2018年にSBテクノロジーに中途入社した林睦美さんは現在、事業統括グループ事業部でプロジェクトマネージャーとして活躍されています。前職ではエンジニアとしての経験を積み、生涯に渡って一技術者としてキャリアを歩む選択肢もありましたが、「プロジェクトや人をマネジメントする立場になって、自分の可能性を広げたかったんです」と、あえて新たな道を選ぶ決断をしたそうです。入社から約5年が経過し、プロジェクトマネージャーの肩書もすっかり板についてきた林さんの仕事のやりがいやこだわり、メンバーとのコミュニケーションの秘訣などを伺いました。
仕事内容
プロジェクトマネージャーとして期待される林さんの仕事
私が所属しているグループ事業部は、ソフトバンクのグループ企業の開発プロジェクトを担っている部署です。その中で、私は主に見積・発注・納品・検収等をWEB上で管理するシステムの保守開発業務に携わっています。現在進行しているプロジェクトチームは、私以外は全員がベンダー会社のメンバー。総勢7名の少数部隊ですが、技術や経験はもちろん、チームワークも抜群で、お互いに協力し合いながら、グループ企業の重要なシステムを管理するというミッションに日々取り組んでいます 。
そうした中、私自身はチームをまとめる舵取り役を期待されており、案件によってはプロジェクトマネージャーを務める機会も増えてきました。プロジェクトマネージャーの仕事は、プロジェクト全体の実行計画立案から、進捗・コスト管理、システムの改善提案、開発チームのマネジメントに至るまで多岐に渡ります。またこれらの業務は、常に3カ月から半年くらい先のことを想定しながら進めなければなりません。
入社した経緯
リーダー業務を経験し、仕事の幅を広げたかった
福祉系の大学を卒業後、地元・福岡県での勤務を希望し、中堅のSlerに就職…のはずが、いきなり東京勤務を命じられ、以降およそ10年間、その会社でエンジニアとしてスキルを磨いてきました。ある程度自信もつき、重要な仕事も任されるようになっていたのですが、ふと将来のことを考えたとき、このままずっと開発の仕事だけを続けていけるのか、マネジメントなども経験して視野を広げていったほうが、より自分のキャリアにプラスになるのではないか――そう感じたんです。
そんなリーダー経験を求めていた私に、エージェントが紹介してくれたのが、SBテクノロジーのプロジェクトマネージャー候補の求人でした。未経験の自分にプロジェクトマネージャーなど務まるのか正直不安もありましたが、面接で「サブリーダーの経験しかないのですが…」と話した私に、「フォローするから大丈夫ですよ!」と心強い言葉をかけていただき、そのひと言が入社を決断する大きな後押しになりましたね。
実際に入社して感じたのは、しっかりしたフォロー体制とベンダーさんも含めた人の良さです。計画立案や発注業務、コスト管理など、初めてのことだらけで当初は戸惑うことも多かったのですが、周囲のフォローもあって、慣れるまでにそれほど時間はかかりませんでした。また現場のベンダーさんも初期開発から関わっている方が多かったため、協力していただきながら、スムーズにキャッチアップすることができました。
仕事のやりがい
メンバー同士でわかり合える瞬間が一番嬉しい
やりがいを感じる瞬間は、やはり大きな案件が一区切りついたときですね。長いものだと半年以上かけて、要件定義から地道に進めていくのですが、無事リリースできて、バグもなく安定稼働に漕ぎつけたときは、達成感でいっぱいになります。メンバー全員で「ようやく終わったね」と言い合う瞬間が、仕事をしていて一番嬉しい時間です。
またチームで仕事をしていると、私もメンバーひとりひとり の癖や考えがわかってきますし、メンバーも私のことを理解してくれるようになります。そういう中でお互いに共通認識が増えていくのが楽しいですね。多くを語らなくても阿吽の呼吸でわかり合えますし、仕事もより一層スムーズに進みます。
以前システムに障害が発生した際、メンバーの一人が迅速な対応をしてくれたことがありました。そして「昔、林さんが言っていたやり方を思い出して、やってみたらうまくいきました!」と言ってくれたときは、きちんと伝わっていたこと、そして覚えていてくれたことが本当に嬉しかったです。
一方で、伝えるのに苦労する瞬間もあります。特に障害が発生したときは、担当者が一番落ち込むのですが、そこでどんな言葉をかけたらいいのかが悩ましいところです。責めるわけにもいきませんし、かといって反省もしてもらわないといけません。問題が発生したときは、基本的に個人ではなくチームとして取り組みを考えるべきだと考えているため、他のメンバーにも当事者意識を持ってもらうために、振り返りでしっかり話し合うようにしています。
プロジェクトマネージャーとしての心構え
理想のマネジメントは、チームワークを大事にすること
一緒に働くメンバーは、技術的にも知識的にも私よりレベルの高い人たちが多いのですが、難易度の高い仕事を渡すときに、私がそれをまったく理解していないと、相手のモチベーションにも関わるため、分からないことは事前に調べて、しっかりと理解したうえで渡すように心掛けています。この世界は技術がどんどんアップデートされていくので、日々の学びは欠かせません。
