
ITコンサルタントとは、クライアントのIT導入やITを活用した課題解決をする職種です。ITが急速に進歩している現代において、必要性が高まっています。本記事では、仕事内容や優位になる資格、向いている人の特徴を解説します。

ITコンサルタントとは?なるには資格は必要?
ITコンサルタントとは、クライアントのIT分野に対する課題解決やシステムの導入サポートをする職種です。知識や経験、スキルが重要であり、ITコンサルタントになるための資格はありません。しかし、ITコンサルタントはITに関連する知識をつけるため、継続した勉強が必要です。勉強で習得した知識やスキルを証明するものとして、有効な資格は存在します。知識やスキルを証明する資格を保持することで、転職時や案件獲得時に優位になるでしょう。
ITコンサルタントが取得していると優位になる資格
ITコンサルタントが取得していると優位になる資格は以下の4つです。
● ITコーディネータ
● ITストラテジスト試験
● 中小企業診断士
● CBAP
『ITコーディネータ 』は、ITと経営戦略をつなぐ人材であることを証明する資格です。 ITコーディネータ協会が認定しており、情報システムに対し、経営方針に基づいた目標の設定や企画をするための知識を習得できます。ITコーディネータ資格保持者は、ITコーディネータ協会の活動に参加することで、案件獲得のチャンスがあります
『ITストラテジスト』は、IT戦略のスペシャリストであることを証明する資格です。情報処理技術試験のひとつで、IPAが認定する国家資格です。経営戦略に基づいてIT戦略を立てる力を習得できるため、ITコンサルタントに適した資格といえます。
『中小企業診断士』は、中小企業に対し経営に対する診断やアドバイスができることを証明する資格です。コンサルティング業務に関連する唯一の国家資格です。経営コンサルティングの知識を習得できるため、ITコンサルタントをするうえで保持しておきたい資格といえるでしょう。
『CBAP』は、Certified Business Analysis Professionalの略です。ビジネスの分野で業務上の問題や課題をクリアする「ビジネスアナリシス」を、5年以上行っている経験者として認められる資格を指します。
受験するためには、過去10年間に7,500時間以上のBusiness Analysisとしての実務経験を積んでいることや、上司・クライアントからの推薦など、いくつかの条件を満たす必要があります。
ビジネスアナリシスとしてキャリアアップを目指すために優位になる資格と言えるでしょう。

ITコンサルタントとシステムエンジニア(SE)の違い
ITコンサルタントとシステムエンジニアはどちらもクライアントのシステム導入に携わる職種です。しかし、役割や携わるフェーズ、必要なスキルは異なります。ITコンサルタントは、あくまでも「コンサルタント」であることがその理由です。ここでは、ITコンサルタントとシステムエンジニアの違いについて解説します。
役割からみた違い
ITコンサルタントとシステムエンジニアは、役割が異なります。システムエンジニアは限られた予算と納期でシステムを開発することが主な役割です。開発側の立場でシステム開発に携わるため、開発したシステムの評価をすることはありません。
一方、ITコンサルタントの主な役割はクライアントの課題解決です。問題を抽出し、解決するための手段としてシステム開発に携わります。そのため、開発したシステムに対し評価を行うことも役割のひとつです。
携わるフェーズからみた違い
携わるフェーズからみた場合の違いは、システムの構想段階から参画するかどうかです。システムエンジニアは開発するシステムが決まった段階から参画します。一方、ITコンサルタントはクライアントの状況から課題を洗い出し、課題に対し「ITの活用で解決できるのか」「どのようなシステムが必要か」といった構想を策定するところから参画します。
必要なスキルからみた違い
必要となるスキルも異なります。システムエンジニアは、システム開発が主な役割であるため、開発スケジュールに沿ってシステムを開発することが求められます。そのため必要なスキルは、プログラミングスキルやプロジェクト管理能力、コミュニケーション能力です。
一方、ITコンサルタントの主な役割は課題解決です。クライアントが持つ課題の解決に向け、ITを活用した業務変革をサポートします。そのためIT知識に加え、提案力や説明力、変革を推進する能力といったスキルも必要です。

