メインコンテンツへ

OSS(オープンソースソフトウェア)とは?特徴やメリット・注意点

コラム

掲載日:2024/11/08

OSS(オープンソースソフトウェア)は、現代のソフトウェア開発になくてはならない存在です。OSSを活用すれば、コストを抑えて効率的にソフトウェアを開発できる一方、特有の注意点もあります。

本記事では、OSSの理解を深めていただくため定義からライセンスや代表的なソフトウェア一覧、メリットと注意点までをわかりやすく解説していきます。

OSSの導入を検討している方は、ぜひ知識の整理にお役立てください。

OSS(オープンソースソフトウェア)とは

『OSS』とは、『OpenSourceSoftware(オープンソースソフトウェア)』の略称です。ソースコードが公開されており、誰でも使用、改変、再配布できるソフトウェアのことを指します。

多くのOSSは無償で使用できますが、必ずしもすべてが無償というわけではありません。また、商用利用も可能なケースが多く、企業や個人がニーズに合わせて柔軟に利用できる点が大きな特徴です。

OSSの定義

OSSの定義は、オープンソースの促進を目的とする団体である『OSI(OpenSourceInitiative)』が定めています。OSIは、OSSとして認められるソフトウェアが満たすべき、以下の10個の要件を掲げています。

  1. 再頒布の自由
  2. ソースコード (ソースコードを無償または妥当な費用で頒布すること)
  3. 派生ソフトウェア (派生ソフトウェアの作成、頒布を許可すること)
  4. 作者のソースコードの完全性 (オリジナルコードがわかるようにすること)
  5. 個人やグループに対する差別の禁止
  6. 使用する分野に対する差別の禁止
  7. ライセンスの分配 (プログラムの権利は頒布された人に等しく分配されること)
  8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止
  9. 他のソフトウェアに干渉するライセンスの禁止
  10. ライセンスは技術中立的でなければならない

参照:OSI(OpenSourceInitiative)|TheOpenSourceDefinition

これらの要件は、OSSの基本理念である自由な使用、改変、再配布を保証し、オープンな開発環境の促進を目的としています。

OSSはコミュニティによって管理

無償で自由に使えるOSSは、一体誰がどのように提供しているのか、疑問に思う人も多いでしょう。

OSSは、世界中の有志が集まったコミュニティによって管理されているソフトウェアです。コミュニティには、個人の開発者や研究者、企業、利用者などがさまざまな役割で参加しています。

参加者はそれぞれの専門性を活かして、新機能の実装やバグ修正、不具合の報告、ユーザーサポートなどを行い、OSSの品質向上と普及を支えているのです。

OSSのライセンスや著作権

OSSは、誰でも自由にソフトウェアを使用、改変、配布できるのが特徴です。

しかし、無制限に何をしても良いわけではありません。OSSのライセンスには、自由な使用を促進しつつ開発者や著作権者の権利を守るためのルールが定められています。

OSSライセンスにはさまざまな種類がありますが、大きく分けてコピーレフト型と非コピーレフト型に分類されます。コピーレフト型の代表例であるGPLは、改変後のソフトウェアにも同じライセンスでの公開を求めるものです。一方、MITライセンスやApacheライセンスなどの非コピーレフト型は、より緩い条件を設定しています。

また、OSSにも著作権が存在し、OSSライセンスには著作権をどのように許諾するかも規定されています。OSSライセンスは複雑で多岐にわたるため、利用の際にはよく確認することが重要です。

代表的なOSS一覧

OSSはシステム開発を支えるさまざまな分野に広がっています。

代表的なOSSの一覧は以下のとおりです。

分野代表的なOSS
OSLinux(Ubuntu,Fedora,CentOSなど)
AndroidOS
WebサーバーApacheHTTPServer
Nginx
データベースMySQL
PostgeSQL
プログラミング言語Java
Python
PHP
Ruby
フレームワークSpring(Java)
Django(Python)
Laravel(PHP)
RubyonRails(Ruby)
その他Git(バージョン管理システム)
Eclipse(統合開発環境(IDE)
Docker(コンテナ型仮想化環境プラットフォーム)
WordPress(コンテンツ管理システム(CMS))
これは一例であり、他にも多くのOSSが存在します。