プロジェクトマネージャーとして大事にしているのは、やはりチームワークですね。私は旗を持って先頭に立って歩くタイプではありませんし、そういうリーダーを目指しても、たぶんうまくはいかないでしょう。それよりもチームワークを第一に考えて、メンバー一人ひとりと向き合って、働きやすい環境を整えてあげる――そんなリーダーでありたいですね。難しい仕事が多いぶん、せめて人間関係だけでも楽にしてあげたいと思っています。
ただしプロジェクトの変更は、チームメンバーのモチベーションにも関わることなので、注意しなければなりません。実際にお客様から急に仕様の変更を求められることもあり、メンバーから「それを受けると遅延が発生します」「急には変えられません」といった声が上がることもあります。
そういうときは、ついついできない理由を考えがちです。だから私は、楽しい結果になるためにはどうすればいいのかを、みんなで話し合うようにしています。誰しも使いづらいものを作りたいとは思っていません。そこで、どうしたらより使い勝手のいいものが提供できるのか、どうしたらお客様も幸せになって、作っている我々も楽しい気分になるのか。そんな切り口でみんなに意見を言ってもらうと、チームの士気も自然と高まるのです。
一人ひとり考えていることや悩んでいることは違うので、マネジメントするうえでは個別に対応を変えることも重要です。そのためには日々の会話やコミュニケーションを通じて、良いところも悪いところもすべて把握し、その人のことをきちんと理解することが大事だと思っています。
コミュニケーションのコツ
朝会の雑談タイムでコミュニケーションに磨きをかける
以前はメンバー全員が同じオフィスで仕事をしていたのですが、コロナ禍でテレワーク(月1回の出社はあり)に切り替わり、コミュニケーションの取り方も大きく変わってきました。雑談をする機会も減り、また新しく入社したメンバーの中には、実際に会ったことがない人もいるため、みんなの状況を把握するのに苦労することも多々あります。
そうした中、現在私たちのチームが力を入れているのが、朝会における雑談タイムです。毎朝仕事を始める前に、進捗状況や課題をリモートで共有する朝会を開催しているのですが、その冒頭に輪番制で1人1分、自由に好きなことを喋る雑談枠を設けています。
「昨日の晩御飯は〇〇を食べました」とか「今日はおじいちゃんの誕生日なんです!」とか、とにかく何でもいいんです。7人しかメンバーがいないので、すぐに回ってきてしまい、みんな話題を絞り出すのに苦労していますが、そんなことを毎日毎日繰り返していると、私自身も各自のパーソナルな状況を把握できますし、チームとしても自然と雰囲気が和み、結束が固くなるように感じます。
ちなみにこれは余談になりますが、私は趣味が「お酒」と言えるほど飲みに出かけるのが大好きで、コロナ以前はチームのメンバーとも頻繁にお酒を飲む機会を設けていましたが、最近はそんな機会もめっきりと減ってしまい…。「落ち着いたらみんなでまた飲み会しようね!」と言い合いながら、仕事に励む今日この頃です。
現状の課題とこれからの挑戦
チームの足りない部分を補完できる存在になりたい
まず第一に、私個人としてはもちろん、チームとしても、お客様からより一層信用・信頼していただくことが大事だと思っています。いくら頑張っていても、障害等が続くとそれまでに積み上げてきた信頼が一気に揺らいでしまいますので、障害ゼロを目指すべく品質保持・向上に努めていきたいです。
また、私自身は技術力が飛び抜けて高いわけではないので、せめて幅広い知識を普段から数多く身につけておきたいと思っています。というのも、プロジェクトに携わるメンバーにはさまざまなタイプの人がおり、足りないところも人それぞれです。そうしたチームの足りない部分をその都度補完できるような存在にはなりたいと思っています。
この会社に入って改めて感じたのは、周りの人をうまく活かすことができるエンジニアや、エンジニア目線を持ったうえでプロジェクトを進められるマネージャーが意外と少ないということでした。会社はそういう人材を求めていると思いますし、私に対してもそういう役割を期待しているのだと感じています。
私自身、強いリーダーシップを発揮するタイプではありませんので、あくまでも私らしいリーダー像、―― つまりチームの和やコミュニケーションを大切にしながら、バランス感覚を持ってチームをまとめていく、そんなリーダーを目指していきたいです。
実は以前勤めていた会社では、仲の悪かった2人の上司の間に入って、伝達係を務めたり、無口な社員の唯一の話し相手になったり、彼の意向をみんなに伝えるといった役割も担っていました。誰とでも打ち解けやすく、また話しやすいのが私の持ち味。そんな性格は、今の職場でも活かすことができています
一緒に働くメンバーの中にはベテランから若手まで多様な人たちがおり、そんなチームをうまく回していくためには、一人ひとりを繋ぐハブのような存在、もしくは潤滑油のような存在が欠かせません。私が目指すべきなのは、まさにそこだと思っています。一人でも多くの人から「林さんがいるからまとまりました」と言ってもらえるよう、理想のプロジェクトマネージャー像に近づいていきたいです。