掲載日:2022/12/26

エンジニアと一口に言っても、開発する対象はさまざまで、使用するツールも異なります。本記事では、職種や分野によってどのような言語を使うのか、大きな違いはあるのかなど、詳細にわたり解説します。

エンジニアの職種別に使う言語は違うのか?
エンジニアが各種の開発に使うプログラミング言語は、200以上もの種類が存在すると言われます。それぞれ生まれた背景があり、特徴や得意とする分野があります。スマホのアプリケーションを作る言語と、セキュリティ要件の厳しいネットワーク構築の言語は異なるように、専門領域によって使う言語が違うと言えるでしょう。
また、近年新たな言語も次々と生まれ、実用化されていますが、既存の言語で開発されたアプリケーションを保守するエンジニアも必要です。使う言語は、担当業務や開発環境によって決まります。扱いの難易度も異なり、どの言語を使う仕事であるかによって、収入も変わるものです。
エンジニアとして将来担当したい分野があるのなら、その領域で使われる言語を習得するのが早道です。新たな言語を学ぶ場合には、既に持っている言語のスキルを生かしながら、次にかかわる開発案件をイメージするとよいでしょう。

アプリケーションエンジニアがよく使う言語
アプリケーションエンジニアの業務領域は、大別して業務系アプリケーション、Webアプリケーション、スマホアプリケーションの3種に分かれます。中でも、一般の人でも広く利用しているスマホアプリケーションの開発は、高い需要のある分野と言えるでしょう。スマホアプリケーションの開発でよく使われる言語は、以下のとおりです。
● Java
● Kotlin
● Swift
JavaはOSに依存しないと言う特徴を持ち、どのような環境でもソフトウェアを動かすことができる汎用的な言語です。実行速度が速く、言語に堅牢性があるため、大量のアクセスをさばく必要のあるWebサービスでも使われます。
Kotlin(コトリン)は、Javaに似た形の汎用型コンパイル言語です。言語の文法はJavaと異なりますが、コンパイルしたコードがJavaVM(仮想マシン)上で動くため、Javaの資産を活用してアプリケーション開発ができます。Javaと同様に、Androidアプリケーションの開発で人気を得ています。Javaよりもコードがシンプルで、習得の難易度が低い点も特徴です。
SwiftはiOSおよびMacで利用できる、米アップル社公式の言語で、アップルが開発し提供しています。シンプルなコードが特徴で、習得の難易度も比較的低いとされます。頻繁にバージョンアップが行われ、日本語での情報提供も少ないことから、需要に対してエンジニアが少ない言語です。

インフラエンジニアがよく使う言語
サーバーやネットワークなど、Webサービスを使う一般の人たちからは見えないIT基盤を扱うのがインフラエンジニアです。システムを稼働させるには不可欠な分野であり、業務の重要性は非常に高いと言えます。よく使う言語は、以下のとおりです。
● Shell
● DOSコマンドとPowerShell
● Python
● Ruby
● Java
Shellは、OSに対する命令や、スクリプトを実行させるためのプログラム群で、プログラミング言語の一種です。Shellはコマンドを連続して実行させることができ、コマンドを記述した処理をShellスクリプトと呼びます。Shellを利用することで、定期的なシステムのバックアップ取得や、特定のファイルを時間を決めて移動させるなどの処理が可能です。
DOSコマンドは、Windowsに搭載されている、バッチを作成できる言語で、PowerShellは、Windowsに標準搭載されているコマンドラインシェルおよびスクリプト言語です。いずれも、主にテキストを使って、WindowsOSに直接命令を下せます。
Pythonはサーバーサイドアプリケーション全般で使われている言語で、AIや機械学習で用いられたことにより脚光を浴びました。自動処理や統計など、数学系ライブラリが豊富にあり、深層学習のデータ処理に向いていて、人工知能開発に多く利用されたのです。ライブラリや関数、ツール類が無料で多数用意されているため、開発目的に合わせて機能拡張できます。
Rubyは日本で開発された、オブジェクト指向スクリプト言語です。楽しくプログラミングできるよう考えて、開発された言語であるため、書きやすく読みやすいと言うメリットを持ちます。