ITコンサルタントの役割や仕事内容とは
ITコンサルタントは、ITを活用してクライアントが抱える課題を解決することが主な役割です。仕事内容なIT戦略の作成やシステムの考案、管理まで多岐にわたります。ITコンサルタントの仕事内容を段階的に分けた場合、以下のようになります。
● 現状把握
● 課題を解決するための提案
● システム開発のサポート
● 仕組み作り
ここでは、ITコンサルタントの仕事内容について解説します。
1.現状把握
ITコンサルタントの仕事としてはじめに行うことは、クライアントの現状把握です。経営者やIT担当者、現場担当者から経営戦略や業務内容、業務フローをヒアリングし、クライアントの現状を把握します。把握した内容から問題を洗い出し「何が課題なのか」「ITで解決できるのか」「どのように解決するのか」を分析します。現状把握ができていない場合、クライアントの課題を解決するどころか、何が課題なのかもわかりません。現状把握は、ITコンサルタントとして核となる仕事といえるでしょう。
2.課題を解決するための提案
現状把握が終わったら、その結果を基に課題を解決するための提案をします。クライアントに対し「何が問題なのか」「何が課題があるのか」「どのように解決できるのか」を説明するとともに「なぜこの方法なのか」「どのような効果を得られるのか」を伝えます。ここで求められるのは提案力です。どんなに素晴らしい提案内容でも、クライアントに伝わらなければ意味がありません。クライアントに提案内容の必要性を理解してもらえるような提案力が、求められます。
3.システム開発のサポート
クライアントに提案内容を理解してもらえれば、システム開発に進みます。ITコンサルタントは、システム開発の中心となるのではありません。システム開発を進めるうえで、サポートする役割が求められます。チーム作りや進捗管理、クオリティ管理もITコンサルタントの仕事です。
また、システム開発では計画段階ではわからなかったリスクの顕在化や、利害関係の問題といったトラブルが発生するものです。発生したトラブルの解決やリスク管理も、ITコンサルタントに求められています。
4.仕組み作り
ITコンサルタントの仕事は、システムが完成すれば終わるわけではありません。仕組み作りもITコンサルタントの仕事です。企業のIT化は業務改善が中心であり、部門やチームごとにIT化に取り組んでいる場合があります。その場合、使用する用語や業務フローといった業務プロセスが、部門やチームによって異なっていることは珍しくありません。これでは企業全体で使用するシステムの共有が困難です。
部門やチームを問わず、企業全体で業務プロセスを統一させることもITコンサルタントに求められています。また、情報セキュリティ対策もITコンサルタントの仕事です。特にIT化が進んでいないクライアントは、情報セキュリティに対する意識が高くありません。情報セキュリティ対策としての仕組みを構築するだけではなく「どのようなリスクがあるのか」「何に注意すればいいのか」といった教育も必要です。
ITを活用するうえでの仕組み作りも、ITコンサルタントに求められています。

ITコンサルタントに向いている人の特徴やスキルセットとは
ITコンサルタントは、ITの知識や提案力、変革を推進する能力といったスキルがあれば良いわけではありません。クライアントの課題解決をする人材として、以下の条件が求められています。
● クライアントのために動ける
● 俯瞰的な視点を持っている
● 勉強を惜しまない
ここでは、ITコンサルタントに向いている人の特徴やスキルセットについて解説します。
クライアントのために動ける
ITコンサルタントに向いている人の特徴として、クライアントのために動けることが挙げられます。どんなに的確な提案をしても人として信頼できなければ、クライアントもその提案には賛同してくれません。仕事に対して誠実に対応することで、クライアントからの信頼を獲得できます。
また、ITコンサルタントは、クライアントの業績や環境を改善するサポートをすることが仕事であることを忘れてはいけません。あくまでもクライアント目線でのサポートが求められます。そのため、自分のやり方を押し通すのではなく状況に応じて柔軟に対応できる人や、クライアントのために動くことに対して喜びを感じられる人が向いているといえるでしょう。
俯瞰的な視点を持っている
俯瞰的な視点を持っていることも、ITコンサルタントに向いている人の特徴です。たしかにクライアントのために動くことは大切です。しかし、クライアントの意見を受け入れすぎて、課題が解決されないままになっては元も子もありません。ITの活用にこだわりすぎた結果、クライアントの負担が増えてしまうのも問題です。
ITコンサルタントの役割は、ITを活用してクライアントの課題解決です。何が問題で、どのように解決すればいいのかを俯瞰的にみられる人がITコンサルタントに向いています。
勉強を惜しまない
勉強を惜しまないことも、ITコンサルタントに向いている人の特徴です。ITは急速に進歩しており、今の知識が数年後には古くなっていることが予想できます。そのため、ITコンサルタントには、常に新しい情報をインプットする必要があるといえるでしょう。インプットを怠った場合、クライアントに対して適切なサポートができないばかりか、自らの仕事がなくなる可能性もあります。勉強を惜しまず、新しい情報をインプットする習慣があることも、ITコンサルタントに向いている人の特徴です。

まとめ: ITの発展によって注目される職種
ITコンサルタントとは、ITを活用してクライアントの課題を解決する職種です。ITコンサルタントになるための資格はありません。しかし、ITは急速に進歩しており、継続した勉強が必要です。ITコンサルタントはあくまでも「コンサルタント」です。仕事内容にはクライアントの現状把握から課題解決に向けた提案、システム開発のサポートだけではなく、ITを活用した業務プロセスの仕組み作りも含まれます。
そのため、ITコンサルタントに向いている人には「クライアントのために動ける」「俯瞰的な視点を持っている」「勉強を惜しまない」といった特徴が挙げられます。特徴に当てはまるのであれば、ITコンサルタントは選択肢のひとつとしておすすめの職種といえるでしょう。