掲載日:2024/12/5

ネットワークは、インターネットやクラウドサービスがあたり前になった現代社会において、さまざまなシステムを支える重要なインフラとなっています。ネットワークエンジニアは、そんなネットワークを設計・構築し、安定稼働させるスペシャリストです。
本記事では、ネットワークエンジニアの詳しい仕事内容や求められる知識・スキル、役立つ資格を解説します。
ネットワークエンジニアとは

ネットワークエンジニアとは、企業や組織のコンピュータネットワークを設計・構築・運用・保守する専門家です。
ネットワークの安定運用を確保し、通信の管理やセキュリティ対策を行うことで、ビジネス活動を支える重要な役割を担います。単に機器を設定するだけでなく、ビジネスの要件を理解し、最適なネットワーク環境を構築し維持することが重要です。
また、常に進化する技術に対応するため、最新の知識やスキルを習得し続けることも求められます。
ネットワークエンジニアの仕事内容

ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計・構築・運用・保守に関する多岐にわたる業務を担います。
ネットワークエンジニアの業務を以下の2つに分けて、それぞれの仕事内容を詳しく解説します。
● 開発プロジェクトに関する仕事
● 運用・保守に関する仕事
開発プロジェクトに関する仕事
ネットワークエンジニアの主な仕事の1つに、開発プロジェクトでのネットワークの設計・構築があります。開発プロジェクトでの仕事は、以下のような工程に分かれているのが一般的です。
● 要件定義
● ネットワーク設計
● ネットワーク構築
● テスト
● 導入・リリース
各工程の仕事内容を紹介します。
要件定義
要件定義は、プロジェクトの初期段階に行う、プロジェクト成功の土台を作る重要な工程です。
ネットワークエンジニアは、クライアントやプロジェクトチームと協力し、ネットワークに求められる要件を明確にします。具体的には、ビジネスニーズやセキュリティ要件、パフォーマンス目標、拡張性などが挙げられます。
ネットワークに関する要件を明確にすることで、後続の設計や構築フェーズでの手戻りを防ぎ、プロジェクト全体をスムーズに進めることが可能です。
ネットワーク設計
ネットワーク設計は、要件定義に基づいて具体的なネットワークアーキテクチャを設計する工程です。
ネットワークの骨格となるトポロジー(接続形態)を決定し、IPアドレス計画、必要なネットワーク機器の選定、セキュリティ対策などを詳細に設計していきます。また、プロジェクトの特性や予算に応じた、冗長性や拡張性、コスト効果などの考慮も欠かせません。
ネットワーク設計を誤ると、プロジェクトの遅延やリリース後の障害につながるため、ネットワークエンジニアのスキルが問われる重要な工程です。
ネットワーク構築
ネットワーク構築は、設計に基づいて実際のネットワークを物理的・論理的に構築・設定する工程です。
具体的には、ルーターやスイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器を接続し、通信経路やセキュリティの設定などを行います。構築・設定作業では、設定ミスやハードウェアの不具合がネットワーク全体の障害につながる可能性があるため、慎重さが必要です。
適切な構築・設定により、安定したネットワーク環境が提供され、ビジネスの円滑な運営に貢献します。
テスト
テストは、構築したネットワークが設計通りに機能するかを検証する工程です。
接続性や性能、セキュリティ、冗長性などさまざまな観点からテストを実施します。問題が発見された場合は、設計や設定の見直しを行い、ネットワークが最適な状態になるよう調整が必要です。
すべてのテストが完了してリリースされた後は、次の運用・保守フェーズへとシフトします。
運用・保守に関する仕事
ネットワークエンジニアの仕事は、ネットワークを構築して終わりではありません。構築したネットワークが安定的に稼働し、常に最適な状態を保つためには、運用・保守が不可欠です。
ネットワークエンジニアの運用・保守の主な仕事は以下のとおりです。
● 監視・障害対応
● 保守
● ユーザーサポート
それぞれの内容を見ていきましょう。
監視・障害対応
監視・障害対応は、リアルタイムでネットワークのトラフィックやシステムパフォーマンスを監視し、問題発生時に迅速に対応する業務です。
多くの場合、監視作業はオペレーターが担当し、ネットワークの異常が検知された際には、ネットワークエンジニアが対処や事後分析にあたります。障害対応では、迅速に原因を特定し、影響を最小限に抑えるための適切な対策を講じることが重要です。
また、事後には障害の根本原因を分析し、再発防止策を講じることも欠かせません。
保守
保守は、ネットワークの安定稼働やセキュリティを維持するための重要な業務です。
保守の仕事には、ネットワーク機器のファームウェア・ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用、故障や劣化した機器の交換などがあります。また、技術の進歩に伴う新しい技術の導入検討もネットワークエンジニアの重要な役割です。
計画的かつ継続的な保守によってネットワークを健全に保ち、ビジネスの基盤を支えています。
ユーザーサポート
エンドユーザーや社内スタッフのネットワークに関する問題の解決も、ネットワークエンジニアの業務の1つです。
ユーザーサポートの仕事には、接続トラブルの解消やネットワーク設定のサポート、新規デバイスの導入支援などがあります。また、FAQの作成やマニュアルの整備、ユーザー向けのトレーニングなど、ユーザーが自立的に解決できるための活動も重要です。
ユーザーサポートは、IT部門とユーザーをつなぐ橋渡し役として、IT活用度向上に貢献します。
ネットワークエンジニアに必要な知識・スキル