OSSとフリーソフトウェアの違い

OSSと混同しやすいソフトウェアに、フリーソフトウェア(フリーソフト)があります。

フリーソフトは無償で使用できる点でOSSに似ていますが、一般的にソースコードは公開されていません。そのため、使用は無償であっても、改変や再配布が認められていないことがほとんどです。これは、改変と再配布の自由を掲げるOSSと大きく異なります。

また、フリーソフトは個人や団体が提供しているものが多く、OSSのようにコミュニティによる継続的な機能追加やバグ修正などのサポートを受けられるとは限りません。そのため、長期的な利用や重要なシステムへの導入を検討する際には注意が必要です。

OSSとフリーソフトの違いを理解して、目的にあったソフトウェアを選びましょう。

OSSを利用するメリット

ソースコードが公開されており、誰でも自由に使用、改変、再配布できるOSSは、利用するユーザーに多くのメリットがあります。

主な4つのメリットを見ていきましょう。

導入コストを抑えられる

OSSはライセンス費用が無償であるため、導入コストを抑えられる点が大きなメリットです。

ITベンダーが提供する商用ソフトウェアでは、ライセンス費用が高額になることが少なくありません。そのため、特に予算を潤沢にかけられない中小企業やスタートアップ企業には大きな負担となります。

OSSを活用することで、ソフトウェアの導入に大きなコストをかけずに済み、その分を他の重要な開発や運用に割り当てることが可能です。

カスタマイズの自由度が高い

OSSはソースコードが公開されています。そのため、ニーズに合わせて自由にカスタマイズできる点も、商用ソフトウェアにはない大きなメリットです。

企業は自社の業務に適した機能を追加したり、既存の機能を改変したりできます。また、パフォーマンスを高めるためにコードの最適化を図ることも可能です。

このように、OSSを自社のニーズに合致するようにカスタマイズすることで、より柔軟で効率的なシステム構築が実現できます。

信頼性や安定性が高い

OSSは、世界中の開発者やユーザーによって継続的に改善されているため、信頼性や安定性が非常に高い点が大きなメリットです。

OSSは多くの目で監視されているため、バグやセキュリティ脆弱性が早期に発見され、素早い修正が期待できます。一方、商用ソフトウェアの場合はベンダーのサポート体制に依存するため、問題の解決に時間がかかることは少なくありません。

このように、コミュニティの力で迅速に問題解決が図られる信頼性と安定性がOSSの魅力の1つです。

ベンダーロックインの回避

OSSの使用により、特定のベンダーへの依存度を下げて、ベンダーロックインのリスクを回避できます。

ベンダーロックインとは、システム開発で特定のベンダーの製品やサービスへの依存度が高まり、他社製品に乗り換えられなくなることです。OSSを利用することで、企業は特定のベンダーに縛られることなく、自由にシステムを構築・運用できます。

それにより、将来的な技術の選択肢を広げ、より柔軟なIT戦略を実現できます。

OSSを利用する際の注意点

ここまで見てきたように多くのメリットがあるOSSですが、導入にあたっては、いくつか注意すべき点があります。

まず、OSSはソフトウェアごとに異なるライセンスで提供されています。ライセンス違反は法的リスクを伴うため、それぞれのライセンスの内容をよく理解し、遵守することが重要です。

また、OSSのコミュニティの多くは非営利で運営されているため、活発な活動が永続的に続く保証はありません。バグ修正や機能追加が遅れることもあり、自社で対応しなければならない場合もあります。

このように、自由度の高いOSSには商用ソフトウェアとは異なる独自のリスクもあるため、よく理解して利用することが重要です。OSSを選定する際には、ライセンスやコミュニティの活発さ、更新頻度などをよく確認して導入を検討しましょう。

まとめ|OSSの特徴を理解して活用しよう

OSSは、ソースコードが公開され、誰でも自由に使用・改変・再配布できるソフトウェアです。OSSには、OSからWebサーバー、プログラミング言語、開発ツールまでさまざまなソフトウェアが提供されています。

OSSには導入コストの削減やカスタマイズの自由度の高さなどのメリットがある一方、多様なライセンスやコミュニティの永続性の不確実さなどには注意が必要です。OSSを効果的に活用するには、これらの特徴やメリット、注意点の理解が欠かせません。

自社のニーズや状況に合わせて適切なOSSを選択し、リスクを管理しながら利用することで、OSSが持つ力を最大限に引き出しましょう。

募集職種一覧