クラウドエンジニアがよく使う言語
コスト削減を主な目的に、サーバー環境をオンプレミスからパブリッククラウドへ移す動きが続いています。それに伴って、クラウド上でシステムを設計、開発、運用するクラウドエンジニアの需要も高まる一方です。クラウドそのものについてはもちろん、ITインフラについて深い理解を必要とし、よく使う言語には、以下のようなものがあります。
● Python
● Ruby
● Java
● PHP
● JavaScript
● TypeScript
● Rust
PHPは比較的難度が低いとされる言語で、記述された順に前から処理をしていくインタプリタ型言語と呼ばれるタイプです。データベースとの連携性が高く、HTMLに埋め込んでコードを実行することもできるため、広く使われています。インターネット上に存在する多くのウェブサイトもPHPで構築されています。
JavaScriptはWebのフロントエンドで活用されることの多い言語ですが、サーバーサイドでも開発言語として使われています。実行環境であるnode.jsの普及により、通常はブラウザ上でのみ動作するJavaScriptが、OSにアクセスできるようになったためです。多くのライブラリが公開されていることも特徴で、ライブラリを活用することで複雑な処理を短時間で導入することが可能です。
TypeScriptはマイクロソフトがJavaScriptを拡張、開発したオープンソースの言語です。JavaScriptとの互換性が極めて高い特徴を持ちます。TypeScriptは、動的型付けであるJavaScriptとは異なり静的型付けであるため、コンパイル時にバグの存在に気づきやすくなっています。
Rustは、Firefoxブラウザを開発するMozillaが関連する、比較的新しいプログラミング言語です。マイクロソフトやグーグルが、プラットフォーム開発に使用していることで、注目度が高まりました。Rustは独自の言語設計によりメモリ安全性が高く、セキュリティ関連のエラーが少ない特質を持っています。

Webエンジニアがよく使う言語
インターネット上で提供されている各種のサービスやアプリケーションの開発をするWebエンジニアは、IT業界の中でも人気の高い職種です。Webサイトで使用されるシステムやアプリケーションなどについて、設計から保守・運用まで全般的に担当します。よく使う言語としては、以下が一般的です。
● HTML
● CSS
● Java
● JavaScript
● PHP
● Python
● Ruby
HTMLは、Webページの文章を構造化するプログラミング言語で、サイト構築には必須です。<title>や<div>といったスタイルのタグで文字列を囲むだけでプログラミングできるため、初心者にもわかりやすい言語とされます。
CSSは、HTMLで構造化した要素を修飾するプログラミング言語です。デザイン表現に特化しており、見栄えのよいサイト作りにはなくてはなりません。CSSだけでサイトを成立させることはできず、HTMLとの組み合わせで使われます。

フロントエンドエンジニアがよく使う言語
スマホなどで、利用者と直接データのやり取りを行うブラウザ側をフロントエンドと呼びます。ブラウザ側の、目に見える範囲のシステム開発を行い、Webデザイナーが作成したデザインをもとに、HTMLやCSSなどの実装や、WordPressに代表されるCMSの構築などを行う職種です。よく使われる言語は以下のようなもので、Webエンジニアと重複します。
● HTML
● CSS
● JavaScript
● PHP
● Python
● Ruby

バックエンドエンジニアがよく使う言語
フロントエンドエンジニアとは逆に、Webサイト利用者の目にふれない裏側部分の開発を担当するのがバックエンドエンジニアです。以下のようなサーバーサイドプログラミング言語全般を扱います。
● PHP
● GO
● Python
● Ruby
● C#
● Java
● JavaScript
GOはグーグルが開発したプログラミング言語です。WebサーバーやWebアプリケーションの構築に用いられており、利用負荷の増大に対応できる度合いが高いため、大規模プロジェクトでの採用も見られます。コードがシンプルで、ライブラリも多く、効率的に開発できる点が特徴です。
C#はマイクロソフトが開発した言語で、Windowsアプリケーションや各種のスマホアプリケーション、ゲームなどの開発に使われています。C言語を基に開発され、オブジェクト指向を取り入れた言語です。C#の文法はC言語とは異なり、Javaに似たものとなっています。

まとめ:進みたい道に合わせて言語を習得しよう
エンジニアの職種や開発対象によって、使われるプログラミング言語は変わります。時代の流れや技術の進歩を受けて、新しい言語が流行したり、使われなくなる言語が出たりもするでしょう。今後どのような道に進みたいのかによって、習得する言語を選ぶのがおすすめです。志望が固まっていない場合は、汎用性の高い言語から身に付けていくのも一案です。