ここまで紹介したネットワークに関わるあらゆる業務を担うネットワークエンジニアには、幅広い知識やスキルが求められます。
ネットワークエンジニアに必要な、4つの知識・スキルを紹介します。
ネットワークプロトコルや機器に関する知識
ネットワークエンジニアにとって、ネットワークプロトコルやネットワーク機器に関する知識は、いわば基礎中の基礎です。
TCP/IPやHTTP、FTP、SMTPなどの主要なプロトコルの理解は、ネットワークの動作原理を把握するために欠かせません。また、ネットワークの構築や保守、障害対応を行う上で、ルーターやスイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器の設定や管理スキルも不可欠です。
知識の習得には、技術書やオンライン講座の活用、資格取得を目指すことが役立ちます。
ネットワークセキュリティに関する知識
ネットワークエンジニアには、日々進化するサイバー攻撃の脅威から組織を守るための、セキュリティの知識も重要です。
ファイアウォールやIDS/IPS(不正侵入検知/防止システム)、VPN(仮想専用線)などのセキュリティ対策に関する知識に加え、脆弱性診断やインシデント対応のスキルも欠かせません。セキュリティ対策は常に進化しているため、最新の脅威や防御策を学び続けることも重要です。
ネットワークの知識と同じく、技術書やオンライン講座、資格取得への挑戦などで習得できます。
クラウド技術の理解
現代のネットワークエンジニアには、クラウド技術の理解がますます重要です。
近年では、AWSやAzure、GoogleCloudなどのクラウドプラットフォームと、自社のオンプレミス環境を連携させたハイブリッド環境が増えています。クラウド技術の知識を深めることで、オンプレミスとクラウド間のネットワーク設計や管理が可能です。
クラウド技術は、クラウドプロバイダーが提供する認定資格やトレーニングプログラムを活用することで、実践的なスキルを習得できます。
コミュニケーション能力
ネットワークエンジニアとして活躍するためには、技術的な知識だけでなく、コミュニケーション能力も不可欠です。
例えば、ネットワークの要件定義や設計には、クライアントのニーズを正確に把握し、技術的な内容を分かりやすく伝える力が求められます。また、プロジェクトチームやクライアントとの円滑なやり取りは、プロジェクト成功の重要な要素です。
コミュニケーション能力は、日々の業務やミーティングを通じて、相手の理解度に合わせた説明や報告を実践することで向上を図れるでしょう。
ネットワークエンジニアにおすすめの資格

ネットワークエンジニアとして働く上で、資格は必須ではありません。しかし、資格を持っていれば、社内外への客観的なスキルの証明に有効です。
ネットワークエンジニアにおすすめの資格は、スキルレベルによって異なります。初心者・中級者・上級者それぞれにおすすめの、代表的な資格は以下のとおりです。
◯初心者向け
● CCT
● CCNA
● 基本情報技術者試験
◯中級者向け
● CCNP
● 応用情報技術者試験
◯上級者向け
● CCDE/CCIE
● ネットワークスペシャリスト試験
● 情報処理安全確保支援士試験
各資格の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:ネットワークエンジニアにおすすめの資格|メリットや勉強方法も解説
まとめ|ネットワークエンジニアはネットワーク設計・構築・保守の専門家

ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計・構築・保守を担う専門家です。
ネットワークエンジニアの主な仕事には、開発プロジェクトでの要件定義・設計・構築・テストや、日々の運用・保守業務での障害対応・保守・ユーザーサポートなどがあります。ネットワークに関するあらゆる業務に携わるため、プロトコルやネットワーク機器・セキュリティなどの知識に加えて、クライアントやエンジニア仲間とのコミュニケーション能力も重要です。
ネットワークエンジニアの仕事に興味を持った方は、資格取得をステップにキャリアチェンジや転職を目指してみてはいかがでしょうか。