機能をプラスしたい場合です。ライブラリとは、汎用性の高いプログラミングパーツがまとめられたものを意味します。
既存のWebサイトやアプリに搭載した機能を再利用したいと考えた場合に、該当のプログラミングコードをコピーして必要な部分にペーストするイメージです。開発の設計段階で用いられるフレームワークと比較すると、ライブラリはその先のプログラミングコードを記述する段階で用いられます。

ライブラリとツールの違い
ライブラリと似た概念として用いられているのが、ツールです。複数の機能をもったライブラリで構成されているイメージで、ツールキットと呼ばれる場合もあります。
ツールは、主に開発作業を自動化・効率化するために利用します。開発に関する専門的な知識が不足している場合でも、多くの機能が自動化されている開発ツールを使えば簡単に作業を進められる点がメリットです。
基本的には開発段階の作業を自動化・効率化する目的の道具がツールと呼ばれますが、なかにはAPIや開発工程管理ツール・テスト・アプリケーションモジュールなどの開発環境一式を網羅したツールも存在します。

人気のJavaScriptフレームワーク3選
ここからは、JavaScriptフレームワークのなかでも人気が高い3つのフレームワークを解説します。
● 1.React
● 2.Vue
● 3.Angular
使いやすく優秀なフレームワークが充実していると言われるJavaScript、反対に種類が多すぎてどこから手を付けたらよいのか悩んでしまう方も多いでしょう。注目すべきフレームワークの特徴を押さえて、開発作業の効率化を図ってみてください。
1.React
まず押さえておきたいJavaScriptフレームワークが、Meta Platforms社(旧Facebook社)が開発したReactです。近年利用率が高まっているFacebookやInstagramなどのSNSに活用されているほか、大手検索サイトであるYahoo!でも採用されています。
Reactは、WebサイトのUIパーツ構築に用いられるフレームワークです。オープンソースソフトウェアとして情報が公開されているため、誰でも気軽に利用できます。
AndroidとiOSの両方に対応している点が、幅広い開発案件で用いられている理由だと言えるでしょう。ただしReactはフロントエンドでの使用を想定して構築されており、既存システムからの移行が難しいのがデメリットです。
2.Vue
シングルページアプリケーションの開発に用いられることが多いのが、ファイルサイズが軽く小規模案件にも対応できるフレームワークVueです。VueもReactと同様に、UI構築などフロントエンド開発の段階で多く利用されます。
オープンソースソフトウェアとして無料で利用できる上に、内容がシンプルで理解しやすいことから、習得しやすいフレームワークである点も大きなメリットです。すでに多くのWebサイトやアプリケーションで採用されているため、インターネットで関連情報を探す場合にも苦労しないでしょう。
Vueは小規模案件から、企業プロジェクトとしておこなう大規模案件に至るまで、さまざまなスケールの開発に対応できるフレームワークです。ページを遷移することなく、ページ内で処理をするシングルアプリケーションの増加とともに、Vueへの注目も高まっています。
3.Angular
Angularは、世界的な大企業Google社が開発したJavaScriptフレームワークです。主にWebアプリケーション開発に用いられ、PC・スマ―トフォン・タブレットなどユーザーの利用環境を気にせず開発できます。
開発に必要なさまざまな機能が搭載されている有能なフレームワークである分、全ての機能を使いこなすには高度な技術が求められるでしょう。双方向データバインディング機能をもつAngularは、コード記述が少なくて済みます。
一般的な開発では、HTML要素を取得しデータとして処理をした上で、画面にデータを反映させる必要があります。しかし、双方向データバインディング機能を利用すれば、HTML要素のデータ処理が自動化されるため、大幅な効率化が図れるでしょう。
また、データ・画面・コントローラそれぞれの役割を混在させないMVWを採用しており、スムーズに開発が進められるのも特徴的です。

まとめ:JavaScriptフレームワークで開発作業を効率化しよう
JavaScriptは、数あるプログラム言語のなかでも優秀なフレームワークが揃っていることで有名です。しかし、それぞれのフレームワークの特徴を把握していないと、どれを利用すべきか悩んでしまうケースもあるでしょう。
JavaScriptフレームワークごとの特徴を正しく把握し、開発したいWebサイトやアプリケーションに適したフレームワークを検討してみてください。とくに今回ご紹介した3つのフレームワークはすでに広く活用されているものであるため、エンジニアとしてのスキルアップのためにまず習得を目指してみるのをおすすめします。
JavaScriptフレームワークを使いこなすことができれば、開発をスムーズに進められるだけではなく、エンジニアとしての技術力アップも図れるでしょう。